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日本語本質論 泉子 K・メイナード(著/文) - 明治書院
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日本語本質論 (ニホンゴホンシツロン) 翻訳テクスト分析が映し出す姿

語学・辞事典
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発行:明治書院
A5判
408ページ
定価 4,000円+税
ISBN
978-4-625-43454-9   COPY
ISBN 13
9784625434549   COPY
ISBN 10h
4-625-43454-8   COPY
ISBN 10
4625434548   COPY
出版者記号
625   COPY
Cコード
C3081  
3:専門 0:単行本 81:日本語
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2019年9月28日
最終更新日
2019年10月2日
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紹介

『銀河鉄道の夜』『キッチン』ほか幅広いジャンルの文芸作品の原作と、翻訳テクストとの比較対照分析から日本語表現の本質に迫る。

目次

はじめに
第1部  背景と理論

第1章 翻訳テクストと日本語

1.1. 翻訳テクストから日本語の本質へ

1.2. 翻訳テクストにおける意味のずれ
1.2.1. 誤訳
1.2.2. 欠落

1.3. 翻訳テクストの日本語への影響
1.3.1. 日本の翻訳事情
1.3.2. 翻訳テクストと日本語の文
1.3.3. 文学ジャンルと文体への影響
1.3.4. 翻訳テクストとステレオタイプ化された表現
1.3.5. 翻訳を前提にした文学作品

1.4. 翻訳テクスト分析の枠組みと理論的背景
1.4.1. 言語研究の諸分野からの応用
1.4.2. 比較対照分析の手法
1.4.3. 文学翻訳テクストのスタイル分析

1.5. 使用データ

1.6. 本書の構成



第2章 日本語思想の深層:空白の場と空白の話者

2.1. 背景
2.1.1. 西洋哲学と西洋言語学のコンテクスト
2.1.2. 日本文化と日本語に関する先行研究

2.2. 空白の場における話者
2.2.1. 西田哲学と場所の論理
2.2.2. 述語論理から浮かび上がる話者

2.3. 陳述と日本語表現
2.3.1. 陳述と辞の発見
2.3.2. 時枝文法の構想と場面

2.4. 間主観性と話者
2.4.1. 間主観性と場
2.4.2. 主観的・間主観的表現と潜在的な話者

2.5. パトスのレトリック
2.5.1. パトスのレトリックの特徴
2.5.2. ロゴスのレトリックとの比較
2.5.3. レトリック的な話者

2.6. 空白の場と空白の話者
2.6.1. 空白の場の意味付け
2.6.2. 空白の話者の存在感



第3章  翻訳と意味の差異性

3.1. 翻訳と言語における意味のずれ

3.2. 翻訳行為の捉え方と意味
3.2.1.翻訳の理想
3.2.2.翻訳の種類
3.2.3.翻訳手順

3.3. 翻訳研究からの視点
3.3.1. 翻訳研究の展開
3.3.2. 翻訳のキーワード
3.3.3. 翻訳とイデオロギー
3.3.4. 翻訳における書き換えと意味のずれ



第2部 考察:

第4章 空白の場と状況の設定

4.1. 求心的な表現世界
4.1.1. 場から話者へ
4.1.2. 文構造と求心性
4.1.3. 場の設定を前提とする世界

4.2. オノマトペと場の具現化効果
4.2.1. オノマトペの具体性と臨場感
4.2.2. 慣用的オノマトペ
4.2.3. 臨時的オノマトペ
4.2.4. 「ちらちら」と作品全体の結束性
4.2.5. 「ドシン」が呼び起こす場と文学性 

4.3. 登場人物の設定と場
4.3.1. ジョバンニとKenji
4.3.2. ジョバンニの指示表現
4.3.3. 主人公の提示方法と場
4.3.4. 「二人」の情意と結束性

4.4. おわりに


第5章 空白の話者の登場:潜在性と可変性
5.1 感受経験の前景化
5.1.1. 状況感受の多様性
5.1.2. 知覚表現と潜在的な話者

5.2. 受け手視点の文構造
5.2.1. 受身の情意 5.2.2. 「てくれる」と他者との繋がり

5.3. 一人称表現の可変性
5.3.1. 複数の話者提示
5.3.2. 話者の潜在化:ゼロ記号と「私」
5.3.3. 「私」と「自分」
5.3.4. 三人称と一人称の間
5.3.5. 「俺」・ゴシック体の「俺」・「俺ら」と空白の話者

5.4. おわりに



第6章 トピック・コメント軸:コメントを提示する話者

6.1. トピック・コメント軸
6.1.1. トピック・コメントと「は」
6.1.2. トピック・コメント的世界
6.1.3. シーンにおけるトピック構造
6.1.4. ステージング操作と語りの方策

6.2. 名詞句と情報のパッケージ
6.2.1. 名詞化と情報ユニット
6.2.2. 名詞句とコメント

6.3. ノダ文と非ノダ文
6.3.1. 「のだ」の意味と機能
6.3.2. ノダ文でコメントする効果
6.3.3. ノダ文の多用と回避

6.4. デアル文とノデアル文
6.4.1. 「だ」と「である」の比較
6.4.2. デアル文の発話態度とコメント
6.4.3. 「のである」と談話構造

6.5. おわりに



第7章 語りのモダリティ:語り方を操作する話者

7.1. 表記と語彙の操作
7.1.1. 記号論と間ジャンル性
7.1.2. カタカナ表記の意味
7.1.3. 「共感」と「キョーカン」
7.1.4. 類似した語彙グループの表現性
7.1.5. 「雨ニモ負ケズ」を導入する効果

7.2. 揺れ動く時制
7.2.1. ル形とタ形の意味と機能
7.2.2. 物語における時制の揺れ
7.2.3. ル形の意味:従属性と即時性

7.3. 引用と心内モノローグ
7.3.1. 引用表現の機能
7.3.2. 多様な引用方法
7.3.3. 語りの心内モノローグと心内会話
7.3.4. 引用の変動性と移人称

7.4. スタイルシフト
7.4.1. 語りの態度とデス・マス体
7.4.2. 会話体へのシフト
7.4.3. スタイルとアイロニー
7.5. おわりに


第8章 バリエーションとキャラクター・スピーク:自由に演出する話者

8.1. 空白の話者とキャラクター・スピーク
8.1.1. 言語の本質とバリエーション
8.1.2. キャラクターとキャラクター・ゾーン
8.1.3. キャラクター・スピークと話者の演出

8.2. バリエーションとキャラクター設定
8.2.1. おじさん言葉と老人語
8.2.2. 特殊な登場人物の設定

8.3. ヤンキー言葉と若者言葉
8.3.1. ヤンキーキャラクターの提示
8.3.2. 若者を意識させるバリエーション

8.4. 方言とおネエ言葉
8.4.1. 方言とキャラクター
8.4.2. キャラクター・スピークとしてのおネエ言葉

8.5. 語り手のキャラクター・スピーク
8.5.1. 語りの声と方言
8.5.2. 語りのキャラクター・スピーク

8.6. おわりに



第9章 翻訳テクストとしての日本語
9.1. ポルトガル語小説の翻訳テクスト
9.1.1. キャラクター・スピーク
9.1.2. 感受表現

9.2. ポルトガル語物語の翻訳テクスト
9.2.1. 「こと」表現と名詞化
9.2.2. 授受表現

9.3. 日本語翻訳テクストの比較:共通性と個人差
9.3.1. 柴田訳と村上訳の特徴
9.3.2. 一人称表現
9.3.3. 登場人物の人称表現
9.3.4. ノダ文とノデアル文

9.4. おわりに



第3部  展望

第10章 日本語の本質と翻訳

10.1. 日本語表現の本質と話者

10.2. 翻訳テクスト分析が映し出す日本語の姿

10.3, 翻訳における意味のずれ

10.4. 翻訳時代と日本語の存在理由

10.5. 世界の中の日本語と日本語本質論




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事項索引

著者プロフィール

泉子 K・メイナード  (センコ ケー・メイナード)  (著/文

山梨県出身。AFS(アメリカン・フィールド・サービス)で米国に留学。甲府第一高等学校およびアイオワ州コーニング・ハイスクール卒業。東京外国語大学卒業後、再度渡米。1978年イリノイ大学シカゴ校より言語学修士号を、1980年ノースウェスタン大学より言語学博士号を取得。その後、ハワイ大学、コネティカット・カレッジ、ハーバード大学、プリンストン大学で教鞭をとる。ニュージャージー州立ラトガース大学日本語学・言語学教授。日本語プログラム主任。 主な著書に『談話分析の可能性:理論・方法・日本語の表
現性』(くろしお出版、1997)、『情意の言語学:「場交渉論」と日本語表現のパトス』(くろしお出版、2000)、 『談話言語学:日本語のディスコースを創造する構成・レトリック・
ストラテジーの研究』(くろしお出版、2004)『マルチジャンル談話論:間ジャンル性と意味の創造』(くろしお出版、2008)など。

上記内容は本書刊行時のものです。