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不安・恐れ・心配から自由になる マインドフルネス・ワークブック
豊かな人生を築くためのアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
原書: The Mindfulness and Acceptance Workbook for Anxiety: A Guide to Breaking Free from Anxiety, Phobias, and Worry Using Acceptance and Commitment Therapy
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年8月
- 書店発売日
- 2012年8月31日
- 登録日
- 2012年8月27日
- 最終更新日
- 2012年10月19日
紹介
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)のキーコンセプト「マインドフルネス」を導入したセルフヘルプ・ワークブック。すぐに実践できる様々なエクササイズで、不安・恐れといった思考や感情の罠にかからずに自分の人生を歩む力を身につける。
目次
読者のみなさまへ
謝辞
はじめに
不安のマネジメントから解放される
心配・不安・恐怖から抜け出す新しい方法
この本の使い方
これまでの道のり――なぜ私たちはこの本を書いたのか
あなたの旅を始めましょう
PART1 新たな旅の準備をしましょう
1 いつもと違う結果を得るために新たな道を選びましょう
選ぶのはあなた
ACTとは何でしょうか?
なぜACTなのでしょうか?
なぜアクセプタンスと行動が重要なのでしょうか?
ACTは不安を感じながらより良い人生を築くのに役立ちます
希望と変化――不安の道のりでのACT
変化に対するあなたのコミットメント
覚えておいてほしいこと
2 あなたは一人ではありません―――不安と不安障害を理解する
あなたは一人ではありません
不安や恐怖の本質とは何でしょうか?
○エクササイズ 不安と恐怖の違いがわかりますか?
○エクササイズ 恐怖や心配に反応したことは自分の役に立ったか
あなたの抱える不安の問題のタイプを特定しましょう
不安障害には共通点が多い
不安障害にまつわるその他の問題
自分の不安の問題について見てみましょう
トンネルの出口で輝く光
覚えておいてほしいこと
3 問題の核心「恐怖や不安を避けて生きること」と向き合う
不安を避けることが問題です
希望はあります――あなたの人生は変えられるのです!
覚えておいてほしいこと
4 不安と不安障害にまつわる俗説
不安や恐怖にまつわる俗説
○エクササイズ ピンク色のゾウのことを考えないで
俗説を鵜呑みにしたらどうなるのでしょうか?
覚えておいてほしいこと
5 過去の俗説を捨て、新たな道を切りひらこう
俗説を捨てたあとにあなたが進む道
F-E-A-Rは俗説をあおり生かしつづけます
○エクササイズ不安でがんじがらめになる
観察するのを学ぶこととF-E-A-Rをもって反応すること
○エクササイズ マインド・ウォッチング
○エクササイズ マインドフル・ウォーキング
覚えておいてほしいこと
PART2 新たな旅を始めましょう
6 人生に責任をもつコストと向き合う
不安のマネジメントのコスト
○エクササイズ 不安のマネジメントのコスト
あなたは自分のWAFに何をしてきましたか?
○エクササイズ この1か月間、不安のせいで何をあきらめたか
○エクササイズ 不安のマネジメントの短期的・長期的なコストとベネフィット
覚えておいてほしいこと
7 不安に対処することと充実した人生を送ることのどちらが大切か
○エクササイズ 自分の葬儀について考える
○エクササイズ あなたの不安マネジメントの墓碑銘を書いてください
○エクササイズ 私の価値ある人生の墓碑銘
私は行きづまり、途方に暮れています――どうしたらいいのでしょうか?
○エクササイズ人生の価値を高めるエクササイズとLIFE質問表
覚えておいてほしいこと
○LIFE質問表
8 解決策は不安との闘いをやめること
不安との綱引きをやめる
あなたはどんな状況をコントロールしていますか?
○エクササイズ 思考や感情にはオン/オフのスイッチがない
○エクササイズ あなたは完璧なウソ発見器につながれています……カチッ
逃げ出すことはできても自分自身から隠れることはできません
体験することが答えです
覚えておいてほしいこと
9 自分の選択・行動・運命をコントロールする
あなたは自分の選択をコントロールできます
あなたは自分の行動をコントロールできます
○エクササイズ いつものWAFの衝動への新たな対処法を見つける
あなたは自分の運命をコントロールできます
○エクササイズ 選択と行動――私の人生と私の運命
コントロールしようと格闘することをやめる
○エクササイズ 自分にコントロールできることとできないことの違い
ここで重要な質問です――あなたは変わる準備ができていますか?
○エクササイズ ウィリングネスのスイッチ
○エクササイズ ペンの努力
覚えておいてほしいこと
10 マインドフルなアクセプタンスとともに人生に熱中する
○エクササイズ WAFに対する柔らかな反応を思い浮かべる
アクセプタンスとは何か、あなたのためにどんな役に立つのか
○エクササイズ 「まあ、なんて○○なバラでしょう」
○エクササイズ チャイニーズ・フィンガー・トラップ
マインドフルなアクセプタンスの4つの性質
人生の価値を高めるエクササイズ
○エクササイズ マインドフルな呼吸
覚えておいてほしいこと
11 マインドフルなアクセプタンスを学ぶ
公平な観察者になる
○エクササイズ 腕利きの観察者になるためにチェスが教えてくれること
○エクササイズ 不安チーム vs 格闘チームのバレーボールの試合
○エクササイズ 「賢明な心」を使って自分の体験の一部から解放される
マインドフルネスをもっと練習しましょう
○エクササイズ 思考と感情のアクセプタンス
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
○思考と感情のアクセプタンス 練習フォーム
PART3 自分の人生を取り戻して生きていきましょう
12 自分の人生をコントロールする
○エクササイズ 自分のWAFに対して行動しない人生
自分にとっての価値とは何でしょうか?
価値を見つけるときの問題
あなたは岐路に立っています
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
13 あなたにとっての価値を見つける
私にとって重要な価値とは何だろうか?
○エクササイズ 価値ある方向のワークシート
あなたの人生の方位磁石を作りましょう
○エクササイズ 人生の方位磁石を作る
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
14 マインドフルなアクセプタンスとともに不安に向き合う準備をする
責任者はあなたです
不安や恐怖を感じたときにとる行動
○エクササイズ あなたの人生のバスを運転する
○エクササイズ ラジオのチャンネルを変える
○エクササイズ WAFのサーフィン
不安を受け入れることを学びましょう
○エクササイズ 不安のアクセプタンス
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
○思考と感情のアクセプタンス 練習フォーム
15 あなたの不安に思いやりを向ける
○エクササイズ 不安の子どもと旅をする
優しさと親切な愛にあふれるケアを練習する
○エクササイズ 慈しみの練習
○エクササイズ 自分自身に慈しみを与える
○エクササイズ 「悪いもの」を抱え「良いもの」を手放す
○エクササイズ 許すことを学ぶ
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
16 ありのままの自分でいることに満足する
自分の苦痛に向き合って人生を歩みましょう
FEELエクササイズ
身体的不快感のためのFEELエクササイズ
○エクササイズ 進んでめまいを感じる
○エクササイズ 進んで息を切らす
○エクササイズ 酸素消費量を進んで増大させる
○エクササイズ 進んで自分とともにいる
身体的不快を感じるのがつらくなったら
○エクササイズ 激しい身体的不快感とともにとどまる
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
17 判断するマインドとともにいることに満足する
マインド・マシーン
○エクササイズ 判断するマインドの釣り針を外す
○エクササイズ WAFの心を遊びで軽くする
あなたの判断するマインドを解放するFEELエクササイズ
○エクササイズ シャボン玉を作る輪っか付き棒
○エクササイズ 苦痛なイメージや思考を優しく許す
○エクササイズ 許しのキャンドル
逃げ出したい衝動に対処する
○エクササイズ思考や衝動をカードに記録する
○エクササイズ 自分の衝動を静かに受け入れる
○エクササイズ 流れをただよう葉っぱ
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
18 価値ある人生に向かって
ゴールを決めて達成しましょう
人生の価値を高めるエクササイズ
覚えておいてほしいこと
○価値とゴールのワークシート
19 あきらめずにやり抜く
進みつづけるには
精神的な不快はあなたの教師です
有意義な人生は一歩ずつ築かれます
選ぶのはあなた
参考文献/もっとくわしく知りたい人のための書籍・ウェブサイト案内
監訳者あとがき
○不安との闘いをやめ、歩き出そう(熊野宏昭)
○ビジネスパーソンに今必要なACT的生き方(奈良元壽)
前書きなど
監訳者あとがき――不安との闘いをやめ、歩き出そう(熊野宏昭)
本書は、不安に悩む人たちが、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)という最先端のサイコセラピーによって、自分の人生を取り戻し満足して生きていくことを助けるために執筆された本です。これまでにも、『ACTをはじめる』(S・C・ヘイズ、S・スミス、星和書店)という素晴らしいセルフヘルプ本が出版されていますが、今回は対象を不安にまつわる問題に特化したことと、とても印象的で味わい深いイラストのおかげもあって、読みやすくわかりやすい内容になっています。
心配や不安、恐怖(本書でWAFと表現したもの)は、誰にとっても嫌なものですから、なるべくそんな気持ちになりたくない、いつも穏やかな気持ちでいたいと思うのは、当然のことです。でもそういった思いが強くなりすぎると、自分が不安になっていないということをいつも確認しなくてはならなくなります。ただ、誰でも毎日の生活の中で、気がかりなことはありますし、それを考えていると気持ちがザワザワしてくることもあるので、そうなると……「わっ、不安になってる!」と飛び上がってしまうことになるわけです。つまり、WAFは嫌なので、それを自分の中から締め出すようにしようという自然な問題解決の方法が、逆に問題を生み出してしまっているわけなのですが、不安に苦しむ人たちは、共通してそのような特徴を持っていることが知られています。
それに対して、自分が今感じていることや考えていることに気づいた上で、それをそのままにしておく(脇に置いておく、棚上げにしておく)ことができれば、WAFのような嫌な気持ちも、いつの間にか消えていることも少なくないのです。アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、この、そのままにしておくという行動(アクセプタンス)がいかに役に立つかを強調し、その行動を自ら選ぶことができるようになる(ウィリングネス)練習を繰り返し行っていきます。
しかし、WAFをそのままにしておくのが役に立つと言われても、われわれは今がつらいことにはなかなか耐えられませんので、何のためにこんな苦しい思いをしなくてはならないのかと考えて、そのままになどしておけないのも、また自然なことです。そこで、自分が何を求めてどんなふうに生きていこうとしているのかを改めて考えてみようというのが、「価値の明確化」という作業になります。もしそれがわかれば、WAFをアクセプトし、その上で価値の方向に進むために今行うべき行動を選択し、それを実行すること(コミットメント)がしやすくなるだろうというわけです。しかし、実は、われわれが価値があると考える生き方とは、ある意味で自分自身の限界に挑戦するような面を持っていることが多く、価値の方向に進もうとするとWAFが強くなってしまうという面があるため、なかなか一筋縄ではいかないのです。
そのような、WAF、アクセプタンス、価値に基づくコミットメントの間の三すくみの状態をどのように抜け出していくかを、本書では、マインドフルなアクセプタンス(今この瞬間の体験に気づき、そのままにしておくスキル)を育成していくことと、「自分の葬儀を思い浮かべ墓碑銘を書くエクササイズ」「人生の方位磁石を作るエクササイズ」といったわれわれ一人ひとりに固有の価値を明らかにしていく工夫によって、わかりやすく提示してくれています。
このことは、不安で苦しんでいる人をACTで支援しようとしている治療者にとっても大きなヒントになります。ACTでは、言葉を使うことが不可避的に引き起こす、思考と現実と自分とを混同する認知的フュージョンという問題に注目し、それから抜け出すための脱フュージョンというスキルを強調することが多いのですが、治療者はそちらに注目するあまりに、アクセプタンスの大切さを忘れてしまうことがあるのです。それに対して、本書では、脱フュージョンにはほとんど触れずに、マインドフルなアクセプタンスという形で両者の重要性を強調することに成功しています。また、治療者が、価値の明確化というACTのもう一つの鍵概念に注目する際に、ともすると、世間一般や常識的な価値を持ち出してしまうという落とし穴にはまりやすくなることがあるのですが、それに対しても本書では、一人ひとりに固有の価値をどうやって明らかにするかをわかりやすく説明することに成功しているのです。
今回の翻訳は、奈良元壽さんと一緒に監訳作業を進めてきました。奈良さんは、1990年代にわが国で最初に従業員支援プログラム(EAP: Employee Assistance Program)の専門会社を立ち上げ、それから一貫して企業のメンタルヘルスの仕事を続けてこられましたが、私もいろいろな形で一緒に仕事をしてきました。企業のメンタルヘルスでは、うつ病が注目されることが多いのですが、実はパニック障害や社交不安障害などで大きく生産性を落としている方々も少なくなく、そのような場合にACTが大きく役に立つのではないかとディスカッションをしてきたことが、今回の出版に結びつきました。この本が、不安に悩む人たちのセルフヘルプや医療現場などで役立つだけでなく、企業のメンタルヘルス分野や学校場面などでも幅広く活用されることを願っています。
上記内容は本書刊行時のものです。