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先住・少数民族の言語保持と教育 長谷川 瑞穂(著) - 明石書店
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先住・少数民族の言語保持と教育 (センジュウショウスウミンゾクノゲンゴホジトキョウイク) カナダ・イヌイットの現実と未来 (カナダイヌイットノゲンジツトミライ)

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発行:明石書店
A5判
248ページ
上製
価格 4,500円+税
ISBN
978-4-7503-4898-8   COPY
ISBN 13
9784750348988   COPY
ISBN 10h
4-7503-4898-8   COPY
ISBN 10
4750348988   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0039  
0:一般 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月25日
書店発売日
登録日
2019年9月17日
最終更新日
2019年9月27日
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紹介

多文化主義の国、カナダの先住民イヌイットの事例から、少数民族の言語と教育の問題を考える。現地調査や参与観察などをもとに、イヌイット語の状況と人々の意識を浮き彫りにする。世界各地で消えゆく言語と文化を救うために、私たちは今何をすべきなのか。

目次

 はじめに

序章
 1.本書の目的と研究方法
 2.研究の動機
 3.危機言語と言語保持の重要性
 4.先住民の教育

第1章 カナダの先住民とイヌイット
 1.1982年憲法と先住民
 2.先住民の人口
 3.先住民の学歴
 4.先住民と言語

第2章 イヌイットの歴史(1)
 1.ヨーロッパ人との接触以前
 2.ヨーロッパ人との接触とその影響
 3.カナダ連邦政府とイヌイット

第3章 イヌイットの歴史(2)
 1.北西準州時代
 2.ヌナブト準州成立
 3.ヌナブト協定とヌナブト準州成立
 4.ヌナブト準州のイヌイットと仕事
 5.イヌイット社会の性役割と結婚
 6.現在のイヌイットの宗教
 7.ヌナブト準州の老人ホーム
 8.イヌイット社会の負の部分

第4章 カナダの多文化主義と問題点
 1.多文化主義宣言と多文化主義法
 2.多文化主義に影響を与えてきた著作
 3.多文化主義に批判的な著作

第5章 ヌナブト準州成立以前のイヌイットの教育
 1.移動生活における集団での教育
 2.宣教師による教育
 3.連邦政府による教育
 4.北西準州政府による教育

第6章 ヌナブト準州の教育と法
 1.ヌナブト準州の教育とイヌイット
 2.イヌイットの伝統知識IQと教育
 3.ヌナブト準州のバイリンガル教育と法
 4.ヌナブト準州の教育の実情

第7章 イヌイット語の現状
 1.(準)州と連邦政府の公用語法
 2.ヌナブト準州の公用語法
 3.イヌイット語保護法
 4.イヌイット語使用の地域差、時代差

第8章 イカルイトでの調査の概要とアンケート分析
 1.イカルイト
 2.イカルイトでの調査の概要
 3.アンケートの分析
 4.まとめ

第9章 インタビュー調査と参与観察
 1.イカルイトのイヌイット
 2.イカルイトの小学校長へのインタビュー
 3.イカルイトの中学校長、高校長へのインタビュー
 4.一般のイヌイットへのインタビューとアンケートの自由記述
 5.参与観察によるイカルイトの言語状況

第10章 ヌナブト準州の教育とイヌイット語保持を阻む要因
 1.バイリンガル教育に関する理論
 2.バイリンガル教育の種類
 3.ヌナブト準州とバイリンガル教育理論
 4.イヌイット語の標準化の動き
 5.言語の威信性
 6.白人優位の教育体制

第11章 教育とイヌイット社会の問題
 1.歴史的トラウマ
 2.イヌイット社会の貧困
 3.暴力、飲酒
 4.麻薬といじめ
 5.文化の喪失
 6.10代の妊娠とメンタル・ヘルス
 7.まとめ

第12章 ほかの先住民言語との比較と現在のヌナブト準州の問題
 1.グリーンランド
 2.ヌナブト準州とグリーンランドの比較
 3.マオリ語とハワイ語の事例
 4.アイヌ語の歴史と現状
 5.現在のヌナブト準州の教育に関する問題
 6.教育法改正の動き

終章
 1.イヌイットの言語、教育の現状
 2.要因と対策

 付録1 イカルイトでの調査に用いたアンケート用紙
 付録2 イヌイット語の文字
 あとがき
 参考文献
 索引

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書は、カナダの先住民のイヌイットを事例として取り上げ、彼らのイヌイット語が教育のなかでどのように扱われてきたか、現在のイヌイット語の状況、イヌイットの意識などを、著者の現地での調査や参与観察、文献レビューで考察し、イヌイット語の保持を阻む要因を明らかにする。イヌイット語保持に関わる問題は、世界の多くの先住民言語や少数言語に共通するので、読者にそれぞれの立場で、少数言語保持の問題を考えていただきたい。
 著者は言語学者として、世界の言語の約半数が過去500年で消滅し、今後100年でさらに半数が絶滅の危機にあると予測されている[UNESCO 2013]事実に危惧を抱き、人類の資産である言語を保持する立場に立つ。言語消滅と保持に関しては、序章の第3節で述べている。
 2019年は国際連合の定めた国際先住民族言語年(International Year of Indigenous Languages)であり、先住民族の言語が絶滅の危機に瀕していることについて意識を高め、その言語や文化の継続性を再確認することを目的の中枢に掲げている。本書が読者に、少数派の言語問題を通して、人類の平等の問題を考えるきっかけになれば幸いである。

著者プロフィール

長谷川 瑞穂  (ハセガワ ミズホ)  (

東京外国語大学博士後期課程修了、博士(学術)。専門は言語学。
元東洋学園大学教授。千葉大学、明治大学、東京女子大学、中央大学で兼任講師を務める。
おもな著書は『はじめての英語学』(編著、研究社)、English Grammar(編著、朝日出版)、A Canadian Mosaic(編著、松柏社)、『世界の言語政策』(共著、くろしお出版)、『言語と貧困』『言語と格差』『言語と教育』(いずれも共著で明石書店)。

上記内容は本書刊行時のものです。