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ラーメンの歴史学 バラク・クシュナー(著) - 明石書店
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ラーメンの歴史学 ホットな国民食からクールな世界食へ
原書: Slurp! a Social and Culinary History of Ramen - Japan's Favorite Noodle Soup

発行:明石書店
四六判
384ページ
上製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-4681-6
Cコード
C0039
一般 単行本 民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年6月
書店発売日
登録日
2018年5月29日
最終更新日
2018年6月14日
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書評掲載情報

2018-08-12 東京新聞/中日新聞  朝刊
2018-07-29 産經新聞  朝刊
評者: 浅暮三文(小説家)
2018-07-28 日本経済新聞  朝刊
評者: 阿古真理(生活史研究家)

紹介

中国から日本に伝わり、1000年近い歳月を経て世界的な人気料理となったラーメンの歴史を英国のアジア研究者が紐解き、明治維新以降の近代化と食、戦後の対米関係やポップカルチャーとの関連も含め縦横無尽に論ずる、新たなラーメン学の誕生。

目次

日本語版への序
  地方のブランド化――B級グルメ大国日本
  日本とラーメンを輸出する
  ラーメンをめぐる果てしない問い?

 めん食日本地図

序 麺王国の歴史と現在――象徴としてのラーメンヘ
  ラーメンをめぐる問い
  ラーメンは日本料理か?
  麺とナショナリズム

第1章 古代中国の食卓から――麺の誕生
  中国における麺のルーツ
  謎に包まれた古代の食生活
  近代以前の麺――中国から日本へ

第2章 宮廷食と庶民食
  神道と食物
  僧が持ち帰った食品技術
  武士の台頭と食生活の変化

第3章 日本の国際化、外国の食べ物、鎖国
  様変わりする食習慣
  長崎に花開いた文化
  中国の影響による食文化の変化
  江戸で人気を博した蕎麦
  麺料理が全国に広まる

第4章 江戸時代の食文化とラーメン伝説
  朱舜水がラーメンの作り方を教えた?
  富と飢餓の混在
  食べ物屋がひしめく江戸の街
  江戸と肉食

第5章 明治維新――ラーメンへと通じる食の革新
  開港都市
  文明開化における食の役割
  肉食の流行
  軍隊の食事をめぐる論争
  文明開化と新しい味覚
  長崎ちゃんぽんと南京そば

第6章 外交と接待術
  国民的料理という概念
  帝国主義と食
  明治期の中国人
  加速する食生活の変化

第7章 帝国と日本の料理
  うま味の発見
  衛生状態へのこだわり
  食品化学の発展
  ラーメンの誕生
  ラーメン誕生をめぐる複数の説
  盛り場とラーメン店の急増
  「栄養学」への関心の高まり
  大正期の中国料理ブーム、そして戦争へ

第8章 第二次大戦中の料理――迷走する世界
  飢えた日本と豊かなアメリカ
  戦争への道
  戦時と国民食
  日本兵と食べ物
  否定された食糧不足
  日本人のアイデンティティと米
  飢えと栄養失調
  銃後の社会と食べ物
  降伏と国民食の崩壊

第9章 食の歴史――戦後のインスタントラーメン
  敗戦と食糧不足
  余剰小麦の輸入
  新しい食べ物の必要性
  インスタントラーメンの誕生と人気
  インスタントラーメンはなぜ開発されたか?
  インスタントラーメンとラーメンブーム
  フードツーリズムとラーメン
  ラーメンの海外進出
  ラーメンブームは続く
  「日本料理」とは?
  ラーメンは日本そのもの

第10章 ラーメンに関わる大衆文化
  音を立てて、ズルズル!
  落語家とラーメン
  熱狂的ラーメンファン
  ラーメンミュージアム
  ラーメンテーマパーク
  漫画とラーメンの歌
  寿司とラーメン
  ラーメン――ニューヨークの精神で
  国際的な注目を浴びるラーメン
  大衆文化の人気の高まりとともに

結び
  食べ物のもつ負の側面
  日本食のイメージはヘルシー
  新たな食の革命
  ラーメンの歴史が物語るもの
  さぁ、歴史を食べに行こう!

 訳者あとがき
 参考文献
 索引

前書きなど

訳者あとがき

 本書はバラク・クシュナー著 Slurp! A Social and Culinary History of Ramen - Japan's Favorite Noodle Soup(ズルズル! 日本が愛する汁麺「ラーメン」の社会・食物史)(Global Oriental, 2012)の全訳である。
 著者のクシュナーはアメリカ、ニュージャージー州出身で、プリンストン大学で博士号を取得、現在は英国ケンブリッジ大学アジア・中東研究科日本学科の准教授として日本の近現代史を講じている。二〇〇六年に出版された最初の著書The Thought War: Japanese Imperial Propaganda は二〇一六年一二月、明石書店より『思想戦――大日本帝国のプロパガンダ』として翻訳出版されたばかりで、本書は二冊目の邦訳となる。二〇一三年、本書は食物史の優れた業績に対して授与されるソフィー・コウ賞を受賞した。二〇一五年に出版された三冊目の著書Men to Devils, Devils to Men: Japanese War Crimes and Chinese Justice は、中国における日本人戦犯裁判をめぐる考察で、二〇一七年にアメリカ歴史学会のジョン・K・フェアバンク賞を受賞した。

 (…中略…)

 外国人が書いたラーメンの本と聞けば、興味本位のちょっとおもしろい本かグルメガイドといったイメージを抱きがちだが、本書は著者の経歴が物語るとおり、ラーメンの歴史についての本格的な研究書である。ラーメンが登場するよりはるか昔の古代からの日本の食の歴史をひもとき、麺料理のルーツから日中および朝鮮半島との交流史、江戸時代の食文化、明治・大正期から戦争中の食べ物、戦後の食糧難、高度成長期の食生活の変化……と、ラーメン誕生の背景となった日本と東アジアの歴史が、豊富な資料を駆使して語られる。文化と歴史の複合的な交わりによって生まれ、現代のポップカルチャーの一部として国内ばかりか世界を舞台にますます進化しつづけるラーメンという興味尽きぬ食べ物について、多角的な方面から光をあてた貴重な考察であり、日中交流史や食物史の研究者からラーメンファンの若者まで、多くの読者を魅了するにちがいない。

 (…後略…)

著者プロフィール

バラク・クシュナー  (バラク クシュナー)  (

プリンストン大学から博士号を取得。ノースキャロライナのデイヴィッドソン大学歴史学研究科、米国国務省東アジア課等を経て、現在ケンブリッジ大学アジア・中東研究科日本学科准教授。主な著書にMen to Devils, Devils to Men: Japanese War Crimes and Chinese Justice. Harvard University Press, 2015.(米国歴史学会ジョン・K・フェアバンク賞受賞)、Yoichi Funabashi and Barak Kushner, eds. Examining Japan's Lost Decades. London: Routledge, 2015〔共著、邦訳:船橋洋一編著『検証 日本の「失われた20 年」――日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか』(東洋経済新報社、2015年)〕、『思想戦――大日本帝国のプロパガンダ』(明石書店、2016年)などがある。

幾島 幸子  (イクシマ サチコ)  (

翻訳家。早稲田大学政経学部卒業。訳書にネグリ=ハート『マルチチュード』(NHKブックス、2005年)、スティーブン・ピンカー『暴力の人類史』(共訳、青土社、2015年)、ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』(共訳、岩波書店、2011年)、同著『これがすべてを変える――資本主義 vs. 気候変動』(共訳、岩波書店、2017年)、アズビー・ブラウン『江戸に学ぶエコ生活術』(CCCメディアハウス、2011年)、メイ・サートン『70歳の日記』(みすず書房、2016年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。