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「社会分裂」に向かうフランス 尾上 修悟(著) - 明石書店
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「社会分裂」に向かうフランス 政権交代と階層対立

発行:明石書店
四六判
384ページ
上製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-4759-2
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年11月30日
書店発売日
登録日
2018年11月22日
最終更新日
2018年12月4日
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書評掲載情報

2019-01-12 日本経済新聞  朝刊

紹介

フランスは二〇一七年五月の選挙でマクロン大統領を誕生させたが、イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ政権登場などの世界情勢の激変の中、国内の社会階層間の対立による「社会分裂」が深まっている。フランスの政治・経済・社会の今を鋭く分析する一冊。

目次

序章 フランス大統領選で問われているもの
 一.問題の所在
 二.本書の目的と構成

第1部 オランド政権の政策とその諸結果

第1章 オランド政権下の経済・社会政策をめぐる諸問題
 一.財政・金融政策をめぐる問題
 (一)財政緊縮政策の存続
 (二)銀行・金融危機対策
 二.労働・雇用政策をめぐる諸問題
 (一)労働市場の改革
 (二)新雇用政策としてのCICE
 三.社会政策の諸問題
 (一)社会的保護の資金調達問題
 (二)年金制度改革問題
 (三)住宅政策問題

第2章 オランド政権下の経済的社会的諸結果
 一.緊縮政策の経済的諸結果
 (一)経済成長と景気の推移
 (二)公的赤字と公的債務の変化
 (三)競争力と対外収支の変化
 二.労働・雇用政策の諸結果
 (一)失業問題の悪化
 (二)労働市場問題
 (三)若者の雇用問題
 三.社会的保護政策の諸結果
 (一)生活水準と貧困問題
 (二)社会的保護の結果

第3章 オランド政権の「社会的裏切り」
 一.金融対策の裏切り
 二.成長対策の裏切り
 三.雇用対策の裏切り
 四.欧州対策の裏切り

第2部 フランス大統領選の社会的背景

第4章 大統領選キャンペーンと社会問題
 一.二大政党のキャンペーン
 (一)共和党のキャンペーン
 (二)社会党のキャンペーン
 二.新興政治勢力のキャンペーン
 (一)ル・ペンのFNのキャンペーン
 (二)マクロンの「前進」のキャンペーン
 (三)メランションの「不服従のフランス」のキャンペーン
 三.大統領候補者の議論をめぐる諸問題
 (一)候補者の数値目標をめぐる問題
 (二)候補者の合同討論をめぐる問題

第5章 本選候補者(マクロンとル・ペン)決定の社会的背景
 一.予備選の予想
 二.予備選の結果
 三.メランション支持の拡大
 四.マクロニズムの浸透
 五.ル・ペン台頭の社会的背景

第6章 国民戦線(FN)の飛躍と庶民階級
 一.FNの脱悪魔化戦略
 二.庶民階級によるFN支持の拡大
 (一)FNの庶民階級への浸透
 (二)中流階級の消滅とFN
 三.労働者階級の困窮とFN
 (一)左派政党と労働者階級
 (二)労働組合とFN
 (三)労働者の生活危機とFN
 (四)移民労働者とFN

第3部 マクロン政権の成立と課題

第7章 マクロン新大統領の誕生
 一.マクロンとル・ペンの本選キャンペーン
 (一)マクロンの選挙キャンペーン
 (二)ル・ペンの選挙キャンペーン
 (三)マクロンとル・ペンの対決をめぐる諸問題
 二.マクロン新大統領の誕生
 (一)本選での投票結果
 (二)マクロンの新首相指名
 (三)マクロンの組閣とその影響
 三.マクロンの勝利をめぐる諸問題
 (一)マクロンの勝利とル・ペンの敗北
 (二)マクロンの基本方針
 (三)マクロン勝利の意味

第8章 総選挙における「共和国前進」の圧勝
 一.総選挙の結果
 二.共和国前進の大勝利
 三.二大政党の決定的敗北
 (一)共和党の衰退と分裂
 (二)社会党の凋落
 四.新興政治勢力の台頭

第9章 マクロン政権の基本政策をめぐる諸問題
 一.マクロンと共和国前進の基本方針
 二.マクロニズムと権威主義
 三.財政緊縮政策の継続
 (一)公共支出の削減
 (二)企業のための課税改革
 (三)富裕者のための課税改革
 (四)社会的課税の改革
 四.欧州政策とEU改革
 (一)EU改革案の提示
 (二)ドイツとの協力関係
 五.マクロン政権下の経済的課題

第10章 マクロン政権下の社会問題
 一.マクロンの社会認識と平等観
 二.労働政策と失業問題
 (一)マクロンの基本認識
 (二)労働市場の改革
 (三)失業のコントロール
 三.社会的保護政策の新展開
 (一)社会政策の基本方針
 (二)貧困対策の改革
 (三)年金対策の改革
 四.社会問題と社会運動
 (一)SNCFの改革と労使交渉
 (二)鉄道分裂と社会分裂
 (三)SNCF改革をめぐる社会運動
 五.マクロン政権の社会的課題

終章 フランス大統領選の意味するもの
 一.フランスにとっての意味
 (一)社会分裂と庶民(中流)階級の消滅
 (二)社会分裂とマクロン批判
 (三)ベナラ事件の発生とその意味
 二.欧州にとっての意味
 (一)ユーロ圏離脱問題と大統領選
 (二)マクロンのEU改革と財政規律問題

 参考文献
 あとがき
 索引

前書きなど

序章 フランス大統領選で問われているもの

 (…前略…)

二.本書の目的と構成
 二〇一五年から二〇一七年の三年間に、欧州統合を大きく揺がす事件がたて続けに起こった。それらは二〇一五年のギリシャ債務危機(Grexit 問題)、二〇一六年のイギリスのレファレンダムによるEU離脱(Brexit 問題)、そして二〇一七年のフランスの大統領選に伴うEU離脱危機(Frexit 問題)である。これらはドミノ現象とみなされる。それは確かに連続して伝幡する様相を呈した。しかし、それらはたんなる流行として現れたのではない。ここで銘記すべき点は、三つの事件には一つの共通した現象が底に横たわっている点であろう。それは、欧州の財政規律に基づく緊縮政策により、とりわけ下層階級の人々の生活が困窮し、その結果彼らは欧州の指令と自国の政策に失望してそれらに反抗したという点である。筆者はそれゆえ当初から、三つの事件を平行して調べることを念頭に置いた。本書の目的は、二〇一七年のフランス大統領選の問題を取り上げながら、そうした現象を総括的に論じることである。

 (…後略…)

著者プロフィール

尾上 修悟  (オノエ シュウゴ)  (

1949年生まれ。現在、西南学院大学経済学部教授。京都大学博士(経済学)。日本EU学会理事。2000年と2004年にパリ・シアンス・ポリティークにて客員研究員。主な著書は『イギリス資本輸出と帝国経済』(ミネルヴァ書房、1996年)、『フランスとEUの金融ガヴァナンス』(ミネルヴァ書房、2012年)、『欧州財政統合論』(ミネルヴァ書房、2014年)、『ギリシャ危機と揺らぐ欧州民主主義』(明石書店、2017年)、『BREXIT「民衆の反逆」から見る英国のEU離脱』(明石書店、2018年)、A・アルティ『「連帯金融」の世界』(訳書、ミネルヴァ書房、2016年)、『国際金融論』(編著、ミネルヴァ書房、1993年)、『新版 国際金融論』(編著、ミネルヴァ書房、2003年)、『新版 世界経済』(共編著、ミネルヴァ書房、1998年)、『イギリス帝国経済の構造』(共著、新評論、1986年)、『国際経済論』(共著、ミネルヴァ書房、1987年)、『国際労働力移動』(共著、東京大学出版会、1987年)、『世界経済』(共著、ミネルヴァ書房、1989年)、『新国際金融論』(共著、有斐閣、1993年)、『世界経済論』(共著、ミネルヴァ書房、1995年)、『世界経済史』(共著、ミネルヴァ書房、1997年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。