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日本人と海外移住 日本移民学会(編) - 明石書店
.

日本人と海外移住 移民の歴史・現状・展望

発行:明石書店
A5判
304ページ
並製
価格 2,600円+税
ISBN
978-4-7503-4669-4
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2018年4月
書店発売日
登録日
2018年4月24日
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紹介

戦前から戦後にかけて、多くの日本人が移民や植民として海外に渡り、日本の近代化を陰で支えてきた。本書は、日本における海外移住・植民の歴史を地域別に概観するとともに、今の日本に在住しているオールドカマーやニューカマーの諸課題にもふれ、日本と海外とのつながりを移民研究という切り口から読み解く。

目次

 まえがき[高木(北山)眞理子]

序章 「移民」を研究すること、学ぶこと[森本豊富・森茂岳雄]
 1 はじめに
 2 「移民」の定義
 3 近現代の「移民」に関する論点
 4 移民研究の活用
 5 移民について学ぶことの意義
 6 おわりに

第1章 近代日本の出移民史[木村健二]
 1 はじめに
 2 出移民の属性と背景
 3 出移民の諸契機
   政策
   情報とネットワーク
   斡旋業者
 4 郷里とのつながり
   送金・持帰り金とその役割
   郷土人会
   戦前期「外地」からの
   手紙
 5 おわりに
   次へのステップ
   コラム1:移民関係の外務省文書[柳下宙子]


第2章 ハワイ日系人の社会史――日本人移民が残したもの[白水繁彦]
 1 はじめに
 2 温暖で変化に富んだ地形
 3 ホスト社会ハワイの歴史――ポリネシアンの島から多民族社会へ
 4 ハワイ側の事情と移民側の事情――プル要因、プッシュ要因
 5 日本からの移民 その変遷
  第1期:出稼ぎ期 前期(1868~84年)
  第2期:出稼ぎ期 後期(1885~1907年)
   官約移民期
   私約移民期
   自由移民期
   西日本に偏る移民の出身地
  第3期:呼び寄せ・定住期(1908~23年)
   エスニック・エージェンシーの発達
  第4期:永住期:初期(1924~40年)
  第5期:永住期:二世台頭期(1941~45年)
  第6期:世代交代期 二世最盛期(1946~70年代)
  第7期:世代交代期 三世最盛期(1970年代~2000年頃)
 6 おわりに
   次へのステップ
   コラム2:エスニック・エージェンシーの例「日本語学校の機能」[白水繁彦]
   コラム3:グアムへの日本人移民[中山京子]

第3章 アメリカ合衆国への移民[坂口満宏]
 1 はじめに
 2 漂流民から強制収容まで
  アメリカ合衆国に渡った日本人移民の歴史・概観(1868~1941年)
   漂流民と留学生
   海外への出稼ぎの始ま
   日米紳士協約と移民社会の形成
  1924年の移民法と在米日本人意識の形成
   日米開戦と日系人の強制収容
  アメリカ合衆国に渡った日本人移民数の推移
   渡米目的の変化と渡米者数の推移
   在米日本人数の推移
 3 在米日本人の地理的特徴
  アメリカの州別日本人移民数とその出身地
   州別日系アメリカ人の人口と居住地
   「オレゴンといえば岡山県人」
  アメリカに渡った日本人移民の出身地を掘り下げる――岡山県を事例に
   移民の出身地を図示してみる
 4 日本とのつながり
  アメリカ太平洋岸各地にできた県人会
   呼寄せ時代の県人会
   呼寄せ時代の終焉と県人会
  県人会から海外協会の支部へ
   海外協会の設立と海外支部
   熊本海外協会のアメリカ支部
   移民による郷里への貢献
 5 おわりに
   次へのステップ
   コラム4:「北米日本人移民とキリスト教」に関する3つのアプローチ[吉田亮]

第4章 カナダへの移民[河原典史]
 1 はじめに
 2 日本人社会の形成
 3 出身地と職業
 4 漁業と日本人
   サケ缶詰産業と日本人移民
   クジラと日本人移民
   太平洋をめぐるニシン
   新しい日本人漁村の形成
 5 契約移民とその転業
 6 日本文化の変容
   庭園業と造園業
   バンクーバー朝日軍
 7 戦中・戦後の日本人
 8 おわりに
   次へのステップ
   コラム5:密航船・水安丸[河原典史]
   コラム6:ロジャーズ峠の雪崩災害[河原典史]
   コラム7:新渡戸庭園[河原典史]

第5章 ブラジルの移民政策と日本移民[三田千代子]
 1 はじめに
 2 ヨーロッパ移民の代替としての日本移民
   ブラジルにおける外国移民導入の開始
   サンパウロのコーヒー産業とヨーロッパ移民
   イタリア移民に代わる日本移民、米国に代わるブラジル
 3 ブラジルの国造りの理念と日本移民
   「脱アフリカ化(デザフリカニザソン)」としてのヨーロッパ移民
   サンパウロ州政府による
   日本移民の導入
   外国移民の選別
 4 ヴァルガスの国民国家形成と日本移民
   国策としての日本移民の送出
   ブラジルの日本人共同体
   寡頭(オリガーキー)政治の終焉と移民同化政策
 5 祖国の敗戦と日本移民
   戦時下の日本移民
 6 戦後の日本人社会の騒乱
   日系社会の統合
 7 永住の決心と都市移動
   戦後の日本移民の再開
   国家主義の終焉と多文化主義
 8 おわりに――100年という時間とその後
   次へのステップ
   コラム8:日本人会と日本語学校[三田千代子]
   コラム9:二世の進学と社会上昇[三田千代子]

第6章 中南米への移民[石川友紀]
 1 はじめに
 2 中南米への日本人移民の概説
   中南米への日本人移民
   世界における日本人移民の分布
   1940年の世界における日本人移民の分布
 3 中米メキシコへの日本人移民の事例
   1897年榎本殖民とその後の契約移民
   メキシコ革命と日本人移民の定住
 4 南米ペルーへの日本人移民の事例
   1899年サクラ丸の契約移民
   沖縄とペルーへの移民
 5 おわりに
   次へのステップ
   コラム10:日本のペルー人[柳田利夫]

第7章 満洲移民の生活世界――集団引揚げ、中国残留を中心に[蘭信三]
 1 はじめに
 2 帝国崩壊――引揚げか中国残留か
   1945年8月9日以降の日々
   敗戦から引揚げまでの難民期
   集団引揚げか、中国残留か
 3 満洲移民事業の展開
   農村経済更生運動と満洲移民事業
   満洲移民事業の概要
   満洲移民事業に付与された特性
   投影される満洲移民
   モデルとしての分村移民・分郷移民
 4 満洲での開拓生活
   開拓地での生活
   開拓生活の困難
   近代家族の誕生、植民地での近代化
   階級関係と民族関係
   開拓生活の「成否」の分かれ目
   植民地都市生活者との比較
 5 集団引揚者の戦後、中国残留者の戦後
   集団引揚者の戦後経験
   中国残留者の戦後経験
 6 おわりに
   次へのステップ


第8 章 東南アジアへの移民――日本優位から対等な関係へ[早瀬晋三]
 1 はじめに
 2 出稼ぎ労働者・「からゆきさん」から経済進出へ
 3 移民取り扱い会社を介する呼び寄せ渡航
 4 定住者の増加と教育問題
 5 評価されない戦争協力
 6 日系人の引き続く過去
 7 「実習生」・留学生の増加
 8 おわりに――日本優位から対等な関係へ
   次へのステップ
   コラム11:南洋群島への移民[今泉裕美子]


第9章 在日ブラジル人/デカセギ移民――日系人への帰国支援事業の受給者に着目して[アンジェロ・イシ]
 1 はじめに
 2 在日ブラジル系移民の実態――統計データを手がかりに
 3 在日ブラジル人小史
   在外ブラジル人意識が強化した2010年代
   質的に異なる二つのデモ
   深まる日本社会とのコミットメント
   多彩な文化活動とメディア生産
 4 事例研究:日系人への「帰国支援事業」を受給者の視点から再考する
   移民の「再入国許可」をめぐる論争と闘争
   帰国支援受給者(帰国した日系人労働者)アンケートのデータ分析
    ・「なぜ、受給を決断したか」、「なぜ、日本に戻りたいか」の自由回答欄より
    ・データから読み取れる支援金事業の問題点
    ・帰国者への聞き取り調査からの知見
   移民の戦略と移民政策の力学
 5 おわりに――高齢化する第一世代、ビザを熱望する日系四世
   次へのステップ
   コラム12:ブラジルにおける「継承日本語」のこれから[拝野寿美子]

第10章 在日コリアンの歴史的変遷と生存のための経済戦略[李洙任]
 1 はじめに
 2 在日コリアンの歴史
  2.1 併合前から戦後までの流入過程
    併合前の在日朝鮮人(1895~1909年)
    土地調査事業期(1910~19年)
    産米増殖時期(1920~30年)
    中国大陸侵略期(1931~38年)
    戦時体制・強制連行期(1939~45年)
  2.2 地域別人口推移
 3 定住から永住へ
  3.1 日本国籍の喪失
  3.2 日本での残留理由
 4 歴史・地理・文化
  4.1 在日韓国・朝鮮人の法的地位の変遷
  4.2 特別永住者の多国籍化
  4.3 居住地域
 5 在日コリアンの経済活動
  5.1 在日コリアンたちの起業家精神
  5.2 事例紹介
   エムケイタクシー創業者・青木定雄(兪奉植)――タクシー業界の風雲児
    被差別者の反骨精神
    規制緩和――既存システムへの疑問
 6 おわりに
   次へのステップ
   コラム13:日本におけるインド人ディアスポラ[東聖子]

終章 移民研究の現状と展望[飯野正子・浅香幸枝]
 概要
 A 北米・カナダを中心に
 1 はじめに
 2 研究動向
   研究分野の広がりと多様化
   トランスナショナルな視座からの学際研究
   国際共同研究の増加
 3 人の移動と国際関係――トランスナショナルな視座から
   日米関係の波と日系人
   「ララ救援物資」計画
   トロント仏教会
   日本に「送還」された日系人
 4 おわりに
 B 中南米を中心に
 1 はじめに
 2 研究動向
   2008年まで
   2008年以降
 3 人の移動と国際関係――トランスナショナル・リレーションズ
   共同研究の事例
    ①南北アメリカ研究会(2005~06年)
    ②多文化共生の諸相研究会(2006~09年)
    ③ソフトパワーと平和構築研究会(2009~12年)
    ④イメージの中の日本とラテンアメリカ研究会(2014年~現在)
   文部科学省の大学世界展開力強化事業のプログラム
   国際会議における日系人の国際連携
   トランスナショナルな視点の現代社会における意義と重要性
 4 おわりに

あとがき[編集委員会一同]

 索引

前書きなど

まえがき

 (…前略…)

 1991年に発足した日本移民学会は、日本から世界各地への移民、世界各地から日本への移民、そして世界的規模の人口移動に関する多面的な研究を重ねてきた。こうした学術的研究の成果を社会に還元すべく、吉田亮前会長、森本豊富前会長を中心に、その方法を模索した。そしてJICA横浜・海外移住資料館と共催で、公開講座シリーズ「日本人と海外移住」を、2014年4月から2016年2月にかけて12回にわたって行った。ここでは、まず近代日本における海外移住について、具体的にはハワイ、本土アメリカ、カナダ、ブラジル、中南米、南洋群島、満州、東南アジアへの人口移動について、最新の研究成果に基づいて紹介した。さらに日本への移民については、在日ニューカマー・オールドカマーという視点から紹介し、最後に今後の移民研究の展望を総括した。
 このたび、この2年にわたった公開講座シリーズの個々の講座内容を、読み応えのあるわかりやすい論考としてまとめ、広く一般の読者に提供する機会をいただいたことは幸いである。読者には、序章の「「移民」を研究すること、学ぶこと」から最終章の「移民研究の現状と展望」まで、各章をじっくり味わい、移民に関する知識を広げるのはもちろんのこと、移民をめぐっては多様な意見が存在することを知っていただきたい。移民は、異なる地域間を移動するわけであるが、移民の動向には、国家や地域の政策が大いに影響する。それゆえ、移民研究にも多様な視点、立場があり、各章の主張はあくまでも執筆者個人の意見であり、JICA横浜や日本移民学会を代表する見解ではないことをご理解いただけたら幸いである。
 読者の皆様には、各論考を読みながら、移民になること、移民を送り出すこと、移民を迎え入れること、移民として異文化に生きることとはどのような意味を持つのか、移民の歩みを追体験しながら、移民自身の、そして移民を取り囲む多様な立場の人々の視点に立って考えていただきたい。

上記内容は本書刊行時のものです。