書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
はじめて保育・教育を学ぶ人のために 〈わかちあい〉の共育学【基礎編】
教職課程コアカリキュラムに基づく教員養成テキスト
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月30日
- 書店発売日
- 2019年9月30日
- 登録日
- 2019年9月13日
- 最終更新日
- 2019年9月27日
紹介
2017年11月策定の「教職課程コアカリキュラム」に基づき教員養成をめぐる教職課程の変更が予定されている。教員として求められる資質・能力とは?――コアカリの内容をコンパクトにまとめ、その教育観や人間観を考察するとともに〈わかちあい〉を原理とする保育・教育学を提唱。
目次
はじめに
第1章 教育の理念・歴史・思想
考えてみよう!
1.教育の基本的な概念
2.教育の本質――理念・目的・価値
3.教育に関する多様な思想
さらに考えてみよう!
1.教育の限界
2.教育の抑圧性
第2章 教職の意義および教員の役割・職務内容
考えてみよう!
1.教職の意義および教員の役割
2.教員の職務内容
3.チーム学校運営への対応
さらに考えてみよう!
1.学校教育関係の3つのモデル
2.共同関係における保護からの別れ
第3章 教育制度・教育行政
考えてみよう!
1.教育に関する制度的事項
2.学校と地域との連携
3.学校安全への対応
さらに考えてみよう!
1.多様な育ちの機会
2.地域と学校の“せつない”関係
3.学校安全と「聴聞される機会」
第4章 子どもの発達と学習
考えてみよう!
1.子どもの発達の過程・特徴
2.主体的な学習活動を支える指導の基礎となる考え方
さらに考えてみよう!
1.個人差を無視した「子どもに圧力をかける」保育
2.個体能力論的発達観が引き起こした排除
3.「『発達』を囲む状況」をめぐる議論
第5章 特別の支援を必要とする子どもの理解と支援方法
考えてみよう!
1.特別の支援を必要とする子どもの理解
2.特別の支援を必要とする子どもの教育課程および支援の方法
さらに考えてみよう!
1.個人のインペアメントに焦点化した日本のインクルーシブ教育
2.共に学ぶ場の創造
第6章 教育課程の意義および編成の方法
考えてみよう!
1.教育課程とはなにか――役割・機能・意義
2.教育課程の編成
3.カリキュラム・マネジメントの意義と理解
さらに考えてみよう!
1.教育課程編成の可能性
2.教育課程編成の限界
第7章 道徳の理論と指導法
考えてみよう!
1.道徳の理論
2.道徳の指導法
さらに考えてみよう!
1.いじめ防止対応としての道徳教育
2.道徳教育と内心の自由
第8章 「総合的な学習の時間」の意義と指導法
考えてみよう!
1.総合的な学習の時間の意義と原理
2.総合的な学習の時間の指導計画の作成
3.総合的な学習の時間の指導と評価
さらに考えてみよう!
1.体験活動の教育的効果
2.体験活動と少年犯罪
3.体験活動における偶然性
第9章 特別活動の意義と指導法
考えてみよう!
1.特別活動の意義、目標および内容
2.特別活動の指導法
さらに考えてみよう!
1.「望ましい集団活動」の問題点
2.仲のよい集団の排他的性格
3.「できなさや弱さ、至らなさ」の共有
第10章 教育の方法と技術
考えてみよう!
1.教育の方法
2.教育の技術
3.情報活用能力とプログラミング教育
さらに考えてみよう!
1.子どもを知る方法
2.便利さゆえの問題点
第11章 生徒指導およびキャリア教育(進路指導を含む)の理論と方法
考えてみよう!
1.生徒指導およびキャリア教育の意義と原理
2.生徒指導およびキャリア教育の指導体制
3.子どもをめぐる生徒指導上およびキャリア教育上の課題への対応
さらに考えてみよう!
1.「子どもの貧困」という問題
2.「学力向上による子どもの貧困からの脱却」物語
3.「学力向上による子どもの貧困からの脱却」物語の虚構性
第12章 幼児理解の理論と方法
考えてみよう!
1.幼児理解の意義と原理
2.幼児理解の方法
さらに考えてみよう!
1.「到達目標」で子どもが評価される幼児教育
2.関係をとおして個人が育つ幼児教育
3.人権を大切にする心と幼児教育
第13章 教育相談の理論と方法
考えてみよう!
1.学校における教育相談の意義と課題
2.学校教育相談に必要なカウンセリングの基礎的知識
3.学校教育相談の展開
さらに考えてみよう!
1.権力的な営みとしての学校教育相談
2.子どもの権利擁護をおこなうための相談活動
おわりに
資料 諸法律(抜粋)
前書きなど
はじめに
(…前略…)
2019(平成31)年4月1日現在、全国1,283校の大学・大学院・短期大学等における合計19,416の課程が教職課程コアカリキュラムに基づき認定された。2015(平成27)年12月の中央教育審議会答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」は、教員の養成・採用・研修の3段階における大学・採用者(教育委員会や学校法人等)・国(文部科学省)の連携に関して、具体的な制度的枠組みの構築に向けた提言をおこなった。この答申を受けて、「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会」が開催され、2017(平成29)年11月に「教職課程コアカリキュラム」がまとめられた。
「教職課程コアカリキュラム」によれば、教職課程コアカリキュラムとは、「教育職員免許法及び同施行規則に基づき全国すべての大学の教職課程で共通的に修得すべき資質能力を示すもの」とされる。また、各大学等には教職課程コアカリキュラムの定める内容を学生に修得させたうえで、「地域や学校現場のニーズに対応した教育内容」や、「大学の自主性や独自性を発揮した教育内容」を追加するよう求めている。それによって、「各大学が責任をもって教員養成に取り組み教師を育成する仕組みを構築することで教職課程全体の質保証を目指す」ことが強く要請されている。
また教職課程コアカリキュラムでは、教職課程は学芸と実践性の両面を兼ね備えており、教員養成はこの2つの側面が融合することで高い水準の教員を養成することが求められてきたとする。学芸については、「教職課程は原則として大学における教育研究の一環として学芸の成果を基盤に営まれている」と述べられている。
このように、文部科学省から教員養成における大学の責任が問われ、「教職課程全体の質保証」が要請されている以上、一度、立ち止まって「全国すべての大学の教職課程で共通的に修得すべき資質能力」の中身をしっかりと検証する必要があると考える。そこで本書では、まずは教職課程コアカリキュラムの定める内容を学び、教員としてどのような資質能力が必要とされているのかを理解する。次にその内容および資質能力、それを支える教育観や人間観などを、いま現にある「地域や学校現場のニーズ」や、「大学の自主性や独自性」、なかでも「大学における教育研究の一環として(の)学芸の成果」によって読み解いていく。そして、それによって読み解かれた知を、子どもにかかわる人たち、子どもにかかわる仕事に就こうとしている人たちとわかちあいたい。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。