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出版者情報
〈自閉症学〉のすすめ
オーティズム・スタディーズの時代
- 書店発売日
- 2019年4月12日
- 登録日
- 2019年3月17日
- 最終更新日
- 2019年3月23日
紹介
〈自閉症学〉に出会うと、自分のこと、障害のこと、社会のことが少し違った角度で見えてくる。
18の学問・テーマから“自閉症”にアプローチすることで、この現代という時代とわれわれ人間への理解を深める、まったく新しい試みのはじまり。
いざ、<自閉症学>の世界へ――
なぜいま“自閉症”が注目されるのか?
この自閉症にアプローチすることで、現代社会や今を生きるわれわれ人間のことをあらためて問うことができるのではないか?
――本書では「心理学」「哲学」「文化人類学」「法律」「文学」「生物学」など、文系・理系あわせ18の学問・切り口から自閉症をとらえることで、この現代という時代と人間理解を深めることを試みる。さまざまな学問分野からの自閉症へのアプローチの束、オーティズム・スタディーズ(Autism
Studies)の新たな可能性を示す書。國分功一郎×熊谷晋一郎×松本卓也による鼎談も同時収録。
目次
まえがき
第1章 心理学──心の世界の探究者からみた自閉症(高瀬堅吉)
この章を読む前に
1 自閉症者の心理学的特徴
2 コミュニケーションとは何か
3 心の理論
4 常同行為とは何か
5 自閉症のネズミ
6 自閉症者の心
コラム01 「働くこと」からはみ出すために(高森 明)
第2章 精神病理学/精神分析──世界体験を通して理解する自閉症(松本卓也)
この章を読む前に
1 常同性と一語文
2 まとまらない時間──タイムスリップ現象
3 触発とパニック
4 ブラックホール──欠如と穴
5 共生のための精神病理学/精神分析
コラム02 「自閉」の概念はどう生まれたのか?(佐藤 愛)
第3章 哲学──「人間」を考え続けた2500年の歴史が変わる(野尻英一)
この章を読む前に
1 どんなことを考えるのが「哲学」なのか──不思議感覚と不条理感覚
2 「意味」ということ──マンガ『自虐の詩』から
3 近代の哲学
4 「意味」を交換する欲望
5 近代社会と自閉症
6 哲学と自閉症
コラム03 「自閉症は津軽弁を話さない」(松本敏治)
第4章 文化人類学──ブッシュマンとわが子における知的障害の民族誌(菅原和孝)
この章を読む前に
1 文化人類学の視点と方法──自閉症との関連で
2 〈近代〉の外部における知的/精神障害
3 自閉症と人類学の同伴──ゆっくんの伝記的民族誌
4 自閉症との新しい出会いかた
コラム04 自閉症と芸術(佐藤 愛)
第5章 社会学──自閉症から考える親密性と共同性のあいだ(竹中 均)
この章を読む前に
1 家族社会学の視点
2 「おひとりさま」と孤独
3 第一次集団と親密性
4 親密性と共同性
5 空間と家族
6 ダブル・バーレルな社会
コラム05 自閉症と知覚世界(三浦仁士・相川 翼)
第6章 法律──自閉症が生みだす「法」(内藤由佳)
この章を読む前に
1 生活の中の法律
2 法律と障害者支援制度
3 法律家、そして自閉症の子の母として
4 この章のおわりに
コラム06 政治学から自閉症をみる(高橋一行)
第7章 文学──フィクションにおける「心の読みすぎ」と「透明化された体」(持留浩二)
この章を読む前に
1 「心の理論」の発見とそれが文学にもたらした意味
2 「心の理論」と文学に関するその後の展開
3 『ライ麦畑でつかまえて』における「心の理論」
コラム07 自閉症断想──自我の基礎構造と精神疾患(那須政玄)
第8章 生物学──遺伝子変異と発生から解明する自閉症(大隅典子)
この章を読む前に
1 発達障害の増加?
2 精子のdenovo変異とメチル化に対する父加齢の影響
3 動物モデルによる検証
4 考えられる分子メカニズムは?
5 自閉症を生物学から考える
コラム08 数学的物理学的知性と自閉症スペクトラムとの親和性(生田 孝)
第9章 認知科学──脳の認知粒度からみえてくる自閉症とコミュニケーション(小嶋秀樹)
この章を読む前に
1 心理化という謎
2 自閉症と認知粒度
3 認知粒度からみた心理化
4 「認知粒度の共有」が意味するもの
5 おわりに──〈自閉症学〉のもつ可能性
コラム09 TRPGを用いた自閉スペクトラム症児へのコミュニケーション支援(加藤浩平)
●鼎談 今なぜ自閉症について考えるのか?──〈自閉症学〉の新たな可能性へ向けて(國分功一郎×熊谷晋一郎×松本卓也)
自閉症当事者本リスト
引用文献一覧
あとがき
索 引
上記内容は本書刊行時のものです。