書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
グローバル時代の「開発」を考える
世界と関わり、共に生きるための7つのヒント
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年8月
- 書店発売日
- 2017年8月25日
- 登録日
- 2017年8月9日
- 最終更新日
- 2017年8月9日
紹介
貧困、戦争、温暖化など地球規模の問題を経済成長だけで解くのはもう限界。一人ひとりが地球社会のあるべき姿を考え、その実現に参加していく先に未来がある。正解のない難問に立ち向かうヒントとなる幸せ、豊かさ、公正、共生など7つのキーワードを提示。
目次
まえがき
序章 誰もが「幸せ」を感じられる世界は、本当にできるの?
1 はじめに
2 幸せの度合いを測る試み
3 経済が成長すれば、だれもが幸せになれる?
4 経済のグローバル化で「幸せ」は広がった?
5 異なる考え方や生き方の人と、共存できるの?
6 おわりに:どうしたらいいの?
コラム1 スマホやエアコンを持っていたら「貧困」ではない?
コラム2 米国トランプ政権による「アメリカ・ファースト」は反グローバリズム?
第1章 「豊かさ」ってなんだろう?
1 はじめに
2 日本は“豊かな国”なのか?
3 “豊かな国”の豊かではない国民
4 「6人に1人が貧困」
5 「豊かさ」を求めて:高度経済成長からバブル経済へ、そしてアベノミクスへ
6 経済優先や科学技術への警鐘
7 「もうひとつの豊かさ」を求めて:「人間開発」と「エンパワーメント」
8 おわりに:世界でもっとも貧しい大統領の言葉
コラム3 パナマ文書とタックス・ヘイブン
第2章 「公正な社会」ってどんな社会?
1 はじめに:「幸せ」や「豊かさ」に「違い」や「格差」があってもよい?
2 「公正」の意味を考えてみる:ある日の高校の陸上部の練習風景
3 「公正な社会」に必要なこと
4 「公正な社会」を求める国際社会の動き
5 欧米における「公正としての正義論」の登場
6 「中立」は「公正」と言えるか?
7 市民社会組織(CSO)が目指す公正な社会
8 公正な貿易を求めるフェアトレード活動
9 おわりに:「公正な社会」と日本国憲法
コラム4 福島原発事故による避難者・被災者への補償と支援を公正の観点から考える
第3章 「多文化共生」ってどういうこと?
1 はじめに
2 もしも外国で暮らすことになったら……
3 日本にいる外国人、エスニック・マイノリティ
4 「外国人」は、なぜ生きづらいのか?
5 「多文化共生」へ向けての努力
6 「ともに生きる」ためには、なにが必要なのか?
コラム5 ヘイトスピーチ
コラム6 メディア・リテラシー
第4章 「平和な世界」ってどんな世界?
1 はじめに:あなたにとって「平和な世界」とは?
2 人類永遠のテーマ:戦争と平和
3 「ほんとうの平和」って何?
4 暴力のない平和な社会へ:暴力に立ち向かった4人の平和活動家
5 平和な世界を築くために
コラム7 「積極的平和」と「積極的平和主義」
コラム8 「シリア難民」から考える:「文明化」は何のため?
第5章 自分らしい「参加」ができる社会づくり
1 イベントに「参加する」?
2 「参加のはしご」:参加の意味を考える
3 参加が大切なわけ
4 社会参加の目的
5 誰もが参加できるための仕組みづくり
6 参加型方法論の成功の秘訣:ファシリテーターに求められること
7 社会に参加することとエンパワーメント
8 おわりに
コラム9 世界は変えられる――市民が作った対人地雷全面禁止条約
第6章 誰にでも「居場所」がある世界に
1 ミレニアム開発目標
2 生物多様性の危機
3 地球温暖化
4 これからの世界は?
5 SDGs(国連持続可能な開発目標)
6 グローバル経済と人の移動
7 グローバル化と私たち
8 「居場所」の必要性
9 居場所づくりの大切さ
コラム10 はしごをはずされた英国の若者たち
終章 「自分の世界」から踏み出してみる
1 この本をふりかえってみる
2 「外の世界」と「自分の世界」
3 「外の世界」とつながり、「自分の世界」を拡げる3つの方法
4 「自分の世界」から踏み出してみる
5 視点が変わった若者たちのはなし
〔解説〕グローバル時代の「開発」問題と開発教育
1 はじめに:開発教育とは何か
2 「開発」問題が分かりにくい時代の中で
3 「ともに生きることのできる公正な地球社会づくりに参加する」とは?
4 世界を読み解く7つのキーワードと5つの論点
5 これからの開発教育:持続可能な開発目標「4・7」の意味と課題
あとがき――「グローバル市民」として生きる
索引
前書きなど
まえがき
(…前略…)
グローバル化が現在のような形で進行してきたのは、決して単なる偶然ではありません。人々が望み、あるいはそれを必要とし、さまざまな働きかけをしてきた結果、長期間かけて形作られたものです。そうして作られた世界の現状は、もしかしたら、ある人々にとって望ましい状況かもしれませんし、逆にある人々にとっては、望ましくないものかもしれません。しかし確実に言えるのは、これがこの先どこに向かっていくのかは、明確に定まっているものではなく、その方向は、これからを生きる私たち次第で決まるものだということです。たとえれば、現代に生きる私たちは、これまでに形作られてきた線路の上に立ってはいますが、その線路の先はまだ作られていません。私たちはこれから先の線路の方向を、今までの延長線上にとるのか、それとも変えていくのか、変えるとしたらどの方向に進むのかを決め、それを作りながら歩んでいくことになります。
では、この線路の方向性、つまり、グローバル化が進みさらに変化しつつある世の中が、現在のところどこに向かおうとしているのか。そしてそれは、私たち一人ひとりの暮らしや生き方にとって望ましい方向と言えるのか。そもそも、私たちが望む世界とはどのような姿なのか。こうしたことについて、これから世界について学ぼうとする高校生や大学生、そしてその同年代の皆さんとともに考えたいという思いから、この本は書かれました。七つの章のそれぞれで提示された「幸せ」「豊かさ」「公正」「共(に)生(きる)」「平和」「参加」「居場所」というキーワードは、世界を眺めるための“窓”のような役割を担います。この本を読むことで、それらの“窓”をとおして、学校で習うのとは少し違った角度から世界を眺めることになるでしょう。それらの“窓”を通して見ると、世界はどのように見えるでしょうか。一つひとつの部屋を訪れて窓から外の世界をのぞくように、各章を読み進めていってほしいと思います。もしかしたら、読む前と読んだ後とでは、世界の見え方がすこし変化しているかもしれません。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。