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子どもの貧困と公教育
義務教育無償化・教育機会の平等に向けて
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年2月
- 書店発売日
- 2016年2月25日
- 登録日
- 2016年2月23日
- 最終更新日
- 2016年6月2日
書評掲載情報
| 2016-09-15 | POSSE(ポッセ) 32 |
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紹介
新自由主義的な日本の教育再編のなか、「子どもの貧困」「学校統廃合」「学校職員の非正規化」が深刻な問題となっている。本書は、これら三つの課題に対して、教育行財政からのアプローチを試み、普遍主義の立場から教育福祉を構築していくことを模索する。
目次
はじめに――子どもの貧困、学校統廃合、学校職員の非正規化
1 子どもの貧困の現状と課題
(1)子どもの貧困率16.3%という現実
(2)現行の選別主義的施策
[ア]就学援助の実態
[イ]認定基準の考察
(3)戦後の子どもの貧困対策と就学督励
[ア]法整備の過程
[イ]教育福祉の考察
2 戦後公教育体制の解体と3つの課題
(1)安倍政権による戦後公教育の解体
[ア]教育再生実行会議の施策と実体化
[イ]グローバル人材の育成と地方創生
(2)子ども、地域、学校
3 新たな選別主義的施策
(1)「学歴・学力保障」に向かう選別主義施策
[ア]子どもの貧困対策法の施策
[イ]文教概算予算に見る子どもの貧困対策のねらいと問題点
[ウ]就学援助制度の位置づけ
(2)「学歴・学力保障」政策の具体的な展開
[ア]先行してきた社会福祉の取組
[イ]「学歴・学力保障」の新展開
(3)足立区「2015年子どもの貧困対策元年」
[ア]23区の格差のなかで
[イ]構造的な課題と基本構想
[ウ]教育環境とこれまでの施策
[エ]2015年子どもの貧困対策元年
(4)イギリスの拡張学校の事例
4 普遍主義の進展・義務教育の無償化
(1)学校財政の脆弱性
(2)義務教育の無償化への展望
[ア]明治期から学校財政はどのようになってきたか
[イ]公会計化による改善と就学援助事務
[ウ]「子どもは地域の宝」を実現する義務教育費の無償化
(3)高校授業料の無償化
5 学校統廃合
(1)学校設置と統廃合の戦後史
[ア]21世紀は学校統廃合の世紀
[イ]戦後の学校の教育環境整備
(2)文科省の路線転換
[ア]地方創生と廃校
[イ]学校統廃合推進の衝撃
①手引の内容と影響
②戦後の学校統廃合の変遷
[ウ]パンドラの箱
(3)地方創生と学校の統廃合
(4)都市部における学校統廃合
(5)脱統廃合
[ア]学校統廃合をしない、できない場合の方策について
[イ]手引の分析
①手引の前提条件への批判
②適正規模・適正配置
③学校統合の留意点
④小規模校を存続させる場合
[ウ]しない、できない場合の具体的方策
①小さな学校の評価と工夫
②教職員定数、複式学級標準の改善
③学校施設環境、スクールバスの課題
[エ]存続の意志を
6 学校職員の非正規化と外部化
(1)学校職員構成の変容
(2)教員の多忙化の現実と理由
[ア]OECD調査への対応
[イ]鍋ぶた型からピラミッド型へ
[ウ]非正規教員の拡大の要因
(3)学校スタッフ職の非正規、官製ワーキングプア化
(4)21世紀ピラミッド型学校職員雇用
[ア]小規模化するなかでピラミッド型は有効なのか
[イ]チーム学校への期待と危惧
(5)公設民営学校と教育バウチャー
[ア]新自由主義政策の究極のかたち
[イ]教育活動の外部化
[ウ]日本における教育バウチャー
[エ]公設民営学校の具体化
おわりに――公教育の再生、展望と課題
あとがき
付録 増補改訂版 学校給食費の公会計化を目指す人のためのQ&A――法令遵守の徹底から無償化を展望します
参考文献
索引
前書きなど
あとがき
今日いわれているのは、次のようなことではないでしょうか。
「グローバル人材を養成するためにはそこに教育投資を集中する必要がある。子どもの貧困に対しては自立して、自己解決しろ。そのために、子どもの貧困対策法を制定し、「学歴・学習保障」の政策を打ち出した。少子化、過疎化で子どもが少なくなれば、地域から学校をたたむのは当然である。嫌なら、自分たちでやり繰りを考えろ。地方創生に対応した「手引」も示してある。グローバル人材とその他とは分離して、校長のリーダーシップのもとに、さまざまな学校職員が分担して公教育をつつがなく行うことが大切である。「チーム学校」はそのための仕組みである。もちろん、公教育は本採用公務員でなければできない仕事ではない。本採用教職員の任務は公権力の行使を厳密にすることである。実施するのは非正規あるいは委託職員で十分である。数値化した学力の向上という質の保障のためには、必要に応じて集め、また解雇できる非正規公務員や委託職員の活用が効率的である。その先にあるのは公設民営学校や教育バウチャーになる」
事態はそこまで来ているのであって、それはちょっとまずいのではないか。そこで、普遍主義に立った公教育と福祉との結合をもってストップをかけ、小さな学校を尊重し、職種や雇用状況を超えた鍋ぶた型の学校運営(それは真のチームの在り方である)を行うことで公教育の再生を本書で検討しました。
本書は、私にとって3冊目の単著であり、前著『学校財政』で使用した教育行財政のアプローチの手法を使っています。子どもの貧困、学校統廃合、学校職員の非正規化という、新自由主義的な教育政策の影の部分を分析し、公教育の再生に向けた具体的な改善の取組を一緒に考え行うための提起をしたつもりです。実践的な取組には、説得するにしろ交渉するにしろ、主張の論拠を示し、共感を得つつ相手の論拠を覆す作業が必要です。そのとき、これまでの経緯、法解釈、データ、事例などが大切であると考えています。そのため、なるべく活用できる資料をそろえました。また、実践的な課題に応えるために、資料として「増補改訂版 学校給食費の公会計化を目指す人のためのQ&A――法令遵守の徹底から無償化を展望します」を添付しました。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。
