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フランスの同性婚と親子関係
ジェンダー平等と結婚・家族の変容
原書: Mariage et Filiation pour tous: Une métamorphose inachevée
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年1月25日
- 書店発売日
- 2019年1月25日
- 登録日
- 2019年1月18日
- 最終更新日
- 2019年2月13日
書評掲載情報
2019-08-24 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 筒井淳也(立命館大学教授) |
2019-03-23 | 朝日新聞 朝刊 |
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紹介
本書は、新しいジェンダー・アプローチから、フランスで同性婚が認められるまでの法的・社会的な歴史を紐解くとともに、男女平等の時代における生殖補助医療・親子関係の法的矛盾を明らかにすることで、家族法の抜本的改正のための議論の枠組みを提示する。
目次
序文 「みんなのための結婚」をめぐる大論争
男女の自然的差異 VS 性の無差別化
パックスと同性カップル
ジェンダーと家族、歴史の欠除
第一章 ジェンダー関係アプローチ
二つのレベルのジェンダー
人のアイデンティティとしてのジェンダー
社会的関係のあり方としてのジェンダー
性別に関わる関係の四つの形
男女の二元性を超えるものとしての、性の区別
序列と不平等、権威と権力の区別
属性か、役割配分か
役割についての別の考え方
第二章 性的平等と結婚の変貌
結婚から脱結婚へ
結婚とは何かは誰もが知っているはずだ
近代自然法の「原初の家族」
民事婚の中核をなす父子関係の推定
婚姻外の母子関係と父子関係
婚姻内の母子関係と父子関係
婚姻秩序と男女の序列
一つの「全体」としてのカップルから二重奏カップルへ
カップル関係の制度としての結婚
脱結婚の時代
第三章 生殖、子をなし親になること、「みんなのための親子関係」
同性愛者 VS 異性愛者
スケープゴートの論理を解明する
「本当の親」についての議論の罠
親族体系の忘却と子どもをつくることの自然主義化
婚姻親子関係モデル
養子縁組は、もはや子どもの歴史を消去しない
「見ざる聞かざる」モデル
女性による提供
フランスの生殖補助医療に関する法は本当に「倫理的」なのか
ドナーを介して子どもをつくることを認めるために
結論
家族法の改正に向けて
巻末資料
訳者あとがき
前書きなど
訳者あとがき
本書は二〇一六年にスイユ社から出版されたMariage et filiation pour tous. Une metamorphose inachveeの全訳である。著者のイレーヌ・テリーIree Thery (一九五二年~)は、フランスの国立社会科学研究院教授で、法社会学を専門とし、フランスにおける結婚・家族研究の第一人者である。本書でも言及されている『脱結婚 Le demariage(オディール・ジャコブ社、一九九三年)、『性の区別 La distinction de sexe』(オディール・ジャコブ社、二〇〇七年)をはじめ多数の著書がある。またカップルや家族問題に関する次の二つの重要な報告書の著者でもある。一つは、一九九八年、当時の法務大臣及び労働大臣の諮問に対する報告書『今日のカップル、親子関係、親族関係――家族と私生活の変容を前にした法はどうあるべきかCouple, filiation et parente aujourd’hui. Le droit face aux mutations de la famille et de la vie privee』(オディール・ジャコブ社、一九九八年)で、二つ目は、家族問題担当大臣の諮問に対する報告書『親子関係、出自、親役割――世代間の責任を前にした法はどうあるべきか Filiation, origine, parente. Le droit face aux nouvelles valeurs de responsabilite generationnelle』(オディール・ジャコブ社、二〇一四年)である。しかし、残念ながらまだいずれも邦訳されておらず、訳者が知る限り、本書が最初である。
本書は、同性カップルにも結婚と養子縁組を認めた二〇一三年の「みんなのための結婚法」成立から三年後に出版されたもので、この法律が、異性カップルと同性カップルの権利の平等を実現し、養子縁組を通して同性カップルを家族制度へ統合したとして、その重要性を認めている。しかし、親子関係の改革は未だ道半ばであり、異性、同性を問わずすべてのカップルに共通の新たな法的親子関係の構築が不可欠であるとの立場から、抜本的な法改革のための議論の枠組みを提案する。そこに、本書執筆の最も大きな動機があるといえるだろう。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。