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差別・被差別を超える人権教育
同和教育の授業実践記録を読み解く
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年6月
- 書店発売日
- 2015年6月30日
- 登録日
- 2015年6月18日
- 最終更新日
- 2015年6月18日
紹介
人権教育に長く関わってきた著者が、ある同和教育実践記録を典型的な事例として取り上げて具体的に解読することを通して、部落問題学習がどのようなかたちで教師―生徒、生徒―生徒の関係性を生み出すことができたかについて詳細に分析していく。
目次
まえがき
序章 問題の設定
第一節 何を問題として取り上げるか?
第二節 本書の構成
第一章 「卑屈」からの解放へ向けて――ライフ・ストーリー
第一節 M先生のライフ・ストーリー
第二節 ある女子学生のライフ・ストーリー
第二章 「呼びかけ(訴え)‐応答」の主体形成へ向けて――授業記録の解読(1)
第一節 一九九〇年度――「名乗る」という出来事
第二節 一九九一年度――三年B組の担任として
第三節 「差別の膿が噴き出してきた」
第四節 「呼びかけ(訴え)‐応答」の実践
第五節 両側から超えて〈対話〉を
第三章 生徒の意識の時系列的な変化――授業記録の解読(2)
第一節 TKさんとHI君の場合
第二節 被差別部落出身と名乗った生徒の事例
第三節 部落出身とは名乗っていない生徒の事例
第四章 「学習資料」に媒介された関係性――授業記録の解読(3)
第一節 詩「峠」――学年初めの出会いの授業
第二節 先達たちの言葉――佐藤文彦と丸岡忠雄
第三節 水平社宣言――西光万吉たち
第五章 質的データの補足――授業記録の解読(4)
第一節 MM君(部落出身)の発言行動
第二節 家族に関する生徒たちの発言
終章 考察
第一節 「全体学習」の深化と発展
第二節 差別・被差別の両側から超える
第三節 同和教育と人権教育
第四節 同和教育と地域性
あとがき
参考文献
前書きなど
あとがき
M先生は、一九九六年から五年間、広島大学教育学部で「同和教育演習」(四年次生、原田彰担当)の一部を集中講義の形で担当した。その時提出された学生のレポートのいくつかが、『峠を越えて――I中学校・全体学習一〇年間の奇跡』(二〇〇〇)というI中学校の一〇年間にわたる「全体学習」の実践をまとめた記録の中に掲載されている。それらの文章の一部を引用したい。
(…中略…)
本書は、M先生とI中学校の教育実践記録(一九九〇~九一年)の解読を通して、〈同和教育の構造〉を具体的にとらえる試みを行うことによって、「同和教育とは何だったのか?」という問いへの一つの応答をしようとしたものである。それにしても、初めから終わりまで引用だらけになってしまった。だが、私は、授業中の発言や「生活ノート」の言葉など、一人ひとりの生徒の具体的な言葉を通してこそM先生の実践が持つ意味をとらえることができるという仮説を立て、〈同和教育の構造〉を抽象化せずに描き出したいと考えた。しかし、私の解読が正解だと主張するつもりはない。別の解読もありうるだろう。だからこそ、個々の生徒の発言をできるだけ具体的につかむことができるように努め、読者が自分の判断で解読できるようにしたつもりである。ただし、上記の(M先生の講義を聴き、先生の授業のビデオを観た)学生たちの言葉も合わせて参考にしていただきたい、と私は願っている。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。