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アジア太平洋の労働運動
連帯と前進の記録
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年1月25日
- 書店発売日
- 2019年1月25日
- 登録日
- 2018年12月26日
- 最終更新日
- 2019年9月20日
紹介
全世界の半数を超える人口を擁し、急速な経済発展を続けているアジア太平洋地域を結ぶ労働運動に長年関わってきた著者が、その成長の背後に起きている不平等の拡大の中、労働者の権利の保障・経済的公正の実現を目ざしてきた組織活動と今後の課題を報告する。
目次
はじめに
労働運動組織一覧
第1章 国際労働運動について
1.パンと自由と平和のために
主要国際労働団体・国際機関
2.ICFTUとITUC:運動の目標と組織
国際労働運動のめざす理想:社会正義の実現
ITUC(国際労働組合総連合)のしくみ
3.国際労働運動の展開
本書のテーマ:組織調整の課題
アジア太平洋地域労働運動のあり方
◆ICFTU-APRO素描
【補論1】 国際労働運動になぜ参加するのか?
国際公正労働基準をつくり、実施するための共同行動
【補論2】 国際労働運動における連合のポジション
第2章 各国労働運動の課題と挑戦
第1節 インドネシア――統制された組合から自由・独立・民主的組織へ
プロローグ
◆【インドネシア年表】 植民地支配から民主体制へ
歴史の中のインドネシア労働運動:統制のくびき
ICFTU-APRO、組織改革の協力へ
◆ICFTU-APRO/ITUC-APとITSs(GUFs)、ドナーとの調整
◆インドネシア繊維衣料労連の組織改革について
アジア金融危機とKSPIの成立
◆インドネシアの労働組合数
KSPI、ICFTU加盟へ
エピローグ
第2節 ネパール――民主主義の実現と労働組合の連帯へ
プロローグ
◆【ネパール年表】 王政から連邦民主共和国への歩み
ネパール労働組合運動の淵源
マオイストの蜂起と政治の混乱
ICFTU-APRO、非常事態宣言下の大会
ネパール連邦民主共和国への歩み:労働組合共同宣言
マオイストのITUC加盟
エピローグ
第3節 ミャンマー――亡命からミャンマー労働組合総連合の結成へ
プロローグ
◆【ミャンマー年表】 軍政から民主政へ
民主化運動と弾圧、FTUB(亡命)の結成
◆第15回ICFTU-APRO地域大会決議(1992年)
ICFTU/ICFTU-APROビルマ支援会議の開催
第1回FTUB大会の開催(亡命)
FTUBのミャンマー帰還と労働運動の活性化
ITUCミャンマー事務所の設置
エピローグ
第4節 カンボジア――ITUCの旗のもとに組織分立の克服へ
プロローグ
◆【カンボジア年表】 動乱から開発へ
ICFTU-APRO、アプローチを開始
カンボジア労働組合調整会議(CTUCC)の結成と展開
◆ロン・チュンの逮捕と釈放
最低賃金交渉の急進化と課題
ITUC加盟に向けた調整
◆組織事情調査結果
ITUCカンボジア協議会の結成
2013年最低賃金交渉の教訓
◆ITUC規約第4条 資格停止と除名
エピローグ
第5節 中国――孤立政策から関与政策へ
プロローグ
◆【中国年表】 国際孤立から関与政策へ
中国孤立政策から関与政策へ
改革開放と天安門事件
◆山岸章連合会長意見書
◆芦田甚之助連合会長見解(第105回ICFTU執行委員会、1994年12月)
香港返還とICFTUの方針転換
◆香港国際連絡事務所
ビル・ジョーダンICFTU書記長訪中へ
中国作業部会の設置
中国関与政策の深化とICFTU-APRO訪中団への道のり
ICFTU-APRO訪中計画の崩壊
ICFTU/総工会関係の進展、動揺、回復
ITUC-AP訪中団の派遣
エピローグ
第6節 アラブ労働組合連盟の結成――アラブの春へのサポートと中東和平の推進へ
プロローグ
◆【中東年表】 歴史的淵源から現代へ
MENA地域組織の結成:地域組織区分の変更
「アラブ」の定義とHISTADRUT排除
ITUC執行委員会の追認(第11回執行員会、2013年10月)
アラブ労働組合連盟の結成
エピローグ
◆アラブの春とノーベル平和賞
第3章 連帯を国際化しよう
プロローグ
◆【ICFTU、ITUC関連年表】(第3、4章関連)
「連帯を国際化しよう」
地域組織弾劾
◆第16回ICFTUブリュッセル大会(1996年)決議 地域組織強化
地域大会を廃止する
「第18回ICFTU宮崎大会を返上する」
トップダウンか、地域重視か
エピローグ
◆ICFTU宮崎大会決定のフォローアップ(第123回執行委員会、2005年6月21、22日)
【補論】本部・地域の政策、組織運営の課題について
第4章 ICFTUからITUCへ
プロローグ
ICFTUとWCL:統合前史
◆新国際労働組合組織のための基本的原則
【統合の課題1】 自由、民主、独立と多元主義
【統合の課題2】 加盟資格、執行機関、対外代表
ITUC執行委員会・大会代議員構成
アジア太平洋地域での統合:多元主義の克服
多元主義の問題
新地域組織規約の起草
◆ICFTU-APRO/BATU合意
ITUCアジア太平洋地域組織の結成
エピローグ
終章 連帯と統一――前進への道
【補論】 それから、そして、これから
あとがき
【参考資料】
第14回連合定期大会メッセージ(2015年)
[資料1]第77回ICFTU-APRO執行委員会決議(2004年)
[資料2]第81回ICFTU-APRO執行委員会決議(2005年)
[資料3]ネパールの平和構築に向けた労働組合の積極的関与宣言(2006年)
[資料4]第1回FTUB大会宣言(2009年)
[資料5]CTUMヤンゴン宣言(2014年)
[資料6]ITUCカンボジア加盟組織協議会声明(2013年)
[資料7]第2回ICFTU中国作業部会によるICFTU執行委員会への政策提言(骨子)(2002年)
[資料8]ICFTU/WCL政治合意(2006年)
[資料9]ICFTU-APRO解散決議(2007年)
[資料10]ITUCの将来――ルールを守り現在の運営を変えよ
【索引】
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書では、まず第1章で国際労働運動の構造や目的を概観したのち、地域組織がかかわった活動のなかから、私がとくに重要だと考えた6カ国・地域の事例を第2章でとりあげました。また、運動の原理原則を端的にあらわしている規約の問題とITUCの成立過程についても第3、4章で触れました。この2つの章は説明がこみいりますが、しかし運動をどのように強化するか、またそのためにはどのように組織を整備しなければならないか、ということを議論するためには重要な論点です。
いずれの事例も、本部と地域組織のあいだに、運動や組織のあり方について、真摯な議論や論争があったものです。このような事例の検討により、国際労働運動が地域や各国で活動を展開するうえで地域組織の果たしてきた役割が明らかになるだろうと考えています。
本書は、1990年代から近年までの、歴史的な評価も定まっていないことがらについての現場からの報告です。年表も掲載しましたが、これは、どこの国でも労働運動がそれぞれに特色のある歴史の中から生まれ、そして息づいていることをご理解いただきたいからです。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。