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前川喜平 教育のなかのマイノリティを語る
高校中退・夜間中学・外国につながる子ども・LGBT・沖縄の歴史教育
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年9月
- 書店発売日
- 2018年9月8日
- 登録日
- 2018年8月30日
- 最終更新日
- 2018年9月11日
紹介
学校や教室で、マイノリティの子ども・生徒の生きづらさに共感し、どうかかわっていけばいいか。日本の学校文化のなかで見過ごされてきたマイノリティ問題にとりくんできた現場の教員と長く教育行政にかかわってきた元文科省幹部職員が現状の問題点とこれからの課題を縦横に語りあう。
目次
まえがき
Ⅰ 高校中退――学習言語を習得できない子どもたち[青砥恭×前川喜平]
埼玉の職業高校教員が出発点だった
学びの多様化とは
学習するための言語を獲得できない
家族崩壊という現実
高校中退者・ニートのための学習支援が必要だ
高校入学率は98パーセントでも、卒業率は9割に減る
「手をさしのべる」行政サービスが必要だ
ロールモデルとの出会いが子どもを変える
学習への動機づけはいろいろあっていい
Ⅱ 夜間中学――歴史・意義・課題[関本保孝×前川喜平]
3年のつもりが36年
ネパール人生徒が増えている
すべての人に教育の機会を保障するはずなのに
韓国・中国からの帰国者のための日本語教育
80年代にはじまる生徒の多様化
形式卒業者にも門戸を開いた
まだまだ増やす必要がある
映像の力で訴えよう
Ⅲ 外国につながる子ども――「いいものがいっぱい」ある多文化教育[善元幸夫×前川喜平]
日本語学級教員としてのスタート
「日本人」とは何か
母語を維持する教育
視点を変えてみよう
方言は魅力的だ
全国学力テストは、百害あって一利なし
「主体的学び」の落とし穴
万世一系のミニチュアのような道徳教科書
総合学習の可能性は無限だ
「ぼくは韓日本人、いいものいっぱいある」
社会の分断を防ぐ教育の役割
Ⅳ LGBT――マイノリティの生きやすさとは[金井景子×前川喜平]
アライのステッカー
「あいだにいる子はおき去りですか」
なぜ、法律が必要なのか
「右へならえ」がこわい
性指向と性自認がセットであることの意味
生きづらさへの共感
企業も変わりつつある
それでも、少しずつよくなっている
「なわけねーだろ運動」のすすめ
Ⅴ 沖縄の歴史教育――平和教育をつくりかえる視点[新城俊昭×前川喜平]
なぜ、沖縄の歴史教師になったか
沖縄史から、日本史が立体的に見える
コスモスはいつ咲くか
沖縄史をカリキュラムに組みこめるか
世界に広がる地域史
歴史修正主義とのたたかい
平和教育の再構築
前書きなど
まえがき
憲法には、「能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(第26条)と書かれています。能力というと、つい、ある、ないととらえられがちですが、ここはさまざまな能力に応じてと解釈すべきだと思います。能力とは、今回の5つの対談のなかでも話してきたように単一の尺度で測れるものではなく、一人ひとりがそれぞれ多種多様な能力をもっています。むしろ能力ということばよりも個性というほうがいいのかもしれません。
それぞれの個性に応じてひとしく、このひとしくということばはもれなくという意味で、誰もが同じ内容・形式の教育を受けるということを意味するものではありません。
誰もがそれぞれの個性に応じて教育を受ける権利をもっているはずですが、現実にはそれが実現されていません。とくにそれが実現されないケースが多いのはマイノリティの人たちに対してといえるでしょう。均質な人材を大量に育成しようという近代的な政治・経済の要請に従った教育政策のなかで、置き去りにされた人たちがたくさんいました。国の都合で行なわれてきた教育行政のなかではじきだされ、置き去りにされ、ほったらかしにされ、差別されてきた人たちが教育のなかのマイノリティだと思います。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。