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児童虐待対応と「子どもの意見表明権」 小野 善郎(編著) - 明石書店
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児童虐待対応と「子どもの意見表明権」 一時保護所での子どもの人権を保障する取り組み

発行:明石書店
四六判
264ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-4952-7
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年12月25日
書店発売日
登録日
2019年12月20日
最終更新日
2020年1月24日
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紹介

児童相談所に関わる弁護士を中心に、子どもの権利がもっとも制約を受けるであろう一時保護について再考。子どもの最善の利益の確保はもとより、児童相談所がその役割を果たしていくために現在の児童保護システムの中で子どもを権利の主体とする子ども観に転換できるのかという可能性を探る。

目次

 はじめに

第一部 児童相談所の児童虐待対応

第一章 あらためて児童虐待とは何なのか
 1.常識としての「児童虐待」
 2.定義の限界
 3.児童虐待概念の源流
 4.二つの児童虐待
 5.児童虐待の本質

第二章 現在の児童相談所の課題
 1.児童虐待対応の基本的枠組み
 2.児童相談所の相談援助のしくみ
 3.児童相談所の専門性
 4.児童福祉としての児童虐待対応

第三章 児童相談所の葛藤
 1.児童虐待の現状
 2.児童相談所での相談対応の変化
 3.本来の児童相談所の役割
 4.一時保護という劇薬
 5.司法関与の流れ
 6.司法関与の期待と課題
 7.児童相談所の矜持と責任

 コラム 温故知新――一時保護から考える児童相談所のこれから

第二部 児童虐待と子どもの権利

第四章 わが国の子どもの権利の現状
 1.子どもの権利条約について
 2.わが国の国内法における未成年者の人権享有主体性
 3.個別の法規での顕れ

第五章 子どもの人権侵害としての児童虐待
 1.法律上の「児童虐待」の定義
 2.子どもから見た児童虐待(人権侵害としての児童虐待)
 3.児童虐待が子どもに与える影響

第六章 虐待対応の法的課題
 1.具体的な対応策
 2.児童福祉法二八条の申立て
 3.親権停止と親権喪失
 4.一時保護について

第七章 子どもの人権と一時保護
 1.一時保護の実情
 2.一時保護所での権利制約
 3.一時保護所における様々な権利制約

 コラム 精神科医療における非自発的入院での人権的配慮

第八章 子どもの意見表明権のあり方
 1.子どもの権利条約一二条について
 2.少年司法制度について
 3.家事事件制度について
 4.一時保護が行われた子どもの意見表明権

 コラム 「子どもの最善の利益」と何か――「最善の利益」と「意見表明権」の関係を考える

第三部 一時保護児童の意見聴取の実践と課題

第九章 弁護士による子どもの意見聴取
 1.意見聴取の実施
 2.子どもたちの意見

第十章 弁護士による意見聴取の効果と今後の課題
 1.子どもの意見の概要
 2.保護所の課題
 3.意見聴取の方法に関する課題
 4.聴取者の立場
 5.誰のための聴取か

 コラム 児相内弁護士

第十一章 児童相談所での子どもの意見聴取の取り組みを振り返って
 1.準備の段階
 2.子どもの意見を聴く段階
 3.子どもの意見を活かす段階
 4.必要な手続きを紹介する段階

終章 児童相談所が子どもたちから学んだこと――「意見を聴かれる子どもの権利」の実現に向けて
 1.大人中心の児童相談所
 2.大人の意図や解釈で作成された記録
 3.子どもに忖度されている児童相談所の方針
 4.子どもと向き合う姿勢の再確認

 おわりに

前書きなど

はじめに

 児童相談所は、子どもの意見表明(「意見を聴かれる子どもの権利」)を、どのように実現していくことができるだろうか。

 (…中略…)

 本書では、二〇一八(平成三〇)年から岡山県および岡山市の児童相談所で試行的に行っている弁護士による一時保護所を対象とした「子どもの意見を聴く」活動を中心に、児童福祉および精神医学の立場からの議論も加えて、子どもの視点に立った児童相談所の役割を検討する。
 子どもの虐待死による社会的関心の高まりを背景に、児童相談所の「機能強化」が進められ、これまでの児童福祉司や児童心理司の増員などに加えて、弁護士や医師などの専門職が積極的に関与する制度に移行しつつあるが、その具体的な役割については議論が遅れている。介入と支援の狭間で葛藤し続けている児童相談所において、専門職としての立ち位置も両価的にならざるをえないが、子どもの権利の視点から児童虐待を再考することで、児童相談所の果たすべき役割の方向性を提唱する。
 今年(二〇一九年)は、子どもの権利条約が国連総会で採択されて三〇周年、日本が同条約を批准して二五周年の節目の年に当たる。私たちは、この節目の年を、子どもの支援に携わる大人が、子どもの意見から学び、子どもと共に、子どもを中心とした児童福祉施策へと転換していくためのスタート地点にしたいと考えている。本書は、そのための第一歩である。

著者プロフィール

小野 善郎  (オノ ヨシロウ)  (編著

和歌山県精神保健福祉センター所長。精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医、日本児童青年精神医学会認定医、子どものこころ専門医。和歌山県立医科大学卒業。ひだか病院精神科医員、和歌山県立医科大学神経精神医学教室助手、和歌山県子ども・女性・障害者相談センター(和歌山県中央児童相談所)総括専門員などを経て、2010年4月より現職。近著に『思春期を生きる-高校生、迷っていい、悩んでいい、不安でいい』(福村出版)『続・移行支援としての高校教育――大人への移行に向けた「学び」のプロセス』(福村出版)、『ラター 児童青年精神医学【原書第6版】』(明石書店)など。

藥師寺 真  (ヤクシジ マコト)  (編著

岡山県保健福祉部 子ども家庭課 児童福祉班 総括参事(班長)
1993年に岡山県へ選考職(福祉専門職)として入庁。福祉型障害児入所施設のケアワーカー、精神科病院のソーシャルワーカー、県庁の児童虐待・DV防止事業担当、岡山県福祉相談センター(中央児童相談所/身体・知的障害者更生相談所/女性相談所)の企画部門担当、児童相談所(通算16年)の児童福祉司スーパーバイザー、虐待対応班長、児童心理司として勤務し、岡山県津山児童相談所子ども支援課 課長を経て、2019年4月より現職。

上記内容は本書刊行時のものです。