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出版者情報
社会的ジレンマ
巻次:8
合理的選択理論による問題解決の試み
- 初版年月日
- 2021年3月31日
- 書店発売日
- 2021年4月9日
- 登録日
- 2021年3月3日
- 最終更新日
- 2021年9月30日
紹介
本書は現代社会が直面する諸問題に通じる社会的ジレンマを扱う。とくに合理的選択理論を用いながら、水管理問題、スパイクタイヤ問題、環境問題にかんする社会> 的ジレンマの解決を検討し、将来における諸問題の解決の示唆を得ることを目的としている。同時にこれらの取り組みを通して合理的選択理論をより強固なものとすることを目指している。
目次
はしがき
序 章 社会的ジレンマ研究の社会的意義
1 近代文明の危機
2 現代社会に潜む社会的ジレンマ
第1章 社会的ジレンマ研究の源流と関連領域
1 問題の再発見――ギャレット・ハーディン「共有地の悲劇」
2 源流――社会科学者の問い「意図せざる結果」
3 経済学における関連研究
4 社会学における関連研究
5 社会心理学における関連研究
6 さまざまな分野からのコモンズ研究
7 社会諸科学を通底するもの
第2章 社会的ジレンマとは何か
1 社会問題としての社会的ジレンマ
2 社会的ジレンマの定義と基本的性質
3 囚人のジレンマ――社会的ジレンマの原型
4 N人囚人のジレンマ――社会的ジレンマの基本型
5 囚人のジレンマと社会的ジレンマの差異
補論 さまざまな社会的ジレンマ
【補論1】ドーズによる社会的ジレンマの定式化(NPD型)
【補論2】チキンゲームとその均衡
【補論3】社会的ジレンマの利得関数について(トーマス・シェリング)
【補論4】解決困難な社会状況(ヴェルナー・ラオプ)
【補論5】社会的ジレンマの7類型(舩橋晴俊)
【補論6】公共財と環境――供給するものと保全するもの
【補論7】罠と塀――収奪ゲームと提供ゲーム
第3章 社会的ジレンマ問題の解決――協力行動促進要因の探求
1 協力行動促進要因の探求――実験例
2 協力行動促進の方法
3 要因間の関係と制御可能性
4 社会的ジレンマ解決への理論的アプローチ――山岸俊男による解決法の類型
5 補注
コラム アクセルロッドによるゲーム戦略のコンピュータ選手権
第4章 社会的ジレンマは解決できるか
1 社会的ジレンマの一般的解消法は存在しない――永田えり子の論理
2 顕示選好理論
3 「実体としての利得」と「効用としての利得」
4 利得と効用――利得行列の意味するもの
5 利得行列の理解をめぐる混乱の出発点――ルースとライファの議論
6 実体水準における定義
7 可能態における定義
第5章 社会的ジレンマ分析の基礎――合理的選択理論
1 合理的選択理論についての暫定的定義と疑問
2 合理的選択理論における人間像と基本的性質
3 合理的選択理論に対する批判とそれに対する反論
4 分析の対象の抽象水準、または、合理的選択理論の境界
5 前向き合理性と後ろ向き合理性――二種類の合理性
6 行為者の利己心について――利己主義についての四つの立場
第6章 村落社会における社会的ジレンマの解決
1 関西近郊農村における水利組織とその運営
2 東北農村における水利組織とその運営
第7章 スパイクタイヤ問題の発生と解決過程――現代社会における社会的ジレンマ(1)
1 スパイクタイヤ問題の発生
2 スパイクタイヤ問題は社会的ジレンマか
3 スパイクタイヤ問題の顕在化
4 スパイクタイヤ問題の解決に向けた各界の対応
5 スパイクタイヤ問題解決への条例化と法制化
6 スパイクタイヤ問題解決過程の理論的解明
第8章 生活ごみ問題の課題と解決への努力 ――現代社会における社会的ジレンマ(2)
1 廃棄物の分類
2 仙台市におけるごみ処理の現状と政策目標
3 生活ごみの減量・分別のための仙台市の施策
4 減量・分別に対する仙台市の広報・啓蒙活動
5 仙台市における減量・分別施策の成果――データによる検証
6 減量・分別に対する仙台市民の意識と行動
7 生活ごみ問題の複雑性と解決困難性
第9章 社会的ジレンマにおける共有物の性質
1 共有物――「公共財」概念の検討と研究対象の確定
2 共有物の性質――制御可能性に留意しつつ
3 共有物の状況依存性
コラム 公共財の定義をめぐる論点
第10章 社会的ジレンマの制御可能性
1 合理的選択理論による社会的ジレンマ解決の基本的考え方
2 合理的選択理論による社会的ジレンマ解決法の構造化
終 章 社会的ジレンマの解決をめざして
あとがき
初出一覧
参考文献
人名・事項索引
上記内容は本書刊行時のものです。