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高齢者福祉概説
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2005年4月
- 書店発売日
- 2005年4月7日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2011年1月18日
紹介
高齢者を支える政策や制度,虐待防止への取組,住環境の整備等,最近の動向を幅広く的確に押さえ,外国での動向も踏まえながら解説している。社会福祉士,介護福祉士両方の「老人福祉論」国家試験出題基準をカバーしており,大学生向けテキストとしても最適。
目次
第1章 高齢社会と高齢者
第1節 少子高齢社会の到来
世界的規模で進行する人口の高齢化/人口高齢化の要因/人口高齢化が及ぼす社会的影響
第2節 高齢者の生活実態
世帯構成/所得/住居/就業と社会参加/医療と介護
第3節 老化と高齢者
老化に伴う身体的変化/精神機能の変化と生きる意欲/高齢者にみられる疾病/介護保険制度における特定疾病/介護予防の重要性
第2章 高齢者福祉の発展
第1節 老人福祉法の成立までの歩み
困窮者救済制度の確立――明治期以降、戦前まで/新たな社会福祉制度づくりの始まり――戦後の福祉三法体制から福祉六法体制へ
第2節 高度経済成長期、老人医療費支給制度、その後の「福祉見直し」
福祉ニーズの拡大と老人医療費支給制度/「福祉見直し論」から「日本型福祉社会」へ
第3節 老人保健法の成立と1980年代の政策
保健医療改革の推進――老人保健法の成立/急展開する福祉改革――ゴールドプラン策定
第4節 1990年代の政策と介護保険法の成立
高齢者保健福祉施策の基盤整備/新たな介護システム構想――介護保険制度/介護保険制度導入の背景
第5節 社会福祉基礎構造改革と介護保険制度の見直し
社会福祉基礎構造改革――措置から契約へ/介護保険制度の見直し
第3章 高齢者福祉に関する諸制度1――老人福祉法と老人保健法
第1節 老人福祉法の概要
老人福祉法/老人福祉施策の体系と内容
第2節 老人保健法の概要
老人保健制度/老人保健サービスの体系と内容
第4章 高齢者福祉に関する諸制度2――介護保険法
第1節 介護保険法の概要
介護保険制度の目的/介護保険制度のしくみ
第2節 介護保険法における給付サービス
居宅サービス/施設サービス
第3節 介護保険事業計画
基本指針/市町村介護保険事業計画/都道府県介護保険事業支援計画
補遺「介護保険法改正」
第5章 住環境と福祉用具
第1節 高齢者と住環境
第2節 住宅改修
わが国固有の住文化・住様式とそれに伴う住生活上の困難/住宅改修費の支給対象と改修のポイント
第3節 福祉用具
福祉用具の分類/福祉用具導入のポイント
第6章 高齢者に関する関連施策
第1節 生きがいと社会参加の施策
「敬老の日」と「老人の日」/老人クラブ活動/介護予防・地域支え合い事業/生きがいと健康づくり/生涯教育
第2節 老後生活を支える年金制度
年金制度のしくみと財源/公的年金制度のあゆみ/公的年金制度の課題
第3節 就労・雇用と就業機会
高年齢者雇用安定法/中高齢者雇用対策/シルバー人材センター
第4節 高齢者と税制
公的年金等控除/高齢者扶養の所得控除/医療費控除
第7章 高齢者を援助する専門職と保健・医療・福祉の総合的援助
第1節 高齢者を援助する専門職
社会福祉関係の専門職/医療関係の専門職/その他
第2節 高齢者を援助する組織
高齢者を援助する法人組織/高齢者を援助する機関・組織/その他の組織・団体
第3節 高齢者を支える活動としてのケアマネジメントとチームアプローチ
ケアマネジメントとは/ケアマネジメントの実際/ケアマネジメントの課題
第8章 高齢者の権利擁護と高齢者虐待の防止
第1節 高齢者の権利
わが国の高齢者のおかれている状況──エイジズム/高齢者の権利と子どもの権利
第2節 高齢者の権利擁護と諸制度
介護保険制度と権利擁護/認知症(痴呆性)高齢者の権利擁護/サービスの質の確保と権利擁護/尊厳のある高齢期を保障する専門職の役割と課題
第3節 高齢者虐待とその防止
高齢者虐待の定義/高齢者虐待の実態/高齢者虐待への対応について/高齢者虐待を予防するために
第9章 諸外国にみる高齢者福祉の新しい動向
第1節 比較福祉国家研究の視点から──スウェーデン、ドイツ、アメリカ
第2節 スウェーデンの高齢者介護
スウェーデンの介護保障──基礎自治体を核とした包括的なサービス/質の確保に向けて/まとめ
第3節 ドイツの高齢者介護
ドイツの介護保障──社会保険制度による連帯のしくみ/質の確保に向けて/まとめ
第4節 アメリカの高齢者介護
アメリカの介護保障──限定された公的保障と私的に購入する介護/質の確保に向けて/まとめ
第10章 高齢者に対する相談援助活動
第1節 相談援助活動とは
相談援助活動の前提として──高齢者に対する援助者としての視点/高齢者への相談援助活動の視点/援助過程
第2節 相談援助活動の実際
要介護高齢者のボランティア参加を支援する/高齢者虐待を未然に防ぐための支援/地域で高齢者を支える支援/認知症(痴呆性)高齢者の地域での暮らしを守る支援/見落とされがちな援助事例──65歳以下の方への援助事例
前書きなど
はじめに 高齢者福祉は急速に変わりつつある。 2000(平成12)年4月介護保険制度が導入され、老人福祉サービスの多くは、それまでの行政の職権で支給が決定される措置制度から、利用者と事業者の契約によってサービスが開始される制度へ変わった。そして、今、介護保険制度は5年後の見直しの時期に直面しており、2005(平成17)年の通常国会に介護保険法改正案が提出されている。今回の介護保険制度改革には盛り込まれず結論が先送りされた介護保険制度と障害者支援制度の一元化の問題も、こうした改革を踏まえて、これから再び検討の俎上にのぼることになる。 こうした制度面での改革と並行して、実際の高齢者福祉の現場でも、新たな取り組みが進められている。急速に増加してきている認知症(痴呆性)高齢者グループホーム、特別養護老人ホームにおけるユニットケアへの取り組み、地域密着型の小規模サービス拠点づくり、地域福祉権利擁護事業やサービスに関する苦情解決のしくみづくりなど、急速な人口高齢化に対応し、サービスの質を高め利用者本位のサービスを実現しようとする動きも活発化している。 本書は、社会福祉ライブラリーの一冊で、大学生向けの高齢者福祉のテキストとして書かれたものである。社会福祉士および介護福祉士両方の「老人福祉論」の国家試験出題基準をカバーする内容を盛り込んでいる。また、高校を卒業した人が容易に理解できる文章をめざした。このような編集方針とあわせて、本書は次のような特色を有している。 第1は、高齢者福祉分野で急速に進みつつある変化を的確にとらえ、制度面でも実際のケアの面においても、その新しい動きを学べるようにしていることである。また、国家試験出題基準を超えた内容であるが、高齢者ケアのシステムについて、諸外国と日本の制度の比較ができるように、第9章でスウェーデン、ドイツ、アメリカの高齢者ケアの動向を紹介している。人口高齢化が地球規模で進んでいる現在、私たちの視野も地球規模であることが求められている。さらに、適宜コラム欄をもうけて、本文でふれた内容を補足し、重要な概念に解説を加え、理解が深まるように工夫した。 第2は、執筆者についてである。執筆者はいずれも教育と実践を通じて高齢者福祉に深くかかわってきた者であり、社会福祉、保健、医学、建築などの多様な背景をもつ専門家によって構成されている。高齢者福祉の理解のためには学際的な広い視野が必要であり、そのような要請に応えられる執筆陣となっている。 大学生のためのテキストという本書の性格にふれたが、実際は、高齢者福祉に関心をもつ人々、実際にその現場で働いている人々にとっても、高齢者福祉の新しい動きをとらえ直し、これからの方向性を考える上で、本書はきっと役に立つであろう。本書がさまざまな人に受けとめてもらえることを念願している。2005年2月編著者 黒田研二、清水弥生、佐瀬美恵子
上記内容は本書刊行時のものです。