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現代中央アジアの国際政治 湯浅 剛(著) - 明石書店
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現代中央アジアの国際政治 (ゲンダイチュウオウアジアノコクサイセイジ) ロシア・米欧・中国の介入と新独立国の自立 (ロシアベイオウチュウゴクノカイニュウトシンドクリツコクノジリツ)

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発行:明石書店
A5判
340ページ
上製
定価 5,400円+税
ISBN
978-4-7503-4114-9   COPY
ISBN 13
9784750341149   COPY
ISBN 10h
4-7503-4114-2   COPY
ISBN 10
4750341142   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年3月
書店発売日
登録日
2015年3月2日
最終更新日
2015年3月6日
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紹介

「人道的介入」「保護する責任」など、ロシアをはじめ、米欧、中国などの外部勢力の中央アジア諸国に対する介入政策は「自立」にどのような作用をもたらしているのか。ソ連末期からの地域情勢の考察とともに、ユーラシア国際政治の体系的把握を目指した労作。

目次

 まえがき

序章 主権、階層性、秩序――ポスト・ソ連空間で問われること
 階層的国際秩序
 主権と階層的国際秩序
 介入とその評価
 中央アジアの国際秩序をめぐる論点

第一章 ソ連最後の軍事介入――はじまりとしてのアフガニスタン
 介入の欲求
 紆余曲折の出口戦略
 今日的な含意

第二章 連邦解体と紛争
 共和国の自立拡大
 紛争を封じ込める――タジキスタンとその周辺
 「新しい戦争」としてのタジキスタン紛争

第三章 停留する旧宗主国・ロシア――介入の論理と実践
 限定化される介入――九・一一事件まで
 九・一一事件後の対中央アジア政策
 二〇〇五年動乱以降の対中央アジア政策
 「ユーラシア同盟」へ――二〇一〇年代の変化
 ロシアによる介入の変容と限界

第四章 直接的、だが非強制的な介入――米欧による安全保障協力と規範導入の試み
 アメリカによる安全保障協力
 中央アジアのOSCE
 力と規範の相互補完的導入は可能か

第五章 上海協力機構(SCO)と中国
 テロ対策と地域協力
 「反米」声明後のSCO
 拡大する関心領域
 規範形成の可能性と限界

第六章 中央アジア諸国の自立と地域秩序
 ミドルパワーとしての台頭?――カザフスタン
 脆弱国家の多角化戦術――タジキスタンとクルグズスタン
 政策転換の合理性――ウズベキスタン
 孤立から経済的多角化へ――トルクメニスタン
 対外政策の多様化と弱い地域主義

終章 中央アジアにおける主権と国際政治
 グローバル化とパワーシフトの渦中で
 中央アジア国際政治の展望

 あとがき

 初出一覧
 略語一覧
 参考文献一覧
 索引

前書きなど

まえがき

 (…前略…)

本書の構成

 以下では、まず序章で、中央アジアにおける自立と介入を論じるための必要最低限の概念整理を行う。具体的には、ユーラシア内陸部で展開を考察するうえで主権、(旧)宗主国、勢力圏といった諸概念に着目し、それらの有効性を主張する。マスメディアを含め人口に膾炙されるこれらの概念について、主権国家中心の国際秩序観とは一線を画す見方――非ウェストファリア的、階層的な秩序観――から捉え直し、このような見方が現代中央アジア諸国とそこに介入した国々が経験した実践を理解するうえで有効であることを主張する。
 第一章および第二章では、ソ連解体前後の個別の事象を検討することで、(旧)宗主国としてのソ連/ロシアの勢力圏がいかに後退し、また維持されようとしてきたかを確認する。個別の事象とは、ソ連のアフガニスタン軍事介入(七九~八九年)、ソ連解体と中央アジア五カ国の独立(九一年)、そして独立直後のタジキスタン紛争(九二~九七年)である。ソ連によるアフガニスタンへの軍事介入は、冷戦期の米ソ間の勢力圏の変更を求める挑戦であり、国際社会からの反発を招き、ソ連解体の遠因ともなる「失敗」をもたらした。第一章では、一〇年にわたるアフガニスタンへの軍事介入について、介入当事者としてのソ連の認識や政策の推移を中心に概観する。また、この介入がもたらした地域秩序へのインパクトについても触れたい。次の第二章で扱うタジキスタン紛争へのロシアの介入は、ソ連解体後の事象であり、ロシアの認識や政策にも変化が見られた。また、タジキスタンがロシアにとって「利益圏」であることを表明し、連邦解体後の地域秩序構築のきっかけを作る紛争でもあった。加えて、第二章では、この二つの介入と前後して起こったソ連解体の過程について、外交権をはじめとする中央アジア諸国の主権獲得の過程を軸に論じていくことになる。これらの議論を通じ、擬制としての国家主権がこの地域でどのような経緯から出現し、また各国が主権を定着させていったかを描写したい。
 第三章以降では、現代の中央アジアへの介入主体であるロシア、米欧、中国および上海協力機構(SCO)の政策を俯瞰するとともに、それらを受ける中央アジア諸国の反応について考察する。
 (……)
 続く第四章で論じるのは、米欧からの介入である。ここでも、二国間関係に基づくアプローチだけでなく、多国間の枠組みに着目したい。すなわち、独立後の中央アジア諸国の体制移行にかかわる米欧主導の多国間枠組みである欧州安全保障協力機構(OSCE)である。また、アメリカによる軍事的な介入(部隊駐留、軍事演習、後方支援体制を含む)の変遷についても検証する。第五章では、ロシアとともに中国が主導する上海協力機構(SCO)について考察する。テロ対策が機構の基軸的活動として位置づけられた経緯や、テロ対策の制度とのその運用の実態を描くことで、SCOの実態を浮き彫りにする。第六章では、これまでの論述を踏まえ、中央アジア諸国の自立のための対外政策を各国別に整理する。(……)
 結びの章では、本文各章の議論から、新興独立諸国としての国家形成の難しさ、中央アジアの階層的国際秩序、そしてこの地域における安全保障上の恒常的焦点としてのアフガニスタンの重要性を総括的に指摘する。

著者プロフィール

湯浅 剛  (ユアサ タケシ)  (

1968年生まれ。上智大学大学院外国語学研究科博士後期課程満期退学。在デンマーク日本大使館専門調査員、防衛庁防衛研究所助手などを経て、現在は防衛省防衛研究所主任研究官。北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員、財団法人・東洋文庫客員研究員などを兼ねる。2015年4月より広島市立大学広島平和研究所教授に就任予定。主要著書に『平和構築へのアプローチ:ユーラシア紛争研究の最前線』(共編著、吉田書店、2013年)、『日本の中央アジア外交:試される地域戦略』(共著、北海道大学出版会、2009年)などが、共訳書にD.トレーニン『ロシア新戦略:ユーラシアの大変動を読み解く』(作品社、2012年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。