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ブラジルのアジア・中東系移民と国民性の構築
「ブラジル人らしさ」をめぐる葛藤と摸索
原書: Negotiating National Identity: Immigrants, Minorities, and the Struggle for Ethnicity in Brazil
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年3月
- 書店発売日
- 2016年3月31日
- 登録日
- 2016年3月23日
- 最終更新日
- 2016年6月2日
紹介
世界中の様々な地域からの移民を受け入れて成り立ってきたブラジルにおいて、人々はどのように「ブラジル人」アイデンティティを獲得していったのか。主に少数派であるアジア系(日本、中国、中東)の移民に焦点をあて、彼らの国民性の形成の過程を論じる。
目次
日本語版への序
第1章 隠されたハイフン
第2章 中国人労働と人種統合をめぐる論争
第3章 エスニックな空間の構築
第4章 ハイフンを求めて
第5章 交渉と新たなアイデンティティ
第6章 日本人になる
第7章 エピローグ
原注
訳者あとがき
参考文献
索引
前書きなど
日本語版への序
(…前略…)
本書は、ブラジルの過去について述べられてきた一般的なお題目を掘り下げ、読者に対し、祖先が移民であったブラジル人は今なおしばしば永久の外国人と見なされる、という一般的な風土の意味を考えるように促します(例えば、「ジャポネス」という言葉は、日本人も多くのブラジル人も同じように表します)。たとえハイフン付き(つまり、ドイツ系ブラジル人、日系ブラジル人、アラブ系ブラジル人)の場合であっても、すべての人々を標準的ブラジル人として扱うことによって、本書はブラジルを南北アメリカ全体の中に位置づけます。言い換えれば、どの国も特殊で比較できないものとして提示するナショナリストの研究とは異なるというわけです。
『ブラジルのアジア・中東系移民と国民性の構築』は、「新しいエスニシティ研究」と見なされてきた高度に反本質主義的な学術的ムーブメントを代表しています。ユダヤ人(しばしばアラブ人であった)、アラブ人(しばしばキリスト教徒であった)、日系人(たいていブラジル人であった)を含む、種々のエスニック・グループについて幅広く議論しています。私の関心は、移民法やエリートの言説、ブラジルの国民的アイデンティティ構築において取り上げられる際の類似性にあります。さまざまな資料(ブラジル、日本、英国、イスラエル、米国の文書館、視覚文化、諸制度、一般の人々の声)を利用することによって、経験の連続性が明らかになります。これらの史資料は、移民とその子孫が、想像された単一のブラジルの国民性と、入国後に形成される自らの新しいエスニシティの両方を「交渉」することによって、大きな利益を獲得しえたことを示しています。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。