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現代を読み解くための西洋中世史 シーリア・シャゼル(編著) - 明石書店
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現代を読み解くための西洋中世史 (ゲンダイヲヨミトクタメノセイヨウチュウセイシ) 差別・排除・不平等への取り組み (サベツハイジョフビョウドウヘノトリクミ)
原書: WHY THE MIDDLE AGES MATTER: Mediaval Light on Modern Injustice

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発行:明石書店
四六判
370ページ
上製
定価 4,600円+税
ISBN
978-4-7503-4072-2   COPY
ISBN 13
9784750340722   COPY
ISBN 10h
4-7503-4072-3   COPY
ISBN 10
4750340723   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年9月
書店発売日
登録日
2014年9月22日
最終更新日
2014年9月22日
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紹介

ステレオタイプ的な中世観に挑戦する現代的かつユニークな翻訳書。貧困、労働、障害、投獄、拷問、難民、結婚、セクシュアリティ、女性の地位、終末医療等々、現代にも共通する話題を取り上げ、現代との関連性に光をあてつつ、読者の思考をリフレッシュする。

目次

 謝辞
 まえがき

序論[シーリア・シャゼル、サイモン・ダブルデイ、フェリス・リフシッツ、エイミー・G・リーメンシュナイダー]
1 犯罪と罰――監獄を使わないで罰すること[シーリア・シャゼル]
2 社会的逸脱――中世のアプローチ[G・ゲルトナー]
3 人生の終わり――クリュニー修道士たちに耳を傾ける[フレデリック・S・パクストン]
4 結婚――中世の夫婦と伝統の使用[ルース・メイゾ・カラス]
5 女性――ダヴィンチ・コードと伝統の捏造[フェリス・リフシッツ]
6 同性愛――アウグスティヌスとキリスト教徒の性的志向[マシュー・キュフラー]
7 性的なスキャンダルと聖職者――災厄のための中世の青写真[ダイアン・エリオット]
8 労働――中世の修道院からの考察[マーサ・G・ニューマン]
9 障害?――身体の差異に関する中東からのまなざし[クリスティーナ・リチャードソン]
10 人種――本屋が隠したこと[メイガン・ケイタ]
11 難民――一三世紀フランスの見方[メガン・キャシディ=ウェルチ]
12 拷問と真実――トルケマダの幽霊[エイミー・G・リーメンシュナイダー]
13 階級の正義――我々にはなぜワット・タイラーの日が必要なのか[ピーター・ラインボー]
14 指導力――我々には君主の鑑はあるのに、どうして大統領の鑑はないのか[ジェフリ・コジオル]

 訳者あとがき
 執筆者紹介

前書きなど

訳者あとがき

 (…前略…)

 本書は現代における不正を分析して明らかにし、それをなくすためには、あるいは少なくともそれから弱者を保護するためにはどうすればいいのかを提言している。本書で不正とされているのは、単に法に背くこと、犯罪に手を染めることではなく、多数者の横暴であり、権力の専横であり、強者による弱者の差別であり、そして不公平さである。本書の基調音は少数者へのやさしさであり、不正ならざることに対する怒りであり、公平性の取戻しへの希望である。そしてそのためにはどうすればいいのかを、本書は提言する。
 権力というものが必然的に抱えることになる不正に対して、人はどのように対処するべきであろうか。各自、自分の持ち場で不正を分析し、不正をあぶりだし、自分のできる範囲で、自分なりにそうした不正と闘うこと、それがおそらくは唯一可能な方法論であるだろう。それなら相手がどのようなものであっても、多くの人々にとって闘うことが可能になるだろう。本書はそれを実行に移したものである。
 本書では、一四人の中世史家が現代の不正の問題に挑んでいる。
 歴史家というのは世間一般の評価では、「現代という時代にうとい」ということになっているようである。とりわけ中世史などを専門にしている人は、現代に関してはまったく無関心であると見られている。確かに中世史家は現代を語ってこなかった。現代史家を除いて、歴史家は自分が対象としている時代については雄弁であっても、自分が生きている現代についてはあまり語ってはこなかった。それが専門家としての一種の矜持だと考えてのことであった。しかしそれではいけないと考えた中世史家が立ち上がった。本書は主としてアメリカの大学で中世史を教えている一四名の歴史家が、それぞれの持ち場から、現代における不正に挑戦したものである。中世史家が現代の不正に挑戦するなどという表現を聞いて、あの牧歌的な中世の再評価を目指した本であると考えた方は、大間違いである。本書は現代に比べて中世世界がこんなにも素晴らしかったということを主張したい能天気な論文集ではない。そんなことがまかり通るところはゲームの世界だけだろう。しかし中世世界が暗黒の世界であり、それは克服の対象でしかないという見方も一面的なのだ。進歩、あるいは発展というスローガンのもとに遅れたものとして捨て去られてしまったもののなかに、我々の時代にも適用可能なものがあったかもしれないことは認めてもいいだろう。十把ひとからげとばかり捨てられてしまったもののなかから、現代に通用することを少しずつ拾い出しながら、その作業を通して現代の不正を眺めることが、本書全体を通しての通奏低音である。

 (…後略…)

著者プロフィール

シーリア・シャゼル  (シャゼル,シーリア)  (編著

ニュージャージー大学歴史学教授で歴史学科長。ニュージャージー州キャムデンの環境変性センターの理事、監獄内社会教育センター共同幹事。主要著作は、The Crucified God in the Carolingian Era: Theology and Art of Christ's Passion (2001), Paradigms and Methods in Early Medieval Studies: A Reconsideration (2007, Felice Lifshitzとの共同編集), The crisis of the Oikoumene: The Three Chapters and the Failed Quest for Unity in the Sixth-Century Mediterranean(2007, Catherine Cubittとの共同編集).

サイモン・ダブルデイ  (ダブルデイ,サイモン)  (編著

ホフストラ大学の歴史学教授。教育を通してポルトプランス(ハイチ)の再開発に取り組んでいる、ニューヨーク市に本拠を置く独立NPOエディヨ財団理事。主要著作は、The Lara Family: Crown and Nobility in Medieval Spain(2001), Border Interrogations: Crossing and Questioning the Spanish Frontier(2008, Benita Sampedroとの共同編集). In the Light of Medieval Spain: Islam, the West, and the Rellevance of the Past(2008, David Colemanとの共同編集). Journal of Medieval Iberian Studies誌の編集長でもある。

フェリス・リフシッツ  (リフシッツ,フェリス)  (編著

アルバータ大学セント・ジーン・キャンパスの女性学教授。主要著作は、The Name of the Saint: The Martyrology of Jerome and Access to the Sacred in Francia(627-827)(2005), The Norman Conquest of Pious Neustria: Historiographic Discourse and Saintly Relics(684-1090)(1995), Gender and Christianity in Medieval Europe: New Perspectives(2008, Lisa Bitelとの共同編集). History Compass誌の編集者でもある。

エイミー・G・リーメンシュナイダー  (リーメンシュナイダー,エイミー・G)  (編著

ブラウン大学中世史研究センター歴史学准教授、BELLの常連参加者。主要著作は、La Conquistadora: Muslims, Christians, Jews, Native Americans, and the Virgin Mary, Remembering Kings Past: Monastic Foundation Legends in Medieval Southern France(1995).

赤阪 俊一  (アカサカ シュンイチ)  (

元埼玉学園大学教授。主な著作に『西欧中世史[下]』(共著、ミネルヴァ書房、1995年)、『神に問う――西洋中世における秩序、正義、神判』(嵯峨野書院、1999年)、『流行と社会――過去から未来へ』(共著、白桃書房、2005年)、『文化としての暴力』(共編著、森話社、2006年)、『対話で入門 西洋史』(森話社、2008年)、『罪と罰の文化誌』(共編著、森話社、2009年)、ジェンダー史叢書 第8巻『生活と文化』(共編著、明石書店、2010年)、『パンデミック――病の文化史』(共著、人間と歴史社、2014年)、主な訳書にジョン・ベラミ『ロビン・フッド――歴史学からのひとつの試み』(共訳、法律文化社、1992年)、メクゼーパー/シュラウト編『西洋中世末期の心性と日常生活――貴族・農民・都市民』(共訳、刀水書房、1995年)、ジョージ・ハッパート『西洋近代をつくった男と女』(朝日新聞社、1996年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。