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イギリスの子ども虐待防止とセーフガーディング 岡本 正子(編著) - 明石書店
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イギリスの子ども虐待防止とセーフガーディング 学校と福祉・医療のワーキングトゥギャザー

発行:明石書店
A5判
288ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-4945-9
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年12月25日
書店発売日
登録日
2019年12月20日
最終更新日
2020年1月24日
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紹介

すべての子どもに関与できる公的システムである学校は、子どもを虐待から守るために何ができるのか。本書は、イギリスの学校で実施されている、子どもの安全を守ること=セーフガーディングという概念を紹介しつつ、日本の法制度や教師教育を問い直す契機とする。

目次

 はじめに

Ⅰ.セーフガーディングの仕組みと学校

第1章 イギリスの子どもの虐待防止
 第1節 イギリスにおける「支援を必要とする子ども(child in need)」をめぐる状況
 第2節 子ども虐待対応と予防的支援の仕組み――CSCと司法の役割
 第3節 子どものセーフガーディングと子どもの保護に関する司法の関与

第2章 イギリスの学校におけるセーフガーディングの取り組み
 第1節 学校におけるセーフガーディング
 第2節 イギリスの学校におけるDSL(Designated Safeguarding Lead)
 コラム グリーンフィールド小学校の試み
  セーフガーディングのための学校づくり

Ⅱ.学校と福祉・医療におけるケアと支援

第3章 機関連携による子どもと家庭への支援
 第1節 サセックスにおける子どもと家庭への支援――イーストサセックスを中心に
 第2節 子どもと保護者への医療的・心理的支援

第4章 イギリスの「支援を必要とする子ども」への対応と支援
 第1節 セーフガーデイングの対象となる子どもへの学校における支援
 第2節 社会的養護の子ども(Looked after Children:LAC)への学校における支援

第5章 イギリスの「特別な支援が必要な子ども」への取り組み
 第1節 ウッドイートン・マナー・スクール Woodeaton Manor School(特別支援学校)における支援
 第2節 マルベリー・ブッシュ・スクール The Mulberry Bush School(児童心理治療施設)における支援
 第3節 ウエランドハウス Welland House(子どもの家)における支援

Ⅲ.セーフガーディングの歴史と日本における取り組み

第6章 イギリスの学校におけるセーフガーディングの歴史――カリキュラムと教師に着目して
 第1節 概念と言語――学校の変わりゆく課題の定義と説明
 第2節 変化するカリキュラムに埋め込まれた子ども保護
 第3節 子ども保護における教師の責任とセーフガーディングのための教員養成

第7章 イギリスのセーフガーディングに学ぶ意味と日本の学校
 第1節 北海道・大阪府調査から見えてきた日本の学校における子ども虐待
 第2節 子ども虐待防止のための教員養成と教員研修
 コラム 日本の学校の取り組み
  「児童支援担当教諭」を配置する藤沢市の小学校(神奈川県)

 この研究のめざしたところ
 おわりに

前書きなど

はじめに

 本書は、イギリスの学校において実施されている、子どもの安全を守ること=セーフガーディング(Safeguarding)という概念に基づく政策について調査した報告書である。編者らは、2012年の全英子ども虐待防止協会(NSPCC)主催の「教育におけるセーフガーディング会議」(Safeguarding in Education Conference)、翌年のレスターシャーにおけるセーフガーディング教員研修に参加し、イギリス各地の小中学校や特別支援学校、教育行政や児童福祉行政の機関、警察などを訪問した。

 (…中略…)

 そこで、本書では、子どもの安全を守ること=セーフガーディングを政策として展開するイギリスにおいて学校と福祉・医療が協働して子ども虐待の防止と予防を推進するワーキングトゥギャザー(Working Together)の取り組みと、DSLやPSHEE教育など、イギリスの学校におけるセーフガーディングの実践を紹介する。
 Ⅰ.では、イギリスのセーフガーディングの仕組みと学校について扱う。
 まず、第1章では、増沢高氏に、イギリスにおける子ども虐待防止制度の概要と、支援を要する子どもの状態や予防的支援の仕組みを概観してもらう。
 第2章では、学校におけるセーフガーディングとDSLの位置づけを概観したうえで、レスターシャーでDSLとして活躍したアン・プリドー氏の1日を例にDSLの役割を検討する、コラムではレスターシャーの小学校の様子を紹介する。本章は主に比較教育学の研究者中山あおい氏が執筆する。
 Ⅱ.では、イギリスにおける学校と医療・福祉の連携によるケアと支援を紹介する。
 第3章では、イギリスにおける機関連携を扱う。現地に住み、国民保健サービス(National Health Service:NHS)で児童精神科医として活動している内藤亮医師に、サセックスにおける子どもと家族への支援の取り組みを紹介してもらう。
 第4章では、学校で発見された子ども虐待事案への対応の流れと、教育の立場から展開される社会的養護にある子どもへの支援について紹介する。この章は、児童精神科医の岡本正子氏が執筆する。
 第5章では、オックスフォードの特別支援学校や心理治療・教育施設、レスターの生活施設におけるセーフガーディングの実際を紹介する。岡本氏と元児童心理治療施設長の平岡篤武氏が執筆する。
 Ⅲ.では、セーフガーディングの歴史と日本学校を扱う。
 第6章では、教育史学者ピーター・カニンガム博士に、イギリスの視点から、セーフガーディングの歴史とセーフガーディングにおける教師の役割と教員養成についての執筆を依頼した。イギリス教育史に詳しい山﨑洋子氏には、日本の学習指導要領に範を得たイギリスのナショナル・カリキュラムにおいて、PSHE教育や子ども保護の問題がどのように扱われるようになってきたのかを紹介してもらう。
 第7章では、北海道と大阪府の約4000名の教員を対象とした学校調査と、教員養成における子ども虐待の扱いについての調査を紹介することを通して、イギリスのセーフガーディングに学ぶ意味を示す。本章は、教員養成に従事してきた二井が執筆する。コラムでは、神奈川県藤沢市に配置された「児童支援担当教諭」について、中学校長の経験のある菱田準子氏が紹介する。
 全章の総括として、「この研究のめざしたところ」を、本書のベースとなった二つの科研「『子ども虐待防止の実践力』を育成する教員養成のあり方」(基盤研究(B)課題番号23330225)、「イギリスにおけるSafeguarding in schoolの学際的研究」(基盤研究(B)課題番号26282205)の研究代表の岡本氏が執筆する。
 「おわりに」は、作家・ジャーナリストで、本書の編者でもある椎名篤子氏に依頼した。椎名氏には、二つの科研において研究協力者として加わっていただき、以来、調査と協議を共に重ね、本書の刊行に至った。2000年の児童虐待防止法制定の動きをつくった、『凍りついた瞳』の原作『親になるほど難しいことはない』の著者であり、日本の子ども虐待の実態を世に問うてきた氏が、本書刊行に至る過程で考えられたことが、読者への新たなメッセージとなれば幸いである。

 (…後略…)

著者プロフィール

岡本 正子  (オカモト マサコ)  (編著

京都府立医科大学卒業。大阪市立小児保健センター(当時)、大阪府立精神医療センター松心園(当時)、大阪府こころの健康総合センター、大阪府中央子ども家庭センター、大阪教育大学教育学部教授などを経て、2017年から大阪府衛生会付属診療所勤務。児童精神科医師。日本子ども虐待防止学会代議員。
主な著書に、『性的虐待を受けた子どもの施設ケア』(共編、明石書店、2017)、『第3版 子ども家庭福祉論』(共著、晃洋書房、2017)、『家族生活の支援――理論と実践』(共著、建帛社、2014)、『性的虐待を受けた子ども、性的問題行動を示す子どもへの支援』(共編、明石書店、2012)、『教員のための子ども虐待理解と対応』(共編、生活書院、2009)など。

中山 あおい  (ナカヤマ アオイ)  (編著

筑波大学教育学研究科博士課程単位取得退学。比較・国際教育学専攻。大阪教育大学グローバルセンター教授。
主な著書に『PISA後のドイツにおける学力向上政策と教育方法改革』(共著、八千代出版、2019)、『国際理解教育ハンドブック――グローバル・シティズンシップを育む』(共著、明石書店、2015)、『PISA後の教育をどうとらえるか――ドイツをとおしてみる』(共著、八千代出版、2013)、『シティズンシップへの教育』(共著、新曜社、2011)、『世界のシティズンシップ教育』(共著、東信堂、2009)など。

二井 仁美  (ニイ ヒトミ)  (編著

奈良女子大学大学院博士課程単位取得退学。大阪教育大学教授を経て、2011年度から北海道教育大学教授。教育福祉史。博士(学術)。
主な著書に、『慈愛と福祉 岡山の先駆者たち 1』(共著、山陽放送学術文化財団、2019)、『留岡幸助と家庭学校 近代日本感化教育史序説』(不二出版、2010)、『教員のための子ども虐待理解と対応』(共著、生活書院、2009)、『子どもの人権問題資料集成戦前編子どもの保護教育、子ども虐待』(共編著、不二出版、2009)など。

椎名 篤子  (シイナ アツコ)  (編著

作家・ジャーナリスト。
主な著書に、『凍りついた瞳2020』(編著、集英社、2019)、『がれきの中の天使たち』(集英社、2012)、『愛されたいを拒絶される子どもたち』(集英社、2007)、『新凍りついた瞳』(集英社、2003)、『親になるほど難しいことはない』(集英社文庫、2000;講談社、1993)、『虐待で傷ついたこころのための本』(大和書房、1998)、『ちいさなわたしをだきしめて』(集英社、1998)、『家族「外」家族』(集英社、1997)、また、著書を原作とした漫画化作品に『愛ときずな』(絵:ごとう和、秋田書店、2010)、『凍りついた瞳』(絵:ささやななえ、集英社、1995)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。