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現代の理論 11夏号[Vol.28] 『現代の理論』編集委員会(編) - 明石書店
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現代の理論 11夏号[Vol.28] (ゲンダイノリロンジュウイチナツゴウボリュームニジュウハチ) 3・11は何を問うか (サンテンイチイチハナニヲトウカ)

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発行:明石書店
A5判
224ページ
並製
定価 1,143円+税
ISBN
978-4-7503-3431-8   COPY
ISBN 13
9784750334318   COPY
ISBN 10h
4-7503-3431-6   COPY
ISBN 10
4750334316   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年7月
書店発売日
登録日
2011年8月1日
最終更新日
2011年8月1日
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紹介

大地震、大津波による村落の崩壊、漁業や農業などの生産基盤の破壊、原発事故による被害と避難……。3・11は戦後日本社会が被ったあらゆる自然災害の規模をこえるものだった。近代日本の歩みのなかで周辺化され続けた東北が甚大な被害からどう復興と再生するか。

目次

 特集のことば

[総特集 3・11は何を問うか]
 ・鎮魂と再生のために(赤坂憲雄:学習院大学教授)
 ・文明史的転換の担い手は誰か(橘川俊忠:本誌編集委員長)
 ・国家に対抗する社会と原発責任(千本秀樹:筑波大学教授)
 ・原子力発電の「安全神話」溶融(小出裕章:京都大学原子炉実験所助教)
 ・日本のエネルギー政策はこれだ(飯田哲也:環境エネルギー政策研究所所長)
 ・再生可能エネルギーこそ日本の突破口(金子勝:慶応大学教授)
 ・ドイツの脱原発・環境戦略(松下和夫:京都大学教授)
 ・3・11と日本の科学技術のガバナンス(後藤邦夫:NPO法人学術研究ネット)
 ・ポスト3・11――日本政治再生の条件(住沢博紀:本誌編集委員)
 ・東日本大震災と日本官僚制(内山融:東京大学准教授)
 ・今何故「スローライフの政治(学)」か(丸山仁:岩手大学教授)

[シリーズ 抗う人 6]
 ・原発神話を衝く京大「熊取六人組」~小林圭二(西村秀樹:ジャーナリスト)

 ・日本的地域構造の崩壊と自治の課題(辻山幸宣:地方自治総合研究所所長)
 ・大震災から生まれる三つの「元年」の萌芽(上林陽治:地方自治総合研究所研究員)
 ・「上関原発」反対運動からの未来創造(飛矢崎雅也:明治大学助教)
 ・大地動乱の時代と原発震災(石橋克彦:衆院予算委公述人)

[思うがままに]
 ・東北・関東の大災害が照射したもの(小寺山康雄:本誌編集委員)

[深層]
 ・もういちど反原発・脱原発運動の再構築だ(木村勝昭:元中野区議会議員)

[この一冊]
 ・『獄中ノート著作集VII「サバルタンノート」注解』アントニオ・グラムシ著(小原耕一:グラムシ研究者)

 ・中東新情勢――「過去」の精算を急ぐ(金子敦郎:国際問題ジャーナリスト)
 ・大阪都構想という虚構(澤井勝:奈良女子大学名誉教授)
 ・ジョブ・カード制度の「通説」再考(筒井美紀:法政大学准教授)
 ・「労組法上の労働者性」を判断した最高裁(水谷研次:東京都労働委員会労働者委員)

 次号予告
 編集後記

前書きなど

特集のことば(矢代)

 がれきの山のなかを一人で隣町の学校に通う少女を映す一葉の写真が今回の大震災の苛酷な結果と現実をすべて物語っているかのようだ。どうか挫けず生き抜いてほしいと念じるのみである。また、やっと表土除去された校庭で久しぶりに元気に遊ぶ児童たち。だが暑くなってきてもマスクに長袖姿である。
 この子たちに何の責任もない。“子供たちを守れ”の声をもっと大きく。この子たちの未来を拓くのは、今を生きるものの責務である。同時に高齢社会日本、医療過疎地東北の被災は弱者に対して一層苛烈である。旧ソ連チェルノブイリ事故では直接の放射線被曝死より、強制非難によるストレスなどの要因で高齢者の死が多発したとの調査報告あり。震災非難も原発非難も一刻も早く心のこもった対策が必要だ。単なる復旧ではなく後世の歴史に語られる創造的復興・再生へ。フクシマ原発震災は現在進行形であり、収束のメドすらたたず日々放射性物質が放出され続けている。苦闘する原発労働者の被爆も多発している。今こそ政治の出番であるが何ともはやの実態だ。先の不信任劇など被災者にとって悲劇以外の何者でもない。与野党の国会議員よ! 猛省せよ、恥を知れと言いたい。
 3・11は我々に何を問うているのか。自然の猛威の前に人間のはかなさを晒す地震列島日本。災害とどのように付き合っていくのか。まさに鎮魂から新たな質を持った復興・再生へ真摯に向き合うことが求められている。一方の福島原発震災は原発や放射性物質が人知によっては制御しえないことを白日の下に晒けだした。多かれ少なかれあった科学文明への信仰、社会の発展史観に冷水が浴びせられたのだ。それは我われの生き方をも問う文明史的転換を迫っているようだ。
 広島や長崎は被害の地であったが、原発は日本人による人災だ。財政官学の複合汚染であり、マスコミや地域を含めた巨大利権の蠢きが制御しえないものになっていたのだ。原発安全神話に警鐘を鳴らし続けた人たちの声を封殺し無視し続けた「無責任の体系」の積み重ねの結果である。東電や関電の重役が風光明媚な原発地域に別荘を建てた話など聞いたことがない。石原慎太郎が“東京湾岸に原発誘致”と語るのを聞いたこともない。これが人知では制御できない原発の本質だ。もはや脱原発に向かうしかない。「3・11は何を問うか」の総特集とした。

 文明史・生き方が問われる

上記内容は本書刊行時のものです。