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こんなに違う! アジアの算数・数学教育 田中 義隆(著) - 明石書店
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こんなに違う! アジアの算数・数学教育 (コンナニチガウアジアノサンスウスウガクキョウイク) 日本・ベトナム・インドネシア・ミャンマー・ネパールの教科書を比較する (ニホンベトナムインドネシアミャンマーネパールノキョウカショヲヒカクスル)

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発行:明石書店
A5判
352ページ
並製
価格 3,400円+税
ISBN
978-4-7503-4834-6   COPY
ISBN 13
9784750348346   COPY
ISBN 10h
4-7503-4834-1   COPY
ISBN 10
4750348341   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年4月15日
書店発売日
登録日
2019年4月9日
最終更新日
2019年4月23日
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紹介

日本とアジア4カ国の初等・中等教育における算数・数学の教育内容と教授方法を比較した初めての研究書。加法、減法、乗法、除法、分数、小数、零の概念、概数、度量衡について、教科書を詳しく比較分析することにより各国の特徴と知られざる実態を紹介する。

目次

 はじめに

第1章 各国の教育制度・教育課程と教科書
 1.1 日本
 ・教育課程
 ・教科書と教科書制度
 1.2 ベトナム
 ・教育制度
 ・教育課程(カリキュラム)
 ・教科書と教科書制度
 1.3 インドネシア
 ・教育制度
 ・教育課程(カリキュラム)
 ・教科書及び教科書制度
 1.4 ミャンマー
 ・教育制度
 ・教育課程(カリキュラム)
 ・教科書と教科書制度
 1.5 ネパール
 ・教育制度
 ・教育課程(カリキュラム)
 ・教科書と教科書制度

第2章 加法と減法
 2.1 日本:問題場面の重視と数の合成分解に基づく加減演算
 ・問題場面を重視した指導
 ・数の合成分解に基づいた演算指導
 2.2 インドネシア:計算重視の指導
 ・目的は計算技能の習得
 ・誤った数の合成分解の活用
 ・特徴のある加減法の筆算
 2.3 ミャンマー:散見される誤った記述
 ・問題場面設定の誤り
 ・数の合成分解における誤り
 〈囲み記事〉ミャンマーの簡易な「加減練習表」
 2.4 ネパール:計算力の重視
 ・意味の軽視
 ・徹底的に繰り返される演算練習
 コラム:直観主義と数え主義

第3章 乗法
 3.1 日本:問題場面と意味の重視――〈ずつの数〉×〈いくつ分〉
 ・乗法の意味理解の徹底
 ・「0」を用いた乗法導入の工夫
 〈囲み記事〉日本の「九九」の表
 3.2 ベトナム:乗法は累加の書き換え――〈いくつ〉×〈何回〉
 ・乗法の意味指導
 ・除法との関係性を重視
 ・「0」を用いた乗法の指導
 〈囲み記事〉ベトナムの乗法表「10×10」
 3.3 インドネシア:乗法と累加は同じ――〈何回〉×〈いくつ〉
 ・乗法の独特の意味理解
 ・特徴のある乗法の筆算
 ・「0」を用いた乗法の指導
 〈囲み記事〉インドネシアの乗法一覧と乗法表「10×10」
 3.4 ミャンマー:累加から乗法へ――〈いくつ〉×〈何回〉
 ・乗法の意味と構造
 ・「0」を用いた乗法の指導
 ・特徴のある乗法の筆算
 〈囲み記事〉ミャンマーの乗法表「10×10」プラスα
 3.5 ネパール:累加を乗法に変換――〈いくつ〉×〈何回〉
 ・乗法の意味指導
 ・「0」を用いた乗法の指導
 〈囲み記事〉ネパールの乗法表「10×10」プラスα
 コラム:乗法と累加

第4章 除法
 4.1 日本:問題場面と意味の重視――「包含除」と「等分除」、「分離量」と「連続量」
 ・「包含除」と「等分除」の同時導入
 ・「分離量」と「連続量」を用いた除法
 ・余りのある除法
 4.2 ベトナム:除法は乗法の逆算
 ・乗法から生まれる二つの除法式
 ・余りのある除法
 ・独特の除法の筆算
 ・「:」で表される除法記号
 4.3 インドネシア:累減としての除法
 ・誤った累減のついての理解
 ・乗法との関係
 ・余りのある除法と独特の筆算の表記
 ・「:」で表される除法記号
 4.4 ミャンマー:「包含除」と「等分除」を区別した除法
 ・不明確な「包含除」と「等分除」の違い
 ・乗法式から除法式への変換は「包含除」のみ
 ・「0÷一位数」の登場
 ・「分離量」と「連続量」
 ・余りのある除法と独特の筆算の表記
 4.5 ネパール:「等分除」はない!?
 ・除法は「包含除」だけ!
 ・累減の誤った適用
 ・余りのある除法
 ・独特の除法筆算の表記――二種類の表記方法
 コラム:等分除が先か?それとも包含除が先か?

第5章 0の学習
 5.1 日本:「10」の学習後に「0」の導入
 5.2 インドネシア:「20」までの数の学習後に「0」の導入
 5.3 ミャンマー:早期導入の長所、活かせず!
 5.4 ネパール:多くの疑問が残る「0」の導入

第6章 分数
 〈囲み記事〉二つの文化圏――分数圏と小数圏
 6.1 日本:「分割分数」から「量分数」、そして「数としての分数」へ
 ・問題ありの「分割分数」から「量分数」への移行
 ・小数との並行学習による混乱
 6.2 ベトナム:「分割分数」から「商分数」、「割合分数」へ
 ・「商分数」と「割合分数」を中心とした高度な内容!?
 ・分数先習
 6.3 インドネシア:「数としての分数」を中心とした分数学習
 ・分数の意味の軽視
 ・分数の特殊形としての小数の扱い
 6.4 ミャンマー:計算技能を重視した分数学習
 ・「数としての分数」中心
 ・分数先習、分数の特殊形としての小数
 6.5 ネパール:意味よりも計算技能の重視
 ・「数としての分数」の学習中心
 ・分数先習、分数の特殊形としての小数の扱い
 コラム:分数と小数の本質的差異

第7章 小数
 7.1 日本:意味理解と計算方法の習得のバランス重視
 ・意味理解の促進のための工夫――「単位小数」と数直線の活用
 ・明確なアルゴリズムの説明
 7.2 ベトナム:集中的・集約的な小数学習
 ・意味理解より計算力の重視
 ・小数点としての「コンマ(,)」の使用
 〈囲み記事〉世界の小数点の表記
 7.3 インドネシア:系統的な学習なし
 ・小数の散発的登場
 ・小数点としての「コンマ(,)」の使用
 7.4 ミャンマー:「分数圏」独特の小数学習
 ・不十分な小数の意味理解
 ・小数点としての「ピリオド(.)」の使用
 7.5 ネパール:「分数圏」における典型的な小数学習
 ・不十分な四則計算の筆算アルゴリズムの説明
 ・小数点としての「ピリオド(.)」の使用
 コラム:小数の起源

第8章 概数
 8.1 日本:教育学的・論理的に破綻している概数学習の導入
 8.2 ベトナム:概数の学習はない
 8.3 インドネシア:買い物の合計金額の迅速な計算が目的
 8.4 ミャンマー:四捨五入を教えない概数学習
 8.5 ネパール:概数は児童の学習負担の軽減!?

第9章 長さ、重さ、かさの単位(度量衡)の学習
 9.1 日本:メートル法式単位中心だが、論理的とは言い難い展開
 9.2 ベトナム:メートル法式単位に基づいた論理的展開
 9.3 インドネシア:教材配置の再考が必要か!?
 9.4 ミャンマー:様々な単位系の混在で極めて複雑!
 コラム:ミャンマーの度量衡
 9.5 ネパール:メートル法式単位を中心とした学習
 コラム:メートル法と国際単位系(SI)

 おわりに
 参考文献・資料
 付属資料1 日本の初等算数教科書の内容
 付属資料2 ベトナムの初等算数教科書の内容
 付属資料3 インドネシアの初等算数教科書の内容
 付属資料4 ミャンマーの初等算数教科書の内容
 付属資料5 ネパールの初等算数教科書の内容

前書きなど

はじめに

 一般に「算数・数学」と言えば、誰もが世界共通で、どこの国々や地域でも同じような内容が同じような方法で教えられていると思い込んでおられるようです。実は、私も20年ほど前まではそうでした。しかしながら、政府開発援助(Official Development Assitance: ODA)による世界の教育開発支援に携わるようになって、その考えが私自身の勝手な思い込みであったことに気付かされました。その最初の契機となったのはベトナムにおいてでした。

 (…中略…)

 本書は全部で九つの章から構成されています。第1章ではそれぞれの国の教育制度、教育課程(カリキュラム)、教科書と教科書制度について概観しています。その後、第2章から第9章までが各国の算数・数学教育の内容比較となっています。先に触れた九つのトピックとは、①加法、②減法、③乗法、④除法、⑤0の学習、⑥分数、⑦小数、⑧概数、⑨度量衡です。各章の内容は、算数・数学教育という根底の部分においてお互いに関連していることは事実ですが、執筆する際には読者の皆様にとって読みやすいものとなるように、各トピックの独立性をある程度意識して書きました。したがって、本書を手にとられた際、最初の章から順番に読まれても結構ですし、ご興味のあるトピックから読まれても、内容について十分に理解できるようにしたつもりです。

 (…後略…)

著者プロフィール

田中 義隆  (タナカ ヨシタカ)  (

1964年京都府京都市生まれ。滋賀大学経済学部卒業。モントレー・インスティテュート・オブ・インターナショナル・スタディーズ(米国カリフォルニア州)国際行政学修士課程修了。香川県の公立高等学校での社会科教諭、青年海外協力隊(JOCV)として中華人民共和国の北京での日本語教師、国際連合本部(ニューヨーク)でのインターンなどを経て、現在、株式会社 国際開発センター(IDCJ)主任研究員。専門は教育開発(カリキュラム開発・教育方法論)。
これまで日本政府による政府開発援助(ODA)の一環として、中国、モンゴル、タイ、ラオス、ミャンマー、べトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ネパールなどのアジア諸国、及びパプアニューギニア、ソロモン諸島などの大洋州諸国での教育開発業務に従事。また、欧米諸国やオーストラリア、ニュージーランドなど先進諸国での教育調査も行う。
現在、ミャンマーにて同国教育省をカウンターパートとして、教育改革の支援を行っている。具体的には新しい初等教育の教育課程及び教科書などの開発を手かけている。
主な著書として、『ベトナムの教育改革』、『インドネシアの教育』、『21世紀型スキルと諸外国の教育実践』、『ミャンマーの歴史教育』、『ミャンマーの教育』(以上、明石書店)、『カリキュラム開発の基礎理論』(国際開発センター)などがある。日本教育学会会員。

上記内容は本書刊行時のものです。