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現代の理論 08秋号 vol.17
地球環境危機への挑戦
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2008年10月
- 書店発売日
- 2008年10月15日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2012年2月1日
紹介
加速する一方の地球温暖化。他方で洞爺湖サミット以降も明確な方向性を打ち出すことができない日本の環境政策。低炭素社会に向けてどんな選択肢がありうるか。全世界的な課題をどう考え、どんな政策が可能か。経済、政治、地域活動、市民活動など多角的に議論。
目次
特集のことば
特集 地球環境危機への挑戦
鼎談 日本の環境政策確立へ何が必要か(井田徹治/鮎川ゆりか/松下和夫)
気候変化への対応は第三の革命を必要とする(西岡秀三)
低炭素社会への環境経済戦略(一方井誠治)
国内排出量取引制度導入の課題(諸富徹)
どこがおかしい日本のエネルギー政策(飯田哲也)
持続可能な福祉社会と永続地帯(倉阪秀史)
今求められる日本の環境政治とは(今本秀爾)
東京都の気候変動対策(大野輝之)
地域からの政策革新(牧野光朗)
地震列島の原発問題(武本和幸)
[メディア時評]権力の陰謀と目くらまし(喜多村俊樹)
[世界の定点観測]――ワシントンから
米中関係で決まる次期政権下の日米関係(若林秀樹)
[文化時評]北京オリンピックあれこれ(陣野俊史)
[思うがままに]挫折した「市民革命」――箕面市長選の敗北(小寺山康雄)
[この一冊]
・『蟹工船』小林多喜二著(富岡武)
・『不敗の農民運動家矢後嘉蔵―生涯と実績』北山郁子編(井下田猛)
・『トヨタ・イン・フィリピン』遠野はるひ・金子文夫著(藤本伸樹)
・『伝統・文化のタネあかし』千本秀樹・長谷川孝他著(辻井康夫)
[読者論壇]〈あの戦争〉と〈この日本〉(花井吉宅)
「休息時間」なくして「ワーク・ライフ・バランス」なし(小林良暢)
労働契約法から「労働関係基本法」へ(田中清定)
「近代」の子ども観・子ども政策の皮肉(本田和子)
内なる敵対性(尹汝一)
座談会 苦闘する大学自治会の今を語る(京都精華大学/京都大学/立命館大学)
モンゴル雑記(金高毅)
資料 中華人民共和国労働契約法(劉偉)
石井昭男さん(明石書店社長)がマグサイサイ賞を受賞
09新春号(VOL.18)予告
編集後記
前書きなど
特集のことば(松下和夫)
政治の世界でのアジェンダの変遷はめまぐるしい。今やG8洞爺湖サミット狂想曲も真夏の夜の夢のように過ぎ去り、福田首相の突然の辞任によって気候変動対策に関する「福田ビジョン」もうたかたの如くである。地球環境問題は、福田首相がリーダーシップを発揮しようとした数少ない分野のひとつであった。低炭素社会へ向けた経済構造の抜本的な改革や、二〇一二年以降の気候変動対策の国際的な枠組み作りに向けた交渉には、国のトップの熱意と指導力が問われる。もともと内向きで縮み志向が強かった日本の気候変動政策は、司令塔不在となるとさらに漂流を続けるおそれがある。
本稿執筆時点では、この国の次の政権構造は明らかではない。選挙向けのバラマキ政治の復活で、将来を見据えた排出量取引や税制のグリーン化などの環境政策も先送りされ骨抜きにされかねない。
このような状況の下、本特集は、「地球環境危機への挑戦」をメーンテーマとし、七月初旬に開催されたG8洞爺湖サミットまでの気候変動に関する議論のしっかりとした棚卸しを企図したものである。昨年のIPCC第四次評価報告書の公表、G8ハイリゲンダムサミット、バリ会議を受け、京都議定書の目標達成のみならず、京都議定書第一約束期間以降の国際枠組み(ポスト二〇一二)や中・長期的な目標設定(二〇二〇年目標、二〇五〇目標)が本格的な議論の対象となり、去る七月にG8洞爺湖サミットが開催された。本特集ではG8洞爺湖サミットの評価、ポスト二〇一二年の国際枠組み、そして日本の気候変動政策の革新の可能性などをめぐり論考が寄せられた。
執筆陣には、科学のメッセージを西岡秀三氏、経済学と環境の観点から一方井誠治氏、諸富徹氏、倉阪秀史氏、環境とエネルギーを飯田哲也氏、世界の緑の党の動きを今本秀爾氏、地方からの政策革新を飯田市長・牧野光朗氏、東京都都市地球環境部長の大野輝之氏、また地震列島の原発問題を武本和幸氏にお願いし、G8の議論を振り返り今後を展望する鼎談を共同通信の井田徹治氏、二〇〇八G8サミットNGOフォーラム副代表鮎川ゆりか氏と松下で行った。
政治や経済の混乱を気候変動の進行は待ってくれない。本特集がわが国の低炭素社会に向けた着実で迅速な転換への舵取りに資することを期待したい。
上記内容は本書刊行時のものです。