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ファミリーグループ・カンファレンス入門 林 浩康(編著) - 明石書店
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ファミリーグループ・カンファレンス入門 (ファミリーグループカンファレンスニュウモン) 子ども虐待における「家族」が主役の支援 (コドモギャクタイニオケルカゾクガシュヤクノシエン)

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発行:明石書店
A5
208ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-7503-3502-5   COPY
ISBN 13
9784750335025   COPY
ISBN 10h
4-7503-3502-9   COPY
ISBN 10
4750335029   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年12月
書店発売日
登録日
2011年12月2日
最終更新日
2012年4月11日
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紹介

子ども虐待問題が深刻化するなか、介入・統制型のアプローチから、家族再統合までを視野に入れた〈親・子ども支援〉の重要性が高まっている。本書はそうした「ファミリーグループ・カンファレンス」の手法を現場でどう生かすかを実践に即したかたちで解説する。

目次

 はじめに

第I部 ファミリーグループ・カンファレンスと親族里親

第1章 ファミリーグループ・カンファレンスの基本的理解
 1.はじめに
 2.ファミリーグループ・カンファレンス(FGC)の基本的内容
 3.FGCの根底にある理念
 4.家族を「ひらく」ことへの着目とFGC
 5.導入背景
 6.子どもの参画支援のあり方
 7.FGCの構成要件と評価
 8.FGCがソーシャルワーク実践に与えた影響
 9.日本への示唆

第2章 諸外国における親族里親の評価と日本への示唆
 1.はじめに
 2.親族養育の社会化と意思決定過程への当事者参画
 3.親族里親の評価
 4.日本への示唆
 5.おわりに


第II部 日本におけるファミリーグループ・カンファレンスの実践

第3章 児童相談所におけるファミリーグループ・カンファレンスの実際

I 家族との出会い
 1.通告、そして対立から始まらざるを得ないことが多い出会い
 2.児童福祉司による家族との対話
 3.家族と創る安全 サインズ・オブ・セイフティ・アプローチ(SoSA)による安全プランの構築

II ファミリーグループ・カンファレンスの準備
 1.コーディネーターとしての親子支援チーム職員からファミリーグループ・カンファレンスの提案
 2.子どもの気持ちとファミリーグループ・カンファレンスの提案
 3.家族をひらく ジェノグラムインタビュー
 4.ファミリーグループを選ぶ

III ファミリーグループ・カンファレンスの展開
 1.ファミリーグループ・カンファレンスのはじまり
 (1)アイスブレイク
 (2)ファミリーグループ・カンファレンス開催の目的について参加者への説明と参加者のあいさつ
 (3)情報共有
 (4)ファミリータイム
 (5)合意段階
 (6)終結(クロージング)

第4章 事例から考えるファミリーグループ・カンファレンス
 事例1 親族の話し合いで子どもの養育者を決めたケース
 事例2 SBS(乳幼児揺さぶられ症候群)が疑われたが、親族を含めたFGCを実施し在宅支援を展開したケース
 事例3 生後1ヶ月の乳児に対する身体的虐待が疑われたケース
 事例4 継続的な実施を予定したFGCが立ち消えとなり、「家族の決定」が実現しなかったケース

前書きなど

 はじめに

 イギリス、北米、ニュージーランド、オーストラリアなど一部の欧米・オセアニア諸国では現在、子ども虐待の援助過程において当事者参画を意図したファミリーグループ・カンファレンス(以下、FGCと記す)が活用されています。本書では、当事者参画を中心とした実践を「家族」が主役の支援とタイトルに表現しました。ここで注意を要するのは、後に「ファミリーグループ」の概念について論じるように、本書のタイトルで意味する「家族」は決して同居家族員の集まりだけを意味しないということです。ファミリーグループを「家族」ということばで表現しているために、そこに混乱が生じるかもしれませんが、タイトルにおいて意味する「家族」は、同居家族、三親等に限らない親族を含む拡大家族、場合によっては親しい友人などを含むあらゆるインフォーマル関係にある人々を意味します。
 元来ソーシャルワーカーは、「側面的援助者」あるいは「可能ならしめる人」と言われてきました。すなわち、ソーシャルワーカーは当事者が主体となって意思決定できるよう関与することが求められてきました。そうした意味において、FGCはその具体的方法を示唆したソーシャルワークの原点に立ち返った実践であると理解できます。
 一方、日本においてはこれまで子どもの保護と強制介入の強化を目的とした法改正が着実に進行してきました。しかしながらその後の再統合を視野に入れた場合、そうした実践だけでは限界があり、当事者参画を中心とした実践も要請されます。本書で取り上げるFGCは、そのアプローチの一つとして検討の余地があると考えられます。
 筆者らは厚生労働科学研究費の補助を受け「子ども家庭福祉分野における家族支援のあり方に関する総合的研究(代表:高橋重宏)」の一環として、これまでFGCについて共同研究を行ってきました。本書はそこでの成果を主として整理したものです。

 本書では家族や援助過程を「ひらき」、課題を共有化することを子ども虐待におけるソーシャルワークの中核に据え、意思決定過程への当事者参画型実践をその手段として捉え、その具体的方法としてFGCを位置付けました。FGCの内容や評価を通してソーシャルワークにおけるその位置付けと日本におけるソーシャルワークへの示唆を明らかにすることを目的としています。
 FGCは、その後の子どもにとっての安心かつ安全な生活創りに焦点化するところに特徴があります。児童相談所を中心とした機関での虐待対応件数が増加し、家族のリスクに焦点化することで、家族の意思決定への関与が弱体化し、結果的に子どもの安心や安全を保障できないということを一部の諸外国は経験してきました。子どものそうした生活を具体化するうえで、インフォーマルな資源が意思決定過程に参画することが重要となります。そういった実践をいかに具体化するかについては、本書の第II部に詳細に論じています。ファミリーグループ内の子どもの安全や安心創りに関係した課題を社会化および共有化し、専門職と協働して対応するなかで、こうした実践を具体化する可能性を見出すことができます。ファミリーグループに丸投げするのではなく、社会的サービスを充実したうえで、FGCはその機能を発揮すると言えます。
 第I部第1章ではニュージーランドで開発されたFGCの導入背景や、FGCの基本的概念について、第2章ではFGCの導入とともに増加している親族里親の諸外国における評価と日本への示唆について、第II部第3章では実際に日本で導入した場合考えられるFGCの展開について、第4章では事例を活用したFGCの展開についてより簡潔に論じました。

 (…後略…)

著者プロフィール

林 浩康  (ハヤシ ヒロヤス)  (編著

1961年生まれ。北海道大学大学院教育学専攻後期博士課程修了。博士(教育学)。日本子ども家庭福祉学会、養子と里親を考える会理事。社会保障審議会児童部会臨時委員。現在、日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授。
主な著書に『子ども虐待時代の新たな家族支援』明石書店、2008年。『子どもと福祉』福村出版、2009年。『児童養護施策の動向と自立支援・家族支援』中央法規出版、2004年。『社会的養護の現状と近未来』(編著者)明石書店、2007年など。

鈴木 浩之  (スズキ ヒロユキ)  (編著

1960年生まれ。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻修士課程修了。主に児童福祉司として児童相談所に勤務。現在、神奈川県中央児童相談所子ども相談課。臨床心理士、社会福祉士。
主な著書に『事例研究・教育法』(分担執筆)川島書店、2004年。論文に「『子ども虐待』への保護者参加型支援モデルの構築を目指して――児童相談所における家族再統合についての取り組み」『社会福祉学』第48-3巻、2007年。「性的虐待事例における非虐待親支援のためのリーフレット」『子どもの虐待とネグレクト』第11巻第3号、2009年など。

佐藤 和宏  (サトウ カズヒロ)  (

1968年生まれ。日本社会事業大学社会福祉学部卒業。神奈川県入庁後、知的障害児者施設、児童相談所相談員、地区担当児童福祉司等を経て、現在、鎌倉三浦地域児童相談所子ども支援課。児童福祉司。

妹尾 洋之  (セノオ ヒロユキ)  (

1965年生まれ。1991年横浜国立大学大学院教育学研究科修了。同年神奈川県入庁。知的障害児施設を経て、1997年から児童相談所勤務。現在、厚木児童相談所子ども相談課。臨床心理士。

新納 拓爾  (ニイロ タクジ)  (

1965年生まれ。専修大学文学部卒業。1991年神奈川県入庁。知的障害児施設、児童養護施設を経て、2001年から児童相談所勤務。現在、神奈川県中央児童相談所子ども支援課。児童福祉司。

根本 顕  (ネモト アキラ)  (

1961年生まれ。1983年文教大学人間科学部卒業。同年神奈川県入庁。知的障害児施設を経て、児童相談所で児童心理司、再統合支援の心理担当職員として勤務。現在、相模原市児童相談所。臨床心理士。

上記内容は本書刊行時のものです。