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レジリエンスと地域創生 林 良嗣(編著) - 明石書店
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レジリエンスと地域創生 (レジリエンストチイキソウセイ) 伝統知とビッグデータから探る国土デザイン (デントウチトビッグデータカラサグルコクドデザイン)

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発行:明石書店
A5判
264ページ
上製
定価 4,200円+税
ISBN
978-4-7503-4150-7   COPY
ISBN 13
9784750341507   COPY
ISBN 10h
4-7503-4150-9   COPY
ISBN 10
4750341509   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年3月
書店発売日
登録日
2015年3月9日
最終更新日
2015年3月9日
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紹介

日本のレジリエンスはなぜ失われたのか、その回復方法は? 伝統知も参照し国内外の喪失事例を分析するともに、ビッグデータを活用した東日本大震災の検証、地震災害リスク評価を通し、QOLに基づくスマート・シュリンクによる国土デザインの方法を提示。

目次

 はじめに


第一部 レジリエンスの喪失と回復

第1章 なぜ我が国のレジリエンスが失われたのか
 1 いま注目されるレジリエンスとは
 2 いまなぜレジリエンスが問題になるか――20世紀末以降の経緯
 3 日本学術会議の警告(2007年)
 4 東日本大震災が突きつけたレジリエンスの課題
 5 レジリエンスと地域創生

第2章 レジリエンスを回復・向上させるための戦略
 1 レジリエンス回復・向上とは
 2 東日本大震災の教訓から
  1 東日本大震災の被害と混乱から学ぶ
  2 津波被害アーカイブから防災設計のあり方を学ぶ
  3 津波遡上地図から「想定力」の重要性を学ぶ
  4 失ったストックに注目して災害予測をイメージ化する
 3 伝統知や地域特性の理解
  1 土地の脆弱性を賢く考慮する
  2 伝統的木造建築の復元力を維持・向上させる
  3 民族の伝統知に学ぶ
  4 海外の被災地に学ぶ
  5 メガシティの交通渋滞の空間伝播に学ぶ
 4 重要な概念およびビッグデータの活用
  1 レジリエンスの向上を「Quality of Life(QOL)」で評価する
  2 自然災害リスク認識のためのプラットフォームを確立する
  3 居住地域のコンパクト化により財政の健全化を図る
  4 マイクロジオデータによる被災リスクや地域対応力の定量化
  5 スマート・シュリンクをキーワードとしたレジリエントな国土デザイン

第3章 レジリエンス喪失の事例
 1 東日本大震災におけるレジリエンス喪失
  1 東日本大震災の3つの特徴
  2 物的被害の根本要因
  3 災害対応の混乱の根本要因
  4 復興の混乱の根本要因
  5 地域のレジリエンスをどう育むか
 2 木造建築の情勢変化が及ぼすレジリエンスへの影響
  1 はじめに――木造建築のレジリエンス
  2 大工充足率
  3 木材自給率
  4 木造建築の復元力
 3 オランダにおける水災害に対するレジリエンス
  1 オランダにおける気候変動に対応した治水対策 Room for the River の概要
  2 土地利用と治水対策、オランダと日本の政策
 4 フィリピンにおける高潮被害とレジリエンス
  1 台風ハイヤンによるフィリピン高潮被害調査とアーカイブス構築
  2 沿岸地形と高波・高潮に対する地域のレジリエンス
 5 ウランバートルにおけるゲル地区再開発計画とレジリエンス
  1 モンゴルの遊牧におけるサステイナビリティとレジリエンス
  2 ウランバートルのゲル地区と再開発問題
  3 ゲル地区再開発計画と住民の対応
  4 モンゴルにおけるレジリエンス研究の取り組みに向けて
 6 サステイナビリティとレジリエンス――ペルーの古代文明、先住民社会、現代都市の災害から学ぶ
  1 はじめに
  2 ペルー先住民社会の牧畜――定牧
  3 アンデスの移動する農耕――移農
  4 古代アンデス文明におけるレジリエンス
  5 被災地ピスコの4年後――政治不信
  6 災害にみるラテンアメリカ都市部の「脆弱性」
  7 おわりに――災害復興と「コムニタス」世界


第二部 レジリエンスを高める国土デザイン

第4章 ジオ・ビッグデータによる東日本大震災の検証と新たな展開
 1 航空写真と国土基盤情報による津波の詳細マッピング
  1 大規模災害時における被災地図
  2 日本地理学会による地震直後の津波マッピング
  3 高解像度「津波遡上高分布図」の作成と意義
  4 津波地図の将来的活用
 2 津波被害のオンサイト情報アーカイブ
  1 情報共有スキームのもとでの津波被害調査
  2 津波情報アーカイブスの構築と活用
  3 沿岸域のレジリエンス向上のための課題
 3 津波被害による「失ったストック」量の推計
  1 「失ったストック」把握の重要性
  2 物質蓄積量の推計方法
  3 東日本大震災の津波による失ったストック量
  4 南海トラフ巨大地震による津波被害が想定される失ったストック量
  5 情報配信サイト「Map Layered Japan」
 4 被災に伴うQOLの低下と回復度
  1 はじめに
  2 災害時の生活環境(QOL)評価の方法
  3 QOL水準の算出結果

第5章 ジオ・ビッグデータによる地震災害リスク評価とレジリエントな国土デザイン
 1 マイクロジオデータベースによる地震災害リスク評価
  1 既存の被害予測における課題
  2 建物単位のマイクロジオデータの整備
  3 マイクロジオデータを活用した大規模地震発生時の被害予測
 2 市民・住民によるジオ・ビッグデータの活用と課題――減災・防災の観点から
  1 レジリエンス向上に向けたジオ・ビッグデータの活用の可能性
  2 ジオ・ビッグデータがこれからの防災まちづくりを支える
  3 ジオ・ビッグデータが防災計画の精度を高める

第6章 レジリエンスを高め地域創生を実現する国土デザインのあり方
 1 社会情勢の変化とレジリエンスの確保のための課題
  1 社会、経済・財政状況の変化
  2 拡大する土地利用がもたらした脆弱性の顕在化
 2 QOL評価に基づく国土デザイン
  1 はじめに
  2 Triple Bottom Lineによるレジリエンスとサステイナビリティの定量表現
  3 巨大災害によるQOL変化とレジリエンス
  4 レジリエンス向上策の検討方法
 3 災害アセスメントの提案
  1 はじめに
  2 「災害アセスメント」の概要
  3 災害脆弱性評価に基づく2段階の「災害アセスメント」
  4 「災害アセスメント」と耐津波土地利用規制の関係性
  5 評価主体と評価項目
  6 おわりに
 4 QOLを高め地域創生を実現するための制度的課題――スマート・シュリンクの推進
  1 スマート・シュリンク実現のための課題
  2 スマート・シュリンク推進の現状
  3 地方自治体の財政面からのインセンティブ
  4 災害復旧の観点からのスマート・シュリンク推進のインセンティブ
  5 スマート・シュリンク実現のための災害危険地域での誘導策の検討


 あとがき
 索引

前書きなど

あとがき


 レジリエンスは、古くからある概念でありながら、これまで国土や社会を対象としては必ずしもよく理解されていなかった。2011年の東日本大震災は著しくレジリエンスを損なった事例であるが、ふり振り返ってみると、日本は2004年に起こったインド洋の巨大地震津波を調査研究はしたが、明日は我が身であるとは認識してはいなかった。また、統計情報による既往最大値にとらわれ、地域の伝統知は分析対象外となって、そこに残されていた重要な教訓を生かせなかったと言えよう。
 このことから本書は、この反省にも立ち、第1部では自然災害に限らず多様な喪失事例を取り上げて、その拠って立つ地域の自然現象および社会事象のメカニズムをレジリエンスの視点から統一的に理解し、レジリエンスを意識することを補助する知識ベースとしてアーカイブするプロセスを示そうとしたものである。ここでは、伝統知とビッグデータをフルに活用し、従来の数値統計だけの情報とは一線を画している。
 その内容は、国内の災害だけでなく、フィリピンのスーパー台風ハイヤン、海と川の両方から常に洪水のリスクに曝されているオランダのそれへの対処、タイのバンコクが経験した道路網の超渋滞現象とそこからの脱出、モンゴルの都市化とそれに伴うコミュニティの脆弱化など、海外の著しくレジリエンスを損なった自然現象、社会事象をも含み、レジリエンスを多角的に理解いただけたのではないだろうか。
 では、社会のレジリエンスを如何にして取り戻すのか? 第二部では、従来にない全く新しい方法として、QOL評価に基づいてスマート・シュリンクさせていく国土デザインの方法を提示した。この分析では、ビッグデータを用いて、東日本大震災を地震と津波のマッピング、オンサイト情報アーカイブ、失われた建物ストックの発生、人々のQOL低下、医療施設や交通システムの被災による被害の拡大の推計をした。また、マイクロジオデータを用いて、地震時の火災延焼シミュレーション結果を提示し、災害リスクに関わる政策分析への応用を示した。
 レジリエンスは地域社会の精神的な体幹筋とも言うべきものであり、それを保証できるか否かは、しなやかな国土デザインにかかっている。今日議論されている地域の創生おいても、レジリエンスは地域経済の活性化などのすべての政策の基礎に据えられるべき理念である。そのために、地域社会のレジリエンスを維持向上させるための災害アセスメントとスマート・シュリンクを実現するための制度提案も行なった。
 これら本書で展開した内容により、地域社会のレジリエンスを回復改善するための国土デザインに対して、伝統知とビッグデータを用いた分析とその知識ベースとしてのアーカイブが如何に有効であるかを理解が進み、我が国および途上国の地域創生の実現の具体的手段として活用されるようになれば、誠に幸いである。

 (…後略…)

著者プロフィール

林 良嗣  (ハヤシ ヨシツグ)  (編著

名古屋大学持続的共発展教育研究センター長・教授。総長補佐、環境学研究科長等を歴任。1979年東京大学大学院博士課程修了、工博。現在、世界交通学会会長、日本環境共生学会会長、日本工学アカデミー理事、日本学術会議連携会員。著書に『地球環境と巨大都市』(編著、岩波書店)、『持続性学』(編著、明石書店)、『東日本大震災後の持続可能な社会――世界の識者が語る診断から治療まで』(編著、明石書店)、『ファクター5』日本語版(監修、明石書店)、「Intercity Transport and Climate Change」(編著、Springer)など。

鈴木 康弘  (スズキ ヤスヒロ)  (編著

名古屋大学減災連携研究センター教授・総長補佐(防災担当)。
1991年東京大学大学院理学系研究科地理学専攻博士課程単位取得退学、博士(理学)。
日本学術会議連携会員、日本活断層学会事務局長・理事、地震調査研究推進本部専門委員、原子力規制委員会外部有識者。著書に『防災・減災につなげるハザードマップの活かし方』(編著、岩波書店)、『原発と活断層――想定外は許されない』(岩波科学ライブラリー)、『活断層大地震に備える』(ちくま新書)、『草原の都市――変わりゆくモンゴル』(編著、風媒社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。