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結婚移住女性のメンタルヘルス 一條 玲香(著) - 明石書店
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結婚移住女性のメンタルヘルス (ケッコンイジュウジョセイノメンタルヘルス) 異文化ストレスと適応過程の臨床心理学的研究 (イブンカストレストテキオウカテイノリンショウシンリガクテキケンキュウ)

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発行:明石書店
A5判
216ページ
上製
価格 3,600円+税
ISBN
978-4-7503-4738-7   COPY
ISBN 13
9784750347387   COPY
ISBN 10h
4-7503-4738-8   COPY
ISBN 10
4750347388   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年10月25日
書店発売日
登録日
2018年10月17日
最終更新日
2018年11月7日
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紹介

国際結婚により日本に定住することになった移住女性が抱える心理的問題について、臨床心理学的な視点から考察する。問題の背景にある異文化ストレスが精神的健康に及ぼす影響や異文化適応過程を明らかにし、必要となる心理社会的支援についての示唆を与える。

目次

 はじめに


第Ⅰ部 本研究の問題と目的

第1章 日本で暮らす外国人の状況
 第1節 在留外国人の推移と外国人政策
 第2節 定住外国人の特徴
 第3節 用語の定義-結婚移住女性

第2章 結婚移住女性のメンタルヘルスに関する先行研究
 第1節 移民女性のメンタルヘルス
 第2節 アジアにおける近年の結婚移住女性研究
 第3節 日本における結婚移住女性研究

第3章 本研究の目的
 第1節 先行研究の課題
 第2節 本研究の目的と意義


第Ⅱ部 実証研究

第4章 外国人相談の傾向と心理的問題-全国調査から-
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果と考察
 第4節 全体考察

第5章 外国人相談の傾向と心理的問題-相談事例から-
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果と考察
 第4節 全体考察

第6章 結婚移住女性の異文化ストレス尺度作成の試み
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果
 第4節 考察

第7章 結婚移住女性の精神的健康
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果
 第4節 考察

第8章 結婚移住女性の異文化適応過程
 第1節 問題と目的
 第2節 方法
 第3節 結果と考察
 第4節 全体考察


第Ⅲ部 総合考察と今後の課題

第9章 実証研究の総合考察
 第1節 実証研究の概要
 第2節 結婚移住女性のメンタルヘルスと異文化適応
 第3節 心理社会的支援への示唆

第10章 今後の課題
 第1節 本研究の課題と今後の方向性
 第2節 結語


 引用文献
 資料
 おわりに
 索引

前書きなど

はじめに

 (…前略…)

 本書は,日本に暮らす結婚移住女性のメンタルヘルスについて臨床心理学の視点から考察したものである。第Ⅰ部「本研究の問題と目的」、第Ⅱ部「実証研究」、第Ⅲ部「総合考察と今後の課題」の三部構成になっている。
 第Ⅰ部では、日本に暮らす外国人の状況と先行研究、本研究の問題と目的について述べた。「第1章 日本で暮らす外国人の状況」では、日本における外国人の状況について,在留数の推移,在留資格,外国人政策の側面から整理した。「第2章 結婚移住女性のメンタルヘルスに関する先行研究」では,はじめに移民研究における女性移民のメンタルヘルス研究について主に欧米の文献から検討した後、近年研究が盛んになってきている韓国と台湾における結婚移住女性のメンタルヘルス研究についてレビューを行った。最後に,日本におけるメンタルヘルス研究を主に精神医学,心理,社会福祉,看護の領域から整理した。「第3章 本研究の目的」では,諸外国における結婚移住女性研究と比較して,日本における結婚移住女性研究が少ないこと,原因追及型の事例研究が多く,成功例や当事者の経験に着目した研究が少ないこと,また長期的視点にたったプロセス研究が必要であることを先行研究の課題として指摘した。これらの点を踏まえ,本研究の目的を提示した。
 第Ⅱ部は、実証研究であり、外国人相談を対象とした研究と結婚移住女性を対象とした研究(量的・質的)から構成される。なお第6章から第8章の研究にあたっては、平成26-27年度公益財団法人上廣倫理財団研究助成を受けた。「第4章 外国人相談の傾向と心理的問題-全国調査から-」では、長期居住者で,30代~40代の女性からの相談が比較的多く,心理的問題を抱える相談者が一定数いること,その背景として「異文化ストレス」,「配偶者との関係」,「経済的問題」が想定されることが明らかとなった。「第5章 外国人相談の傾向と心理的問題-相談事例から-」では、心理的問題を抱える相談の8割が女性からの相談であり,日本人の配偶者である外国人女性が多く,家庭内不和や離婚を背景とする問題が多いことが明らかとなった。さらにいずれの問題にも異文化ストレスが関連していることが示唆された。
 「第6章 結婚移住女性の異文化ストレス尺度作成の試み」では、異文化ストレス尺度を作成した。その結果,結婚移住女性の異文化ストレスは,社会文化ストレス,言語ストレス,離郷ストレスであることが明らかとなり,滞在年数と学歴が日本語能力に影響を及ぼし,日本語能力が言語ストレスに影響を及ぼすことが明らかとなった。「第7章 結婚移住女性の精神的健康」では、第6章で作成した異文化ストレス尺度をもとに、精神的健康に影響を及ぼす要因について検討した。その結果、情緒受領サポート,文化社会ストレス,母国の友人との交流,日本語能力が精神的健康に影響する変数であることが明らかとなった。また日本における結婚移住女性の精神的健康状態は,諸外国における先行研究と大きく異なることはなかったが,抑うつが疑われる人が約4割おり,結婚移住女性の精神的健康状態が決して楽観視できる状態にないことが示された。
 「第8章 結婚移住女性の異文化適応過程」では、結婚移住女性のライフストーリーから異文化適応過程におけるライフイベントと保護要因について検討した。保護要因には,同国人や家族によるサポートや社会関係資本、日本語能力のみならず,個人の考え方や物事の捉え方の特徴としての異文化性の一般化と強調といった内的リソースなどがあることが明らかとなった。
 第Ⅲ部では、総合考察と残された課題と今後の方向性,心理社会的支援への示唆について述べた。

 (…後略…)

著者プロフィール

一條 玲香  (イチジョウ レイカ)  (

2007年、東北大学大学院文学研究科人間科学専攻博士課程前期2年の課程修了(文化人類学専攻)。2012年、山形大学大学院地域教育文化研究科臨床心理学専攻修了。2017年、東北大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻博士課程後期3年の課程修了(学位:教育学)。
専門は、臨床心理学。臨床心理士。現在は、東北大学大学院教育学研究科震災子ども支援室、特任助教。
〔主な業績〕
「外国人相談における相談員のストレス尺度の作成」(日本ヒューマン・ケア心理学会編、『ヒューマン・ケア研究』、19、印刷中)、「在住外国人のエンパワーメントとメンタルヘルス―公益財団法人宮城県国際化協会の活動を事例として―」(東北大学大学院文学研究科東北文化研究室編、『東北文化研究室紀要』、59、2018年)、「結婚移住女性の異文化適応過程―子どものいない事例を通して―」(東北大学大学院教育学研究科編、『東北大学大学院教育学研究科研究年報』、64、2016年)、「『外国人の立場から東日本大震災をふりかえる会』に関する一考察」(J. F. モリス・公益財団法人宮城県国際化協会・公益財団法人仙台国際交流協会編、『東日本大震災からの学び』、2015年)、「在住中国人女性の異文化適応における困難とサポート要因―日本人と結婚した中国人女性のPAC分析を通して―」(日本心理臨床学会編、『心理臨床学研究』、33、2015年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。