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当事者が語る精神障がいとリカバリー
続・精神障がい者の家族への暴力というSOS
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年5月
- 書店発売日
- 2018年5月30日
- 登録日
- 2018年5月24日
- 最終更新日
- 2018年5月31日
紹介
暴力の問題に苦闘する家族と当事者。この問題を解決するために、精神障がい当事者が自ら発信する。家族への暴力が起きる背景を、家族関係、医療での傷つき、地域社会での生きづらさの3つの視点から取り上げ、もう一方で希望としてのリカバリーに焦点を当てる。
目次
はじめに[堀合悠一郎/蔭山正子]
序章[堀合研二郎]
登場人物[堀合研二郎]
本書における用語の定義[蔭山正子]
第Ⅰ部 精神障がい者にとって精神障がいとは
第1章 病気の辛さをわかってもらえない辛さ[堀合悠一郎]
第2章 精神障がいとは
第1節 統合失調症――私の体験を通して[新谷総太]
コラム▼妄想・認知機能障害と暴力[堀合悠一郎]
コラム▼衝動性と暴力[前田直樹、サポート役:前田梨夏]
コラム▼薬と暴力[相沢隆司]
第2節 双極性障害――私の体験を通して[田村大幸]
第3節 依存症――私の体験を通して[荒木雅也]
第Ⅱ部 なぜ家族に暴力を向けてしまうのか
第3章 わかってもらうための暴力[堀合悠一郎]
コラム▼家族がいるから破壊した[桃太郎]
コラム▼親への甘え[荒木雅也]
コラム▼私の家庭内暴力体験に想うこと[藤井哲也]
第4章 医療での傷つき[堀合研二郎]
コラム▼拭えない医療不信[山田潤]
第5章 地域社会での生きづらさ[相沢隆司]
第Ⅲ部 希望
第6章 リカバリー[根本俊史]
コラム▼子どもがくれたリカバリー[前田梨夏]
コラム▼ピアスタッフになって良かった[相沢隆司]
第7章 今後に向けて
第1節 苦しさを越えて――当事者の視点から、今できること[堀合悠一郎]
第2節 家庭の問題を社会の問題へ[蔭山正子]
第3節 障がいが才能に変わる瞬間[福島政雄]
第4節 学校でSOSを交わし合う練習を[黒木実生]
あとがき[堀合悠一郎/蔭山正子]
YPS横浜ピアスタッフ協会 活動紹介[住友健治]
本ができるまで
付録
執筆者一覧
プロフィール
前書きなど
はじめに
(…前略…)
精神障がい当事者の力、それが発揮された時、日本の精神保健医療は変わる。私はそう信じ、当事者の力に賭けている。当事者や家族が発言力をもって発信することは、今の日本に何より必要なことだと思う。
本書は、前作『精神障がい者の家族への暴力というSOS』の続編である。前作は、埼玉県精神障害者家族会会員に実施した調査結果に基づいて書いた。精神障がい者の暴力は見ず知らずの人に向かうことは僅か1%と稀だが、家庭内では6割で発生していることが明らかになった。また、暴力は治療を受けても無くならないことが珍しくなく、10年20年と家庭崩壊まで家族が耐えていた。考察を繰り返して見えてきたことは、精神医療における精神障がい者への力による管理や、地域社会での生きづらさが精神障がい者を追い詰めた結果、家庭で傍らにいる家族に暴力として向かう、そのような側面だった。(……)
(…中略…)
この本は、当事者が自らの体験に基づき、意見を戦わせながら、合意したメッセージを発信している。これは、同じ苦境にある者が直の体験から得た情報や知恵であり、自己や仲間との会話において意味が見出された、「体験的知識」と言われる、「専門的知識」とは異なる価値ある知識である。皆が実際に体験した苦しみや喜びといった感情も詰まっている。体験した者同士が共有しなければ得られないことが詰まった、他に類を見ない画期的な書だ。少し先を行く当事者からの、このプレゼントが、今なお家庭で苦しむ家族と当事者に希望を与えられるものであることを願う。
上記内容は本書刊行時のものです。