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ドイツの道徳教科書 ローラント・ヴォルフガング・ヘンケ(編集代表) - 明石書店
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ドイツの道徳教科書 (ドイツノドウトクキョウカショ) 5、6年実践哲学科の価値教育 (ゴロクネンジッセンテツガクカノカチキョウイク)
原書: Praktische Philosophie 1

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発行:明石書店
B5判
216ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-4871-1   COPY
ISBN 13
9784750348711   COPY
ISBN 10h
4-7503-4871-6   COPY
ISBN 10
4750348716   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0337  
0:一般 3:全集・双書 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年8月10日
書店発売日
登録日
2019年8月1日
最終更新日
2019年10月7日
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紹介

ドイツの第5、第6学年(日本では初等教育)を対象とする「実践哲学科」教科書の邦訳版。2018年度から正式な教科となった日本の道徳教育を「考え、議論する」方向へと抜本的改善・充実させるための参考教材としてもきわめて有用な一冊である。

目次

日本語版『実践哲学科』読者へのことば

自分自身への問い
第1章 わたしの生き方――自由な時間、気ままな時間
 1.わたしはいったい誰なの?
 2.一人ひとりの人間は、どのようにちがっているの?
  学習方法:探検旅行を空想しよう!
 3.男の子らしいってどんなこと? 女の子らしいってどんなこと?
 4.ほかの人はわたしとはちがう方法で学んでいる
 5.あなたには正当な権利があるのだから!
 6.決断する――だけどどうやって?
 7.自由な時間をすごす
  プロジェクト:今日の自由な時間
 8.学校の運営に参画する
 9.わたしの生き方にとって重要なのは?
  学習方法:マインドマッピング
  プロジェクト:1週間の日記

他者への問い
第2章 共同体のなかの人間
 1.たった一人で暮らす?
 2.共に生きる
  教科横断的学習(国語の学習と関連):韻律のあるドイツ詩とはどんな詩?
 3.お年寄りにはわたしが必要――わたしにはお年寄りが必要
  学習方法:概念〔ものごとについての考え方〕を使って、あるテーマを表現してみよう
 4.ほかの人はわたしとは違う
 5.家族との生活
 6.大勢のなかの一人としてのわたし
  プロジェクト:切手に描かれた子どもの権利

他者への問い
第3章 争いを解決する
 1.日常生活の中の争い
 2.心のかっとう
  学習方法:かっとうのなかで価値をはっきりとさせる
 3.争いを解決する――だけどどうやって?
 4.どのようにして争いは起きるのか
 5.人間は学ぶことができる
  教科横断的学習(生物の学習と関連):動物=人間?
 6.正義を重んじ非暴力で生きることを学ぶ
  「わたしの生活から」――ゾフィーの争い解決ゲーム
  プロジェクト:理想の学校

良い行いへの問い
第4章 正直さと嘘―善と悪
 1.動物は嘘をつく?――人間は嘘をつく!
 2.いつも本当のことを話さないといけないの?
  教科横断的学習(国語の学習と関連):ミュンヒハウゼン男爵の物語
 3.真実はいつもはっきりしているわけではない
 4.善いと悪い
 5.「善い」ってどんなこと? 「悪い」ってどんなこと?
 6.なぜ善い行いをし、悪い行いはしないでおくの?
 7.観点を変える
  プロジェクト1:「良い日」
  プロジェクト2:「良いこと」日記

法律、国家、経済への問い
第5章 ルールと法律
 1.何でもやりたいようにやっていいの?
 2.従わなければならないの?
 3.法律に違反するとどうなるの?
 4.そもそもなぜルールがあるの?
  学習方法:ロールプレイ
  プロジェクト:実践哲学科の授業でのルールを作ろう


法律、国家、経済への問い
第6章 貧困とゆたかさ
 1.貧困――世界に対する挑戦
 2.すぐそばにある貧困
  教科横断的学習(政治の学習と関連):国家の義務
  学習方法:討論を行おう
 3.福祉を義務づけるべきか?
 4.「食卓」――貧しい人への食糧支援
  プロジェクト1:支援団体「食卓」への訪問
  プロジェクト2:希望を記したノートの作成

自然、文化、技術への問い
第7章 自然とともにある生命――ともに生きる動物
 1.「水がなければ、何も始まらない」
  教科横断的学習(生物の学習と関連):羊水
 2.水を体験する――水を使う
  学習方法:思考の実験
 3.水――恵みか災いか?
  教科横断的学習(地理の学習と関連):エジプト――ナイルの国
 4.さまざまな宗教と水
 5.自然の一部としての動物
 6.動物と人間は違うの?
 7.どのように動物に接するの?
 8.どんな自然を望むの?
  プロジェクト:自然の多様性を守り、種の絶滅を止めよう

真実、現実、メディアへの問い
第8章 メディアが生み出す世界――「美しさ」と「みにくさ」
 1.限度のないメディア?
  学習方法:アンケートを取ろう
 2.ケータイなしで!?
 3.何もかもコンピューターで?
 4.あらゆるものがネット上に
 5.美の輝き
 6.美の輝きを真似する?
 7.何を美しいと思うの?
 8.身のまわりにある美しさ
 9.ふりかえりましょう
  プロジェクト:教室を美しくしよう

起源、未来、意味への問い
第9章 世界のはじまりとおわり
 1.時間について深く考える
  学習方法:声を出さずに筆談してみよう
 2.時間のイメージ
  教科横断的学習(地学の学習と関連):鍾乳洞
 3.神話は語る――世界と人間はどこから来たの?
 4.すべてはどのようにつながっているの?
 5.知識の限界
  プロジェクト:宇宙への思考の旅

起源、未来、意味への問い
第10章 さまざまな宗教の生活と祭り
 1.ユダヤ教
 2.聖なる都、エルサレム
 3.キリスト教
  教科横断的学習(国語の学習と関連):死と希望について――追悼儀式〔葬式〕の意味
 4.イスラーム
 5.ヒンドゥー教
 6.宗教についての手がかり
  プロジェクト1:信仰の篤い人と話そう
  プロジェクト2:沈黙にふさわしい場所を見つけよう

 用語集
 監訳者解説

前書きなど

日本語版『実践哲学科』読者へのことば

1.ドイツでの「倫理・哲学科」の位置づけ
 ドイツでは、「倫理・哲学」という領域での諸教科の位置づけは、各州によってさまざまです。ほぼすべての州では、正規の教科としてのキリスト教の宗教科に、前期中等教育段階(5年生から10年生)では(洗礼を受けた)プロテスタントまたはカトリックの生徒のために、時間割上週2時間が割り当てられています。この宗教科との関係上、「倫理・哲学科」は代替教科という法的地位にあります。つまり、「倫理・哲学科」は、キリスト教の洗礼を受けていない、あるいは14歳以上では良心上の理由から宗教科の受講を希望しない学習者のための必修教科となっています。
 同じような状況が、現在ではイスラームの宗教科の導入をめぐって、いくつかの州で認められます。たとえば、ノルトライン・ヴェストファーレン州(以下、「NRW州」と表記)では、ムスリムの生徒は、イスラームの宗教科を受講する必要がありますが、キリスト教の場合と同様に、14歳になるとその受講を拒否することができ、自動的に「倫理・哲学科」の授業に参加することになるのです。
 例外が、ベルリンとブランデンブルク州に見られます。これらの州では、「倫理科」や「生活形成・倫理・宗教学科」(以下、「LER科」と表記)が前期中等教育段階のすべての生徒にとっての正規の教科(regulares Fach)となっています。反対に、宗教科は、希望が出された場合に、キリスト教会から付与された教授資格を有する教員によって授業が行われています。

 (…中略…)

3.1 見開きと章の構造
 各章は見開きで区切られており、導入場面と終末場面の各見開きが章ごとの枠組みを構成しています。各章の導入場面のページでは、視覚的にテーマへと導いています。以降のページでは、成長する子どもの生活世界に接近した内容や、美術史のなかでも価値ある絵画をとりそろえることによって、美的教育への刺激を与える内容、あるいは哲学について具体的に説明する内容が展開されています。各章の終末場面の見開きの左ページでは、そのつど、学習の成果としてどのくらい知識の幅が広がったかが確認できるようになっています。一方、見開きの右ページでは、学習者が関心を持つプロジェクトの提案がなされています。こうして、各章の重点を、学校外でもチームの協働によって実践的に深めたり、新たな文脈へと創造的に転換したりすることができるように配慮しています。
 各章では、考えを深めるために、二つ以上の見開きが設けられている場合もあります。それぞれの見開きないし小単元では、章の文脈に即して関連するテーマの重点が示されています。ただし、見開きは授業のなかで別個に扱われてもよいし、他の箇所と関連づけることも可能です。関連づける際のヒントは、教科書の欄外の段に示されています。このようにして、この実践哲学科教科書では総合的に、網目状に知を発達させようと方向付けているのです。

 (…後略…)

著者プロフィール

ローラント・ヴォルフガング・ヘンケ  (ローラント ヴォルフガング ヘンケ)  (編集代表

ボンのクララ・シューマン・ギムナジウム教諭。博士(哲学)。1987年よりライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学(ボン)で哲学教授学講師、ボン教員研修センター(ZfsL)哲学科長。哲学教授学に関する著書・論文を多数刊行している。またノルトライン・ヴェストファーレン州実践哲学科及び哲学科カリキュラム委員会メンバーであり、実践哲学科の資格修了コースを統括。数々の哲学科と倫理科の教科書の編者、執筆者を務めている。

濵谷 佳奈  (ハマタニ カナ)  (監訳

大阪樟蔭女子大学児童教育学部児童教育学科准教授。上智大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得満期退学。
博士(教育学)。
〈主な著書・論文〉
日本カトリック教育学会編『福音み~つけた!――「宗教」「倫理」を考えるために 高校編』(共著、燦葉出版社、2016年)。武藤孝典、新井浅浩編著『ヨーロッパにおける市民的社会性教育の発展――フランス・ドイツ・イギリス』(共著、東信堂、2007年)。「ドイツにおける倫理・哲学科による道徳教育カリキュラム改革――コンピテンシー・モデルへの転換に注目して」(『カリキュラム研究』第25号、2016年)。

栗原 麗羅  (クリハラ レイラ)  (

東京医療保健大学和歌山看護学部看護学科教職課程講師。上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士後期課程修了。
博士(教育学)。
〈主な論文〉
「日独の前期中等教育課程における教科横断的な教育目標――日本の『学習指導要領』とバイエルン州の『レーアプラン・プラス』に着目して」(『上智教育学研究』第31号、2018年)。「ドイツにおけるギムナジウム進学機会の公平に向けた取り組み――2000年以降の進路勧告制度改革に着目して」(『上智大学教育学論集』第51号、2017年)。「ドイツにおける二大政党間の学校政策の相違に関する研究――PISAおよび国連調査と保護者の改革運動に着目して」(『比較教育学研究』第53号、2016年)。

小林 亜未  (コバヤシ アミ)  (

コブレンツ・ランダウ大学(ランダウ)教育学部及びハインリッヒ・ハイネ大学(デュッセルドルフ)人文学部現代日本研究所講師。フンボルト大学(ベルリン)人文科学部教育学研究所博士課程修了。修士(教育学)。
〈主な翻訳・論文〉
翻訳に、ヨハネス・ホッホロイター、ハンス・マーティン・クレーマ「ドイツにおける1960年代以降の大学研究の歴史的展開」(『日本の教育史学』61 巻、2018 年)。論文に、"Helden ohne Erfolg: Kriegshelden und das Heldentum in japanischen Schulbuchern (1910-1945)." In: Hohne, S., Siary, G. & Wellnitz, P. (Ed.), Helden und Heldenmythen als soziale und kulturelle Konstruktion (Leipzig: Leipziger Universitatsverlag, 2017). "Die Konstruktion einer neuen Geschlechterrolle und die Eliminierung alter Geschlechterdifferenz. Turnunterricht und Schuluniform in Japan (1870-1945)." In: Groppe, C., Kluchert G. & Matthes, E. (Ed.), Bildung und Differenz (Wiesbaden: Springer VS, 2016).

上記内容は本書刊行時のものです。