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映画で読み解く現代アメリカ 越智 道雄(監修) - 明石書店
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映画で読み解く現代アメリカ オバマの時代

発行:明石書店
四六判
312ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-4180-4
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年4月
書店発売日
登録日
2015年4月16日
最終更新日
2015年4月20日
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紹介

映画の一つひとつのシーンや台詞には、社会に潜むさまざまな問題が凝縮されている。本書は、オバマ政権となってからの現代アメリカ社会が抱える政治、経済、人種、ジェンダーなどの問題や文化の諸相を、20本を越える映画を題材に多角的に分析し解説する。

目次

 はじめに


Ⅰ 政治

第1章 オバマとリンカンの点と線『リンカーン』〈伊藤真悟〉

第2章 正義と権力とFBI『J・エドガー』〈寺嶋さなえ〉

  [コラム]オバマケアと『シッコ』


Ⅱ 外交と戦争

第3章 CIAによる狂気のビン・ラディン追跡劇『ゼロ・ダーク・サーティ』〈小澤奈美恵〉

 [コラム]『アルゴ』――CIAの表と裏

 [コラム]イスラム国の台頭と空白の中東近代史


Ⅲ 経済

第4章 ウォールストリートの壁『キャピタリズム』『インサイド・ジョブ』〈越智道雄〉

 [コラム]『TIME/タイム』――カールペ・ディーエムの地獄 or 死も身分差を均さない


Ⅳ 法

第5章 グアンタナモをめぐる攻防『ア・フュー・グッドメン』『グアンタナモ、僕達が見た真実』〈坂本仁〉

 [コラム]「恥ずべき」銃規制法案否決

 [コラム]合衆国憲法の構成


Ⅴ 宗教

第6章 ユダヤを巡る多様性と可能性『ミュンヘン』ほか〈伊達雅彦〉

第7章 宗教の政治化への異議『ジーザス・キャンプ.アメリカを動かすキリスト教原理主義~』〈石塚幸太郎〉

 [コラム]大統領選に見るモルモンの受容

 [コラム]音楽を武器に不条理と闘うパレスチナ人ヒップホップ・グループ


Ⅵ テクノロジーとSF

第8章 ウィキリークスが政府・既存メディア・プライバシーに与えた衝撃『フィフス・エステート/世界から狙われた男』〈マイケル・F・クボ〉

第9章 モーゼ・ジェネレイションとヨシュア・ジェネレイション『GALACTICA/ギャラクティカ』〈越智敏之〉

 [コラム]ジョブズが歩いた「文系と理系の交差点」


Ⅶ ジェンダー、セクシュアリティ

第10章 ゲイ・カウボーイと自閉するアメリカ『ブロークバック・マウンテン』〈塚田幸光〉

第11章 シンデレラ・イン・ニューヨーク『セックス・アンド・ザ・シティ』『プラダを着た悪魔』〈成実弘至〉


Ⅷ エンターテインメント

第12章 現実世界のコミックヒーロー『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト・ライジング』〈遠藤徹〉

  [コラム]アメリカにおける「日本」の大衆文化


Ⅸ 環境・エネルギー問題

第13章 惑星的危機意識というプロパガンダ『不都合な真実』『ザ・シンプソンズMOVIE』ほか〈岩政伸治〉

 [コラム]シェールガス革命と『GASLAND』

 [コラム]食の安全


Ⅹ 人種とマイノリティ

第14章 ヒスパニック系移民とファレスの「フェミサイド」『モーガン・スパーロックの30デイズ』『ボーダータウン 報道されない殺人者』〈宗形賢二〉

第15章 変貌する多民族国家に見る「白人性」『テッド』『フライト』〈塩谷幸子〉

第16章 ポスト人種社会へ向けた人種差別風刺コメディ『ハロルド&クマー』シリーズ〈鈴木繁〉

 [コラム]ミズーリ州ファーガスンと黒人青年射殺事件――ブラウン判決から六〇年


 おわりに――極相生態系に突入した資本主義の迷宮からの脱出を賭けた二〇一六年

 引用・参考文献/参考映画
 編著者紹介

前書きなど

 はじめに

 本書は、アメリカ映画を通して現代アメリカ社会の動向や文化の諸相を解説することを目的としている。映画の一つひとつのシーンや台詞には、社会に潜むさまざまな問題が凝縮されている。本書では、例えば、政治、経済、外交、人種、ジェンダー、セクシュアリティなどの問題を映画の中から抽出して詳細に説明しているので、読者の方々には、慣れ親しんだ映画から、現代アメリカが抱えるさまざまな問題に気付き、認識を深めていただければ幸いである。
 映画を素材としたアメリカ文化研究を行うに当たって、学際的なカルチュラル・スタディーズの手法を援用している。本書を執筆しているのは、ほとんどが英米文学・文化を専門とする研究者であるが、専門分野で長年培われた知見によって洞察を加えながらも、狭い専門領域を越境し、政治・経済・外交など幅広い領域を横断し、多角的視野で文化を分析することを試みている。
 本書が扱う時代は、オバマ政権時代である。歴史的選挙戦を経て史上初の黒人大統領が誕生した二〇〇九年から二期目の半ば、執筆時点での現在である二〇一四年までの六年を対象としている。オバマ大統領は、九・一一以降ブッシュ政権が引き起こした戦争や金融危機の後始末という重い使命を担って、選出されたと言えるだろう。WASPの純粋な血統を引くブッシュ政権の過ちの責任を、混血の黒人大統領が取らされるとは、アメリカ史の皮肉であろうか。
 アメリカの富裕層と企業家たちの権利を代表する共和党ブッシュ政権が推進した新自由主義経済においては、規制緩和や富裕層への減税によって、アメリカの富は、弱者から奪われ、特権階級に吸収されていき、貧富の格差はいっそう拡大していった。そしてその帰結は、世界を巻き込む金融危機であった。さらに、九・一一以降、アメリカは、石油資源や軍産複合体の利益追求のために、大量破壊兵器の存在やサダム・フセインとアルカーイダとの関係を捏造してまで、イラク戦争に踏み切った。既に長年のアメリカの外交政策で怒りが増大し、テロの温床となっていた地域をさらに取り返しがつかないくらい刺激し、怒りを煽ったのである。オバマ大統領に背負わされた十字架はとてつもなく重かったと言える。史上初の黒人大統領としての華々しい感動の登場が、厳しい戦いに変わることは、オバマ自身が最もよく理解していただろう。第一期就任演説における「新たな責任の時代」という厳粛な言葉が、そのことを物語っている。

 (…中略…)

 以上のように、各章から現代アメリカの真の姿をお伝えできると確信している。アメリカ社会や文化に深い洞察を加えた素晴らしい論稿を寄稿してくれた執筆者一人一人の貢献が「オバマの時代」の全体図の完成に繋がったと考えている。
 最後に、後進を育てるような寛大さと忍耐で、本の制作過程を見守り、一つひとつの原稿に目
を配り助言を下さった監修者の越智道雄氏に深い敬意と感謝を捧げる。

   編著者を代表して 小澤奈美恵

著者プロフィール

越智 道雄  (オチ ミチオ)  (監修

1936年愛媛県生まれ。明治大学名誉教授。日本翻訳家協会評議員、日本ポップカルチャー学会顧問、日本ペンクラブ会員(元理事、元国際委員長)。著書に、『ワスプ(WASP)――アメリカン・エリートはどうつくられるか』(中公新書)、『ブッシュ家とケネディ家』(朝日選書)、『なぜアメリカ大統領は戦争をしたがるのか?』(アスキー新書)、『誰がオバマを大統領に選んだのか』(NTT出版)、『オバマ・ショック』(町山智浩との共著、集英社新書)、『アメリカ合衆国の異端児たち』『大英帝国の異端児たち』(共に日経プレミアシリーズ)、『ジョージ・ソロス伝』(李白社、発売元ビジネス社)、『大統領選からアメリカを知るための57章』『ニューヨークからアメリカを知るための76章』『カリフォルニアからアメリカを知るための54章』『オバマ 「黒人大統領」を救世主と仰いだアメリカ』『アメリカを動かすスコッチ=アイリッシュ――21人の大統領と「茶会派」を生みだした民族集団』(いずれも明石書店)ほか。訳書に、『ヴィジュアル・ヒストリー アメリカ――植民地時代から覇権国家の未来まで』(アレン・ワインスタインほか著、東洋書林)、『白人の歴史』(ネル・アーヴィン・ペインター著、東洋書林)『リンカーン――うつ病を糧に偉大さを鍛え上げた大統領』(ジョシュア・ウルフ・シェンク著、明石書店)ほか。

小澤 奈美恵  (オザワ ナミエ)  (編著

東京都立大学大学院人文科学研究科(英文)博士課程単位取得満期退学。1993~94年、米国ブラウン大学客員研究員。現在、立正大学経済学部教授。専門は、アメリカ文学・文化研究。著書に『アメリカ・ルネッサンスと先住民』(鳳書房、2005年)、共編著に『9.11とアメリカ――映画にみる現代社会と文化』(鳳書房、2008年)、共著に『ソローとアメリカ精神』(金星堂、2012年)、『日米映像文学は戦争をどう見たか』(金星堂、2002年)、『日米映像文学に見る家族』(金星堂、2002年)、共訳書に『アイデア・バイブル――創造性を解き放つ38の発想法』(マイケル・マハルコ著、ダイヤモンド社、2012年)など。

塩谷 幸子  (シオヤ サチコ)  (編著

東京都生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得満期退学。専門分野はアメリカ文化と英語教育(特に、語学教育工学)。明治大学講師。『9.11とアメリカ――映画にみる現代社会と文化』(共編著、鳳書房、2008年)、『アイデア・バイブル――創造性を解き放つ38の発想法』(マイケル・マハルコ著、共訳、ダイヤモンド社、2012年)、「〈母〉の再生と〈声〉の勝利――『アンクル・トムの小屋』におけるゴシックの力」(2003年、新英米文学会)他。

追記

執筆者一覧


伊藤 真悟(いとう・しんご)
1964年生まれ。関西大学社会学部マスコミュニケーション学科卒業。ミシシッピ州立大学大学院ジャーナリズム学部卒業。UPI通信社(米国)東京支局を経て、AFP通信社(フランス)東京支局記者。国内政治と外交問題を主に担当。立正大学講師。日本記者クラブ会員。

寺嶋 さなえ(てらしま・さなえ)
東京大学大学院総合文化研究科・地域文化研究専攻修士課程修了。現代アメリカ文学・文化研究。日本女子大学文学部講師。著書に『エスニック研究のフロンティア』(共著、金星堂、2014年)、「トニ・モリスンの作品にみるエクリチュールと権力」『外国語外国文化研究』(第21号、2011年)、『アフリカ系アメリカ人ハンディ事典』(共編著、南雲堂フェニックス、2006年)など。

坂本 仁(さかもと・ひとし)
1947年生まれ。早稲田大学大学院英文学専攻修了。立正大学教養部教授を経て、現在、同大法学部教授。英米文学・文化論・法文化。著書『ゴールディング作品研究』(鳳書房、2003年)、『裏返しのできない砂時計』(青弓社、1993年)、他。日本英文学会、イギリス・ロマン派学会、法文化学会会員。

伊達 雅彦(だて・まさひこ)
1964年生まれ。専門はユダヤ系アメリカ文学、アメリカ映画。尚美学園大学教授。共編著に『ユダヤ系文学に見る教育の光と影』(大阪教育図書、2014年)、『ゴーレムの表象――ユダヤ文学・アニメ・映像』(南雲堂、2013年)。共著に『エスニック研究のフロンティア』(金星堂、2014年)、『亡霊のアメリカ文学 豊饒なる空間』(国文社、2012年)、『笑いとユーモアのユダヤ文学』(南雲堂、2012年)。共訳書に『新イディッシュ語の喜び』(大阪教育図書、2013年)など。

石塚 幸太郎(いしづか・こうたろう)
1968年生まれ。一橋大学言語社会研究科博士課程単位取得満期退学。アメリカ思想史専攻。神奈川大学、東海大学、一橋大学講師。主な著作に、「1840年代のアメリカにおけるフーリエ主義の受容 ブリスベインのアソシエイション論」『経済学史学会年報』第39号(2001年)、「アメリカにおけるフーリエ主義の実践 ファランクスの経済思想」『一橋論叢』第125巻第3号(2001年3月)など。

マイケル・F・クボ
1965年生まれ。コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ修士修了(TESOL)。専門は英語教育。立正大学経済学部講師。論文に“Pair Taping Turns Twenty: A New Look at an Old Method”(『立正大学経済学季報』,Vol. 63 No. 1, 2013年)、“Examining Self-Confidence Variables: An Action Research Inquiry Into Pair-Taping(PT)Efficacy”(Accents Asia, Volume 1, Issue 3, 2007年)など。

越智 敏之(おち・としゆき)
1962年、広島県に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。現在、千葉工業大学准教授。専門はシェイクスピアとアメリカ社会。著書に『アメリカの最新ヒット商品&トレンド』(中央経済社、1997年)、『英語で言うとこうなります!』(竹書房、2000年)、『魚で始まる世界史』(平凡社新書、2014年)、共訳書に『菊と刀』(平凡社ライブラリー、2013年)がある。

塚田 幸光(つかだ・ゆきひろ)
1971年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。関西学院大学博士。映画学、表象文化論、アメリカ文学専攻。防衛大学校准教授を経て、現在、関西学院大学法学部・大学院言語コミュニケーション文化研究科教授。著書に『シネマとジェンダー――アメリカ映画の性と戦争』(臨川書店、2010年)、『映画とテクノロジー』(編著、ミネルヴァ書房、2015年)、『映画の身体論』(編著、ミネルヴァ書房、2011年)など。

成実 弘至(なるみ・ひろし)
1964年生まれ。大阪大学大学院、ロンドン大学大学院修了。専攻は文化社会学、ファッション研究。京都造形芸術大学准教授を経て、現在、京都女子大学教授。著書に『20世紀ファッションの文化史』(河出書房新社、2007年)、『Japan Fashion Now』(共著、Yale University Press、2010年)、『芸術環境を育てるために』(共著、角川学芸出版、2010年)、『コスプレする社会』(編著、せりか書房、2009年)など。

遠藤 徹(えんどう・とおる)
1961年神戸生まれ。東京大学文学部・農学部卒。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。同志社大学グローバル地域文化学部教授。専門は文化論/身体論など。主な著書に『溶解論:不定形のエロス』(水声社、1997年)、『ポスト・ヒューマン・ボディーズ』(青弓社、1998年)、『プラスチックの文化史:可塑性物質の神話学』(水声社、2000年)、『ケミカル・メタモルフォーシス』(河出書房新社、2005年)、主な小説に『姉飼』『壊れた少女を拾ったので』『おがみむし』『戦争大臣(全三巻)』(以上角川文庫)、『むかでろりん』(集英社)、『ネル』(早川書房)『贄の王』(未知谷)などがある。

岩政 伸治(いわまさ・しんじ)
上智大学比較文化学科卒。同大学院文学研究科英米文学専攻博士後期課程単位取得満期退学。専攻はエコクリティシズム。千葉大、東京外国語大学他の非常勤講師を経て、現在白百合女子大学英語英文学科准教授。最近の著書に『レイチェル・カーソン』(共著、ミネルヴァ書房、2007年)、『9・11とアメリカ――映画にみる現代社会と文化』(共著、鳳書房、2008年)、『アメリカ史』(共編著、アルク、2009年)、翻訳にヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ソロー語録』(編訳、文遊社、2009年)、ベラー&チェイス『平和をつくった世界の20人』(共訳、岩波書店、2009年)がある。

宗形 賢二(むなかた・けんじ)
1956年生まれ。イリノイ大学大学院(比較文学)留学後、日本大学大学院文学研究科博士課程満期退学。2001~02年UCLA客員研究員。主に19世紀転換期米文学・文化・比較文学研究。日本大学国際関係学部教授。近著に『9.11とアメリカ――映画にみる現代社会と文化』(共著、鳳書房、2008年)、『比較文学の世界』(共著、南雲堂、2005年)、『アメリカ1920年代:ローリング・トウェンティーズの光と影』(共著、金星堂、2004年)、『知の新視界:脱領域的アプローチ』(共著、南雲堂、2003年)などがある。

鈴木 繁(すずき・しげる)
カリフォルニア州立大学サンタクルズ校で博士号(文学)を取得。コロラド州立大学ボルダー校、リーハイ大学で客員教授を務めた後、ニューヨーク市立大学バルーク校(助教授)。本書と関連する最近の研究論文として、「情報化社会における身体」『9.11とアメリカ――映画にみる現代社会と文化』(共著、鳳書房、2008年)、「付与された人種イメージを描き返すコミックス――ジーン・ルエン・ヤン『アメリカ生まれの中国人』について」『エスニック研究のフロンティア』(金星堂、2014年)。

上記内容は本書刊行時のものです。