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いじめの罠にさようなら クラスで取り組むワークブック
安全な学校をつくるための子ども間暴力防止プログラム
原書: (1) No Fishing Allowed: Student Workbook / (2) No Fishing Allowed: Teacher Manual
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年12月
- 書店発売日
- 2013年12月25日
- 登録日
- 2013年12月13日
- 最終更新日
- 2014年1月6日
紹介
すべての子どもが安心して学習できる学校を作ることをねらいとして考案された小学生向けの児童生徒間暴力防止プログラム。「暴力」「いじめ」とは何かをクラスみんなで考え、いじめを受けた際や、いじめを目撃したときの対処法を身につける。参考図書を題材にクラスで理解を深められる活用マニュアル付き。
目次
まえがき――子ども間暴力防止プログラム「いじめの罠にさようなら」について
学級会 いじめの罠にさようなら【子ども用ワークブック】
「暴力」ってなに?
「いじめ」ってなに?
なぜいじめるの?
言葉を使ったいじめってどんなこと?
体を使ったいじめってどんなこと?
仲間はずれにするいじめってどんなこと?
いじめられたら こう言おう
いじめられたら こうしよう
いじめを見たら
いじめられている子がいたら、どうすればいいの?
つげ口と報告のちがい
いじめについて学んだこと
学級会 いじめの罠にさようなら【教師用マニュアル】
はじめに――子ども間暴力に対する大人の介入
いじめの罠にさようなら 学校の安全を保つには
「暴力」ってなに?
いじめとけんかのちがい
「いじめ」ってなに?
いじめにかかわる子どもたち
いじめをするのは、こんな子
いじめをする子の仲間たち
なぜいじめるの?
言葉を使ったいじめってどんなこと?
体を使ったいじめってどんなこと?
仲間はずれにするいじめってどんなこと?
いじめられやすいのはこんな子
おとなしくて内気な子がいじめられないために
落ち着きのない子がいじめられないために
いじめられたら こう言おう
いじめられたら こうしよう
いじめを見たら
いじめられている子がいたら、どうすればいいの?
つげ口と報告のちがい
いじめを報告しよう
女の子の世界へようこそ
女の子のいじめ方
女の子のいじめ対処法
いじめにさそわれたら
指導プラン
子ども間暴力防止関連の参考図書
特別支援教育を受けている子どものための子ども間暴力防止対策
参考文献
監修者あとがき
前書きなど
監修者あとがき
「いじめられ体験」を持つ者は、どんなに他で満たされていても「いじめられた」日々の、あのいいようのない孤独感は消えないように思います。クラスが変わっても、たとえ別の学校に転校しても、それは「いじめられ体験」以後の環境変化であり、「いじめられた」ことが消えるわけではありません。「いじめられ体験」はそんなことでは絶対に消えません。
僕自身がいじめられた経験者ですから本当です。何が消えないのかというと、「いじめられた」悔しさ、恨み、おびえ、いろいろありますが、僕にとってはなによりも「いじめられた」あの日、あのとき、「僕はとても孤独だった」という、あの伝えようのない寂しさが、いつまでも脳裏から消えないのです。いじめるメンバーには、かつての友人もいました。仲良く遊んだはずの彼らがどうして僕に辛くあたるのか理解できませんでした。
「いじめられた」経験は、単に仕返しが恐ろしいということばかりでなく、自分自身で立ち向かえないばかりに恥ずかしい気持ちが強く、誰にも相談できません。僕はずっと一人で抱え続けて生きていました。
精神科外来で「別に何かをしてもらいたいわけではないんだ、ただ、ぼくがいじめにあったということを知っておいてほしかったんだ」と、面接室で泣きながら訴えた少年の言葉に僕は、大きく頷きました。そうなのです、ただ、わかってほしいだけなんです。ただ、それを誰に伝えれば真剣に聴いてくれて、受けとめてくれるのかが、大きな問題なのです。
本書は、Carol GrayとJudy WilliamsによるNo Fishing Allowed: Reel In Bullying(2006)の全訳です。同じ書名で子ども用ワークブックと教師用マニュアルの2冊からなっているものを、日本語版では1冊にしています。
本書は、まえがきにもあるように、児童生徒間の暴力防止プログラムであり、いじめの本質を学ぶことで、いじめる側といじめられる側の双方に対して、この行為で関係を作らないことを勧めています。No Fishing Allowedという原書のタイトルは、まさに「釣りをしてはいけません」という注意表示です。これは、「いじめ」という行為をしてはいけない(釣ってはいけない)ということと、「いじめ」からは護られる(釣られてはいけない)という、二重の意味があるように思います。
(…中略…)
本書を用いて、学校で「いじめ」という行動に対する本質的な理解を促すことで、改めてクラス集団の支えあいや助けあい、そして分かちあいを学ぶことができます。医学的な対応が求められる前の、予防的実践のひとつになると思います。いじめに関した事柄にきちんと向き合い語りあうことが、どれほど大切かは、「別に何かをしてもらいたいわけではないんだ、ただ、ぼくがいじめにあったということを知っておいてほしかったんだ」という少年の叫びを思い返すと自明ではないでしょうか。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。