版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
ロシア正教古儀式派の歴史と文化 阪本 秀昭(編著) - 明石書店
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

直接取引:なし

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

ロシア正教古儀式派の歴史と文化 (ロシアセイキョウコギシキハノレキシトブンカ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:明石書店
四六判
468ページ
上製
価格 5,500円+税
ISBN
978-4-7503-4786-8   COPY
ISBN 13
9784750347868   COPY
ISBN 10h
4-7503-4786-8   COPY
ISBN 10
4750347868   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0314  
0:一般 3:全集・双書 14:宗教
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年1月31日
書店発売日
登録日
2019年1月22日
最終更新日
2019年2月13日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

17世紀半ばのロシア正教の教会改革による宗教分裂は、ロシア社会と国民精神の分裂をもたらし「古儀式派」と呼ばれる分派を生み出した。ロシア理解はそれへの深い認識なしには不可能といってよい。本書は古儀式派に関する初めての概説書。

目次

序言 日本古儀式派研究会はいかにして成立したか〔中村喜和〕

 はじめに〔阪本秀昭〕

第一部 古儀式派の発生とその歴史

第一章 中世ロシアの精神史における古儀式派――中世ロシアにおける権力と宗教のダイナミズム
第二章 ニーコンの改革と「古儀式派」の発生
第三章 無司祭派の分立
第四章 司祭派の展開
第五章 古儀式派とコサック――民衆運動の源泉

第二部 古儀式派とロシア・ソ連の社会

第六章 古儀式派教徒の禁欲主義とその経済活動
第七章 レーニンと古儀式派
第八章 「男らしい」聖女と従順な母――古儀式派における婚姻とジェンダー

第三部 アジアの古儀式派教徒――越境・移住・定住

第九章 南シベリアの古儀式派教徒セメイスキー
第一〇章 礼拝堂派の形成と満洲移住
第一一章 中国の古儀式派教徒と南北米、オセアニアへの移住

第四部 古儀式派周辺のキリスト教各宗派

第一二章 ルーシの正教会の二つの教会分裂――合同教会と古儀式派
第一三章 古儀式派とセクト

第五部 ロシア文学、ロシア文化と古儀式派

第一四章 ロシア文学の中の古儀式派(一九世紀を中心に)
第一五章 古儀式派のイコンについて
第一六章 古儀式派の文学とその伝統

 おわりに〔中澤敦夫〕

 図版出典一覧
 帝政期古儀式派系主要財閥
 ロシア正教古儀式派関連年表
 無司祭派の系譜
 司祭派の系譜
 索引

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書は以上のように各分野に通じた専門的研究者の集団的著作であるが、古儀式派教徒の歴史と文化は、当然のことながら本書において追及することのできた分野以外にさらに幅広い分野にわたり、その影響と作用はロシア文化に広くかつ深く根を下ろしている。特に彼らの伝統文化は信仰と儀礼の分野を始め、言語、音楽、手工芸、建築、書物文化等において独自の発展を遂げ、改めて各方面から注目されるに至っている。近年ロシア各地でそれに関する実態調査と保存活動が盛んに展開されているのも故のないことではない。本書はこれらの分野のより深い理解に資するための基礎的な知識と問題関心を提供することを課題の一つとしている。
 本書の執筆にあたって、概説書の枠の中で、現在の国際的研究水準も踏まえつつ、またフィールドワークの成果を広く取り入れながら、できるだけ広範囲の問題を相互に関連づけて叙述することを心がけた。さらに外国の有力な研究者の協力のもと、従来の我が国における研究では見落とされがちであった、古儀式派修道院の活動、現在のロシアにおける古儀式派各派の動向、古儀式派各派とロシアの地域性との関連等の諸問題に具体的に踏み込むことができた。本書はまた、古儀式派をめぐる周辺の関連事情にも言及することによって、古儀式派をいわば客体としてながめる視点を確保しようとした点にも特色がある。それは第一、二章の権力と宗教の相互関係を重視する視座、第一二章のユニエイト(合同教会)と古儀式派の出現を、ギリシアの正教会とロシアの正教会の関係性の変化に対応した出来事としてとらえる考え方、第一三章の隣接各宗派と古儀式派を対比する視点にも表れている。これらによって古儀式派が提起する諸問題に対し、一層深くかつ幅広く多様な角度から眺めることができるようになったのではないかと確信している。本書が我が国における古儀式派への関心と理解を一層深めるきっかけになることを期待している。

著者プロフィール

阪本 秀昭  (サカモト ヒデアキ)  (編著

1948年生まれ。天理大学名誉教授。ロシア・シベリア近現代史。著書に『帝政末期シベリアの農村共同体―農村自治・労働・祝祭―』(ミネルヴァ書房、1998年)、『旧「満州」ロシア人村の人々―ロマノフカ村の古儀式派教徒―』(共著、東洋書店、2007年)、『ロシアの祭り―民衆文化と政治権力―』(東洋書店、2009年)がある。編著に『満洲におけるロシア人の社会と生活―日本人との接触と交流―』(ミネルヴァ書房、2013年)がある。論文に「正教古儀式派の禁欲主義と勤労原理に関する考察―ユダヤ教およびプロテスタンティズムとの比較から―」『アリーナ』(中部大学、第20号、2017年)、「古儀式派教徒の信仰と生活―西ウクライナとロシア極東の比較―」『アリーナ』(第20号)など。

中澤 敦夫  (ナカザワ アツオ)  (編著

1954年生まれ。富山大学人文学部教授。中世ロシア文学、文化史。著書に『ロシアはどこからやって来たか』(新潟日報事業社、2002年)、Рукописание Магнуша; Исследование и тексты. СПб.: Дмитрий Буланин 2004. 『ロシア古文鑑賞ハンドブック』(群像社、2011年)などがある。論文に「ニコライ・カラムジンの歴史叙述における〈広い心〉について」(富山大学人文学部紀要、2013年)、「『イパーチイ年代記』翻訳と注釈」(1)~(9)(富山大学人文学部紀要、2014~2018年)など。翻訳にアローン・グレーヴィチ著『同時代人の見た中世ヨーロッパ』(平凡社、1995年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。