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インド・パキスタン分離独立と難民 中谷 哲弥(著) - 明石書店
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インド・パキスタン分離独立と難民 (インドパキスタンブンリドクリツトナンミン) 移動と再定住の民族誌 (イドウトサイテイジュウノミンゾクシ)

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発行:明石書店
A5判
512ページ
上製
価格 6,800円+税
ISBN
978-4-7503-4835-3   COPY
ISBN 13
9784750348353   COPY
ISBN 10h
4-7503-4835-X   COPY
ISBN 10
475034835X   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年6月5日
書店発売日
登録日
2019年6月7日
最終更新日
2019年6月12日
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紹介

南アジア史の結節点である1947年インドとパキスタンの独立では、ヒンドゥー教徒はインドへ、イスラーム教徒はパキスタンへと大量の難民移動を生み出した。本書は東パキスタン難民を取り上げ、その移動と再定住、そして再定住先での地域社会の構築を描く。

目次

 まえがき

 現地語表記について

 図表一覧

序論
 1.概要
 2.問題の所在─分離研究(partition studies)と難民研究
 3.分離独立難民に関する先行研究
 4.難民の定義
 5.調査について
 6.本書の構成

第1部:インド・パキスタン分離独立と難民問題

第1章 分離独立とヒンドゥー・ムスリム関係
 第1節 ヒンドゥー・ムスリム関係
 第2節 分離独立への政治過程
 第3節 国境画定問題

第2章 分離独立による難民の発生と政策
 第1節 南アジアにおける難民問題
 (1)植民地主義の終焉に伴う難民
 (2)独立後の国民形成に伴う難民
 (3)地域外からの難民流入
 第2節 分離独立による難民の発生と難民移動
 (1)東パキスタンからの難民流入状況
 (2)難民統計と分布
 第3節 難民政策
 (1)パンジャーブとベンガルにおける難民への政府対応の相違
 (2)西ベンガル州におけるレリーフとリハビリテーション
   1)難民認定
   2)レリーフとリハビリテーション
   3)難民コロニー開発
   4)その他の支援

第2部:農村部での再定住─西ベンガル州のボーダー・エリア

第3章 西ベンガル州・ノディア県における難民の移動と再定住
 第1節 調査地の概要
 (1)西ベンガル州・ノディア県と調査村
 (2)調査村の産業
 (3)行政区分と公共インフラ等
 (4)人口の変化と特徴
 (5)独立時の調査村の状況
 (6)分離独立難民の居住地としての位置づけ
 第2節 難民の属性と移動形態の特徴――世帯調査より
 (1)世帯調査について
 (2)難民の属性
   1)出身地
   2)カースト
   3)職業
   4)教育
 (3)移動のパターン
   1)出身地
   2)移動年
   3)移動理由
   4)移動経緯
   5)往復移動と連鎖移動
   6)政府の出入国管理政策への対応
   7)キャンプでの生活
   8)市民権と法的身分
 小括

第4章 農村部での難民再定住の諸形態
 第1節 政府によるリハビリテーション
 (1)リハビリテーション政策と土地取得ローン
 (2)B村におけるリハビリテーション
   1)難民による「自主的スキーム」と「ボシュ・スキーム」
   2)リハビリテーションの実績と問題点
 第2節 ムスリムとの財産交換
 (1)財産交換と難民移動の条件
 (2)財産交換の実践
 (3)財産交換の収支バランス
 第3節 自力での再定住
 (1)東パキスタンからの動産の持ち込み
 (2)自力再定住と土地所有
 (3)生存戦略
   1)農業関連
   2)商業関連
   3)サービス関連
 小括

第5章 ノモシュードロ:リハビリテーション活動と社会開発
 第1節 「フォリドプルのガンディー」と呼ばれたソーシャル・ワーカー
 (1)チョンドロナト・ボシュと伝記
 (2)東ベンガルでの活動――農村振興、分離独立の狭間で
 (3)西ベンガル州での活動――難民リハビリテーション
 (4)小括
 第2節 「フォリドプルのガンディー」と難民リハビリテーション
 (1)リハビリテーション活動と難民政策
 (2)チョンドロナト・ボシュによる2つのリハビリテーション
   1)難民リハビリテーション前史
   2)ボーダー・エリアへの難民再定住
   3)ドンドカロンノへの難民再定住
 第3節 難民再定住から社会開発へ
 (1)難民の記憶と社会開発
 (2)難民再定住のその後――教育機関、NGOの設立
 (3)地域社会との関係
 小括

第6章 カースト・アイデンティティと難民の記憶
 第1節 ノモシュードロの宗教世界――モトゥア
 (1)ノモシュードロ・カーストの成立
 (2)ノモシュードロによる抵抗の歴史とモトゥア
 (3)モトゥアの教義
 (4)B村のモトゥア
 第2節 移住先での難民社会と宗教祭礼
 (1)分裂したナム・ジョッゴ祭礼――ノモシュードロとマヒッショ
 (2)ナム・ジョッゴ行事と難民ネットワーク
 第3節 難民の記憶と相互認識
 (1)難民か地元民か?
 (2)強制移住の記憶
 (3)難民の相互関係とカースト
 小括

第3部:大都市圏での再定住─首都デリー

第7章 デリーにおける東パキスタン避難民コロニー獲得運動
 第1節 独立後のデリーと東パキスタン避難民
 (1)デリーへの難民(避難民)流入と新たな市街地の形成
 (2)デリーのエスニック構成と東パキスタン避難民
 (3)デリーのベンガル人
 第2節 東パキスタン避難民コロニー獲得運動
 (1)背景
 (2)交渉の過程
 (3)土地配分と申請資格
 (4)コロニー開発と住民の活動
 (5)さらなる獲得運動――714グループ
 小括

第8章 チットロンジョン・パーク:住民の属性と移動形態
 第1節 チットロンジョン・パークの概要
 (1)位置
 (2)建設プラン
 (3)現況
 第2節 住民の特性――世帯調査より
 (1)住民イメージの再考
 (2)住民の属性
   1)土地受給時期
   2)出身地
   3)カースト
   4)教育
   5)職業
 (3)移動の背景と避難民/難民的特徴
   1)デリーへの移住年
   2)インド側への移動年
   3)デリーへの移動経緯
 (4)東ベンガルと西ベンガル
   1)東ベンガルの記憶
   2)西ベンガル州に対する評価
 小括

第9章 生活空間の構築とベンガルをめぐる模索
 第1節 ミニ・ベンガルを構築するアソシエーション的連合
 (1)東パキスタン避難民アソシエーション
 (2)チットロンジョン・パーク・カーリー寺院ソサエティ
 (3)国の友・チットロンジョン記念ソサエティ
 (4)プルボシュリ女性協会
 (5)チットロンジョン・パーク・ベンガル協会
 (6)ビピン・チョンドロ・パル記念トラスト
 第2節 チットロンジョン・パークを越えて広がるベンガル・ネットワーク
 (1)デリーにおけるベンガル人居住地
 (2)ベンガル関連宗教施設
 (3)文芸・音楽活動のネットワーク
 第3節 ミニ・ベンガルの揺らぎと模索
 (1)ベンガル語教育の現状
   1)ベンガル語教室
   2)ブックフェアー
   3)ベンガル学校
 (2)世代間の問題
 (3)多様で重層的な価値観
 (4)在外ベンガル人としての模索
 小括

第10章 近隣関係の構築と都市化・再開発
 第1節 デリーにおける都市化の進展
 第2節 ドゥルガ・プジャ(ドゥルガ女神年祭礼)の拡大と分裂
 (1)ドゥルガ・プジャの歩み
   1)ドゥルガ・プジャとベンガル人
   2)デリーにおけるドゥルガ・プジャの歴史
 (2)チットロンジョン・パークにおけるドゥルガ・プジャの変遷
   1)第1段階:1カ所での開催
   2)第2段階:世帯の増加とともに分裂増加
   3)第3段階:1990年代の入居者によるプジャの開始
   4)第4段階:プジャの肥大化とコマーシャリズムの介入
   5)第5段階:親密さへの回帰
   6)ドゥルガ・プジャの概要
 (3)コマーシャリズムと融合するドゥルガ・プジャ
 (4)親密さへ回帰するドゥルガ・プジャ
 (5)近隣の残像としてのドゥルガ・プジャ
 第3節 都市開発によるミニ・ベンガルの揺らぎ
 (1)不動産開発と地価高騰
 (2)マーケット再開発
 小括

結論


 あとがき

 参考文献

 索引

前書きなど

まえがき

 本書は、1947年に英領インドからインドとパキスタンの2つの国家が同時に独立したこと、すなわち、分離独立によって発生した難民(避難民)の問題を扱っている。分離独立に伴いヒンドゥー教徒やシク教徒はインドへ、イスラーム教徒はパキスタンへと、大量の難民移動が生じた。難民発生には大きな歴史過程が関わり、人々の移動の過程や再定住後の歩みは多様で複雑であることから、本書の内容を端的に示すことは容易ではない。
 そこで、本書の全体像をイメージしてもらうために、ここでは分離独立難民(partition refugees)と筆者との出会いから書き起こしておきたい。本書はフィールド調査に基づく成果である。そうであるならば、調査対象との出会いを示すことは本書を読み進めてもらうために、わずかながらも導きの糸を提供することにつながるであろう。

 (…後略…)

著者プロフィール

中谷 哲弥  (ナカタニ テツヤ)  (

1961年生まれ。
1990~92年 在バングラデシュ日本国大使館専門調査員
1996年 甲南大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学
1996年 奈良県立商科大学(現奈良県立大学)専任講師
2001~02年 Delhi School of Economics(デリー大学)客員研究員
現在、奈良県立大学地域創造学部教授。博士(社会学)
専攻は文化人類学、南アジア地域研究。

主な著作
「デリー都市圏における近隣関係の構築と変容――東パキスタン避難民コロニーを事例として」、三尾稔・杉本良男編『現代インド6 環流する文化と宗教』、東京大学出版会、2015年、“Durga Puja and Neighbourhood in a Displaced Persons’ Colony in New Delhi”, in Crispin Bates and Minoru Mio (eds.), Cities in South Asia, Routledge, 2015、「マーヤープル――聖者の世界進出と聖地のグローバル化」、星野英紀・山中弘・岡本亮輔編『聖地巡礼ツーリズム』、弘文堂、2012年ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。