書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
学校に居場所カフェをつくろう!
生きづらさを抱える高校生への寄り添い型支援
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年8月1日
- 書店発売日
- 2019年8月1日
- 登録日
- 2019年7月29日
- 最終更新日
- 2019年9月20日
紹介
学校にカフェが増えれば、学校を居場所にできる子どもや大人が増えて、地域がもっと豊かに変わるのではないか。生徒の微弱なSOSをキャッチする寄り添い型の支援の日常から、学校との連携・運営の仕方まで、カフェのはじめ方とその意義をやさしく解説する。
目次
プロローグ 校内居場所カフェって何だろう?
生きるストライクゾーンを広げる[石井正宏]
サードプレイスの力[田中俊英]
「高校」で「カフェ」はじめました[辻田梨紗]
第1章 私たち地域の校内居場所カフェ
となりカフェ――「高校内居場所カフェ」1号店[奥田紗穂]
ぴっかりカフェ――ヒト・モノ・コト=文化のフックが社会へつなぐ[小川杏子]
ぽちっとカフェ――地域と連携した高校内居場所カフェ[鈴木健]
ようこそカフェ――「つながり」と「体験」が生まれる場[尾崎万里奈]
各地の校内居場所カフェ:ドーリプレイス/きゃりこみゅカフェ/World cafe ふらっと/わたしカフェ
第2章 校内居場所カフェのつくり方
■開設の仕方
(1)まず何から始めたらいいでしょうか? どうやって学校と関係をつくりますか?
(2)高校内居場所カフェの開設はどのように高校の許可を得ていますか?
(3)開設する高校や校内での場所はどのように選んでいますか?
(4)高校の先生がカフェをやりたいと思ったときに、どうやって連携先を探したらいいでしょうか?
(5)どのようなものの準備が必要でしょうか?
■運営の仕方
(6)開催頻度は?
(7)参加料金は?
(8)ドリンクや食べ物はどのようなものを提供していますか?
(9)イベントを開催する場合どのように調整していますか?
(10)アレルギー対策の方法は?
(11)どのように生徒・先生に知ってもらっていますか?
(12)どのような生徒が利用しているのでしょうか?
(13)生徒にカフェに来てもらうための工夫はありますか?
(14)どのような流れで運営をしていますか?(ボランティア打ち合わせ~振り返りまで)
(15)カフェのルールはありますか? 困ったことはありますか?
■高校との連携
(16)管理職との会議のもち方
(17)振り返りのもち方
(18)先生とのコミュニケーションはどのようにとっていますか?
■広報やマネジメント
(19)資金調達・寄付集めの方法は?
(20)ブランディングのこつは?
(21)ボランティアさんの募集方法を教えてください。また、どんな人が向いているんでしょう?
(22)ネットワークの築き方は?
コラム:生徒たちの声
第3章 居場所カフェの可能性と続け方
■行政・学校と高校内居場所カフェ:どう事業化するか
カフェはなぜ始まったのか?[中野和巳]
「となり」カフェという企み――ハイブリッド型チーム学校論[山田勝治]
カフェと教育委員会がつながる[東尾茂宏・末冨芳]
カフェがつなぐ教育と福祉[霜堀春]
■居場所カフェで高校が変わる
学校図書館でカフェを[松田ユリ子]
カフェで交流相談をしよう![鈴木晶子]
カフェで高校生が変わる[浜崎美保]
高等学校と校内居場所カフェ――高等学校の組織文化への気づき[中田正敏]
第4章 座談会・居場所カフェはなぜ必要か?[石井正宏×田中俊英×小川杏子×奥田紗穂×末冨芳]
コラム:広がる居場所カフェのネットワーク
エピローグ 学校に居場所カフェをつくろう!――どんどんつまらなくなっている日本の学校と若者支援のイノベーション[末冨芳]
おわりに[高橋寛人]
前書きなど
おわりに[高橋寛人(横浜市立大学教授)]
(…前略…)
校内「居場所カフェ」とは
本書に書いてあるとおり、「居場所カフェ」とは、学校内の空き教室、オープンスペース、図書館などで、ドリンクやお菓子などを無料で生徒たちに提供しながら、居場所づくりをふまえた交流相談・支援を行うものです。各高校の「カフェ」では、当初、クッキーやパイなどのお菓子を出していました。そのうちに、ミニカップラーメンや、カップ味噌汁、カップスープなども提供するところが増えてきました。お腹をすかせている生徒が多いようです。
校内に相談場所をつくって生徒のもつ困難に対処しようとしても、生徒が来なければ相談にのることはできません。そこで、生徒が自らの困難を安心して語れるようにするために、気楽に集まって話し合えるような居場所を用意します。学校カウンセリングのような個別相談ではないので、とくに相談のない生徒も自由にくることができます。団体のスタッフや大学生ボランティアや地域の大人が話し相手になります。毎週1回または隔週1回程度、定期的に開くので、回を重ねるごとに多くの生徒と顔見知りになります。継続的な交流を通じて、人間関係、信頼関係が形成されます。その中で、困難を抱える生徒がボランティアやスタッフに率直に悩みを話し始めます。
困難な環境で育った子どもたちの場合、かまってもらえる、自分に関心をもってもらうという経験が乏しいケースがめずらしくありません。自分が大切にされていると感じることが、生徒たちにとって大きな喜びです。実際、「話を聞いてほしい」という生徒たちのニーズは驚くほど高いものがあります。
交流相談を行う「カフェ」を「居場所カフェ」とも呼ぶ理由もここにあります。居場所とは、だれもが来られて、だれもが存在を肯定される空間です。 生徒は「カフェ」で、専門家だからではなく、人間関係ができて「この人なら相談できる」と思うから相談するのです。「カフェ」のスタッフやボランティアには、生徒との人間関係をつくることが求められます。
困難を抱える高校生に対する支援には、教員以外の人材の手が必要です。「カフェ」は、若者支援の経験をもつ非営利団体が運営している点に大きな特長があります。交流相談を通じて、生徒自身が困難を明確化し、生徒が主体的に解決に取り組むよう支援し、必要に応じて関連の外部専門機関につないで、困難を軽減することが「カフェ」の役割です。
ただし、カフェを開いている高校の生徒たちが、教師に相談していないというわけではありません。多くの生徒たちが、担任の先生、保健室の養護の先生、進路指導や生徒指導の教師そしてカウンセラーに悩みを語っています。しかし、教員はそもそも授業や部活指導などで手一杯です。そこで、「カフェ」のスタッフが多忙な教員にかわって、悩みを聞いたり相談を受けたりします。教師の補完的な役割を果たすとともに、他方で、教師とは異なる役割も担っているのです。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。