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人工知能と株価資本主義
AI投機は何をもたらすのか
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年12月12日
- 書店発売日
- 2018年12月12日
- 登録日
- 2018年12月19日
- 最終更新日
- 2019年1月18日
紹介
際限なく拡大するIT社会に拍車をかけるAI技術の進歩。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとする巨大IT企業の影響力が増し、株式が巨額の富と巨大な力を揮う「株価資本主義」が到来している。フィンテック、ブロックチェーン、ロボット人材がもたらす未来を金融、貨幣、コンピュータの淵源をたどりながら論じ、AI賛美論がもたらす投機的ユーフォリア(多幸感)に警鐘を鳴らす
目次
まえがき
序章 株価資本主義の旗手――巨大IT企業の戦略
1 フィンテックとリバタリアン
2 諜報機関に育成されてきた有力IT企業
第1章 高株価を武器とするフィンテック企業
1 創業者支配の強化
2 創業者への反発
第2章 積み上がった金融資産――フィンテックを押し上げる巨大マグマ
1 異次元を常態化させた日銀
2 億万長者と貧困層の増加
3 フィンテックと投資の短期化
第3章 金融の異次元緩和と出口リスク
1 ブロックチェーン・ブーム
2 マイナス金利政策の評価
3 流動性の罠
第4章 新しい型のIT寡占と情報解析戦略
1 目白押しの新技術
2 巨大プラットフォーマーへの危惧
3 進化した世論解読術
第5章 フィンテックとロボット化
1 人手不足とロボット導入
2 ロボット化を急ぐ金融機関
3 ロボット化への恐怖
第6章 煽られるRPA熱
1 RPAを生み出した環境
2 RPA開発に見る科学の夢と怖さ
3 バブルを呼び込むスタートアップ企業熱
第7章 簡素化される言葉――安易になる統治
1 短くなる一方のメッセージ
2 AI社会を透視していたジョージ・オーウェル
3 沈黙のスパイラル
4 IA開発の促進が必要
第8章 性急すぎるAI論議――アラン・チューリングの警告
1 人間より賢くなったコンピュータ?
2 デジタル・コンピュータの思考
3 機械の誤りと論理の限界
第9章 なくなりつつある業界の垣根
1 進む金融のデジタル化
2 相次ぐ金融規制再緩和
第10章 エイジングマネー論の系譜
1 ゲゼル貨幣論の意図的誤用
2 老化貨幣論
第11章 フェイスブックの創業者たち――株価資本主義の申し子
1 新興IT企業のガヴァナンス
2 フェイスブック――称賛と非難の間で
3 株式富豪者を呼び寄せる政策
終章 株価資本主義の克服――超高齢化時代のオルタナティブ・ファイナンス
1 医療・介護に頼る超高齢社会の到来
2 進まない介護ロボットの導入
3 オルタナティブ・ファイナンス市場の活用
4 おわりに――株価資本主義の克服
あとがき
注
参考文献
前書きなど
まえがき
(…前略…)
本書は、朝野挙げて明るい未来を切り拓くと喧伝されているAIの諸様相を素材にして、現在の社会の支配的な精神状況を理解しようとする試みである。
はびこるAI到来期待論には、第二次世界大戦中に、優秀な科学者、心理学者たちが動員された「マンハッタン計画」と似たような危うさが、現在のAI論議にはある。
もちろん、私は真摯な研究から生み出されたAIの歴史的偉業を否定するものではない。正しくつき合えば、AIは社会に豊かな恩恵をもたらしてくれる。それは確かである。しかし、現在のAI賛美論には「投機的」ユーフォリアが色濃く染みついている。このまま事態を放置してしまえば、社会は確実に堕落する。
上記内容は本書刊行時のものです。