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沖縄と朝鮮のはざまで 呉 世宗(著) - 明石書店
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沖縄と朝鮮のはざまで (オキナワトチョウセンノハザマデ) 朝鮮人の〈可視化/不可視化〉をめぐる歴史と語り (チョウセンジンノカシカフカシカヲメグルレキシトカタリ)

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発行:明石書店
四六判
368ページ
上製
価格 4,200円+税
ISBN
978-4-7503-4787-5   COPY
ISBN 13
9784750347875   COPY
ISBN 10h
4-7503-4787-6   COPY
ISBN 10
4750347876   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年1月31日
書店発売日
登録日
2019年1月23日
最終更新日
2019年2月13日
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紹介

沖縄現代史の中に浮かんでは消える朝鮮人の姿。なぜ彼(女)らの姿は泡沫のような曖昧な姿なのか。本書は、朝鮮人の姿を不可視化する沖縄現代史の語りの空間を分析しながら、沖縄の朝鮮人を東アジアの脱植民地化の歴史の中に位置づけ直そうとする野心的な試みである。

目次

 凡例
 はじめに

第一章 沖縄戦の中で絡み合う歴史、不可視化する朝鮮人
 一、沖縄戦の中の朝鮮人たち
  第三二軍の創設とその役割
  朝鮮人「軍夫」たちの連行の背景
  使役される朝鮮人「軍夫」――暴力、重労働、飢え
  玉砕作戦
  戦闘中に殺されていく朝鮮人たち
  朝鮮人「慰安婦」たちが連行されてきた背景
  「慰安所」と日本兵たちの認識
 二、沖縄の人々と朝鮮人たちの関係
  沖縄の人々と朝鮮人「軍夫」たち
  「戦後」に起きた殺害――久米島の朝鮮人虐殺事件
  朝鮮人「慰安婦」と沖縄の人々および朝鮮人男性との関係
 三、朝鮮人と沖縄の人々の位階秩序を越えた関係

第二章 朝鮮人たちの「戦後」――収容・帰郷・残留
 一、米軍の占領政策の中での朝鮮人たち
  収容される朝鮮人たち
 二、収容後の二つの道――帰郷する朝鮮人、沖縄に留まる朝鮮人
  帰郷する朝鮮人
  沖縄に留まる朝鮮人
 三、日本「本土」と沖縄における入国(域)管理体制――無国籍となる沖縄の朝鮮人
  日本「本土」の入国管理体制
  沖縄の出入域管理体制

第三章 沖縄をめぐって――国際的動向と抵抗運動
 一、米国の軍事戦略の中の沖縄と韓国
  沖縄と韓国――アジア民族反共連盟(APACL)
 二、日韓会談、日韓条約と沖縄の朝鮮人
  日韓条約の締結と沖縄の朝鮮人への影響
 三、脱植民地化に向かう沖縄――『琉大文学』と復帰運動
  一九五〇年代の『琉大文学』
  復帰運動
  ベトナム戦争と復帰運動

第四章 沖縄の朝鮮人の出現と語りの空間
 一、沖縄の朝鮮人たちの出現
 二、住民の立場からの沖縄戦の記録運動と朝鮮人についての語り
  記録運動と語りの空間
 三、語りの空間に関連する出来事――沖縄、日本「本土」、韓国政府
  沖縄――メディアおよび大学紀要等に現れた朝鮮人たち
  日本「本土」での出来事――富村順一の朝鮮人についての語りと「沖縄のソンミ事件」
  韓国政府の動き

第五章 沖縄の朝鮮人の行方――施政権返還以後
 一、朝鮮総連と日本人による沖縄戦に関する合同調査
 二、韓国からの出稼ぎ労働者(一九七三‐七六年)
 三、裴奉奇の登場
 四、結論――回帰する朝鮮人たちと沖縄の脱植民地化

おわりに――沖縄の朝鮮人に関する碑・塔の紹介

 あとがき

 注
 参考文献・映像・サイト
 人名索引

前書きなど

はじめに

 本書は、沖縄における朝鮮人を考察しようとするものである。沖縄に朝鮮人がいたのか、という疑問を持つ人もいるだろう。また沖縄戦時に連行されてきた朝鮮人のことを論じるのでは、と思う人もいるかもしれない。もちろん沖縄に朝鮮人はいた/いるのであり、また沖縄における朝鮮人を論じる場合、歴史的に見ていくならば一つの観点だけで考察することは難しい。

 (…中略…)

 本書の構成をごく簡略に述べるならば、第一章は主に沖縄戦時の朝鮮人たちについて論じている。第二章は沖縄戦が終結してなお、朝鮮人たちが見えなくなる一九五〇年代を主に扱っている。第三章は沖縄が東アジア、日本、米国とどのような国際関係の下に置かれていたのかを、そして『琉大文学』及び沖縄と第三世界との連帯を生んだ復帰運動について論じた。そして第四章は一九六〇年代中盤以降、どのように沖縄の朝鮮人たちが可視化されたのかを、記録運動を中心軸にして論じている。第五章は沖縄の施政権返還後、朝鮮人の可視化をめぐってどのような動向があったのかを概観し、彼/彼女たちの現れの行方について論じた。
 主に利用した史資料は、沖縄の人々の証言が多く収録された沖縄県史および県内の各自治体史、そして沖縄で発刊されている新聞資料である。また韓国の新聞資料や数少ない調査報告書なども利用している。

 それでは沖縄における朝鮮人を見ていきたい。

著者プロフィール

呉 世宗  (オ セジョン)  (

1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)。琉球大学人文社会学部准教授。主な著書に、『リズムと抒情の詩学――金時鐘と「短歌的抒情の否定」』(生活書院、2010年)。主な論文に「金嬉老と富村順一の日本語を通じた抵抗」(『琉球アジア文化論集』4号、2018年)、「到来する歴史、積み重ねられていく小さな時間」(『越境広場』4号、2017年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。