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津波 ジェイムズ・ゴフ(原著) - みすず書房
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津波 (ツナミ) 暴威の歴史と防災の科学 (ボウイノレキシトボウサイノカガク)

自然科学
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発行:みすず書房
四六判
重さ 395g
354ページ
定価 4,200円+税
ISBN
978-4-622-09622-1   COPY
ISBN 13
9784622096221   COPY
ISBN 10h
4-622-09622-6   COPY
ISBN 10
4622096226   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1040  
1:教養 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2023年10月2日
書店発売日
登録日
2023年5月25日
最終更新日
2024年1月24日
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書評掲載情報

2023-12-09 日本経済新聞  朝刊
評者: 佐竹健治(東京大学教授)
2023-12-02 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

「世界のあらゆる場所や時代から津波の例を収集した本作は、ある意味では、津波生存者たちへのオマージュであり、そして別の意味では、変化に富んだ津波の世界へのふたつとないのぞき窓でもあるのだ」(「はじめに」より)
ハワイとオーストラリアを拠点に世界各地で長年調査に携わるふたりの研究者が、古今東西の事例をもとに、この地球規模の現象を解き明かす。登場するのは、約250万年前の小惑星衝突で起きたメガ津波から、2004年のインド洋大津波、2011年の東日本大震災まで。海洋学、生物地理学、地質学、歴史学、考古学などの科学的な知見、日本の「稲むらの火」やアイヌの言い伝え、400名を超える津波生存者へのインタビューを組み合わせ、さまざまな津波のメカニズムと防災の心得を生き生きと説く。
「われわれにできることはあるし、実際に行なわれていることもあるし、科学は前に進んでいる。自分自身や弱い人々を世話する義務は全員にある。だから、備えよう。(中略)津波は過去に起きてきたし、これからもまちがいなく起きるのだから」(「おわりに」より)

「現在、筆者らは国難災害として発生が心配な南海トラフ巨大地震による大津波に警鐘を鳴らし続けているが、多くの国民に「ひとごと」意識がつきまとい、深刻さが伝わらないというもどかしさを覚えている。(中略)この災害がきっかけとしてわが国は先進国から脱落し、衰亡する恐れさえあるのだ。このような社会的背景が存在するわが国で、本書が翻訳され出版されることは、誠に時宜を得たことと称賛されよう。本書は、地質学と考古学、人類学を駆使した長年の研究成果を基礎として、世界で発生した巨大津波災害を歴史的に復元しただけでなく、同時に、現在の津波力学に関する自然科学的知識に立脚した解説を含み、素晴らしい内容となっている」――河田惠昭(本書解説より)

目次

はじめに

第1章 消えた灯台
途絶えた通信/ラウパホエホエの悲劇──1946年4月1日の出来事/救出劇/ハーバート・ニシモトの記憶/ハワイ人からの忠告/しかし、津波はなおも続く……

第2章 稲の束と海の深さを結びつけた奇妙な曲線
深い考え/津波警報の初期の試み──ジャガーの物語

第3章 過去からの声
書き残されない歴史/怪物タニファ/「砂の襲来」/15世紀の南西太平洋/ふたつの津波はどこで発生したのか?

第4章 太平洋の玄関口(とその先)における世界最古の津波犠牲者 
人間は忘れる生き物/シサノ・ラグーンを襲った津波

第5章 リツヤ湾の怪物
発見/リツヤ湾/トリンギット族/繰り返される津波/1936年の怪物の襲撃/怪物の会心の一撃──1958年7月9日の出来事

第6章 淡水津波の危険性
忘れられる津波/破壊された雷神の砦/不名誉なダム/波立つ水

第7章 津波とアメリカ海軍
ヴァージン諸島の津波/USSウォータリー号の奇妙な最終航海

第8章 アラスカを襲った魔の金曜日
津波ではないが……/津波の集中/1964年/バルディーズ/スワード/コディアック/カナダ/アメリカ西海岸/あとがき

第9章 世にも不思議な本当の話
6000年前のクジラ/熱水の津波/船と津波/アルコールと津波は相性が悪い/津波爆弾/滑走路の端から/まとめ

第10章 メガシャークネード
生態系の混乱/エルタニン小惑星/すさまじい圧力波/骨層/地獄絵図と化した地球の大気/エルタニン小惑星には兄弟がいた?/あとがき

第11章 バゲットに救われた命
誰が気にする?/サントリーニ(ティーラ)火山/クラカタウ/そしていよいよ、バゲットの話へ

第12章 1755年、リスボン──売春宿が受けた恩恵
蒸気の事例/諸聖人の日の出来事/破壊と再生/ヴォルテール/科学の世界を変えた地震

第13章 ストレッガ海底地すべり──国民投票なきブレグジット
アトランティス?/過去を掘り返す/断層の地すべり/ドッガーランドとストレッガ海底地すべりの出会い/あとがき

第14章 1960年、チリ──あなたのために地球は動いた?
過信が招く悲劇?/1960年のチリ地震と津波──そのとき地球が動いた/例外的な出来事?/新町をめぐる状況/ハワイは1946年の津波に学んだのか?/電柱に救われた命/フサヨ・イトウ夫人──仏様に見守られて/余波

第15章 ボクシング・デーの悲劇──21世紀の世界最悪の災害
基本情報/スモン/人生は続く/幸運のクッションが救った命/新年のお祭りに向けた踊りの練習/死の列車/インドの裏側/モルディブ/教育の力/皮肉

おわりに

解説 古今東西の事例にもとづく津波の総合検証 河田惠昭
参考文献
索引

著者プロフィール

ジェイムズ・ゴフ  (ジェイムズゴフ)  (原著

(James Goff)
オーストラリア・シドニーのニューサウスウェールズ大学(UNSW)名誉教授(津波研究)、イギリス・サウサンプトン大学客員教授。2016年まで、PANGEA(古生物学・地球生物学・地球史資料)研究センターの副所長と本務校のオーストラリア太平洋津波研究センターの所長を歴任。これまで3冊の本を共同編集し、250編以上の査読付き論文を執筆。著書に、In Search of Ancient Tsunamis: A Researcher’s Travels, Tools, and Techniques, Oxford University Press, 2023など。ディスカバリーチャンネル、ナショナル ジオグラフィックほか多くのドキュメンタリー番組に出演。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ウォルター・ダッドリー  (ウォルターダッドリー)  (原著

(Walter Dudley)
ハワイ大学ヒロ校の名誉教授(海洋地質学、海洋学)。同大学の海洋科学科・学科長、カラカウア海洋教育センターの所長を歴任し、同大で30年以上教授を務める。1994年に、津波被災者のジーニー・ジョンストンとともに「太平洋津波博物館」を設立し、現在は同館の科学諮問委員長。津波に関する6冊の本を執筆し、査読論文や記事も多数寄稿。共著に、TSUNAMI!, 2nd ed., University of Hawaii Press, 1998など。ディスカバリーチャンネル、ナショナル ジオグラフィック、ヒストリーチャンネルなど30本以上のテレビ・ドキュメンタリー番組に出演。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

千葉敏生  (チバトシオ)  (翻訳

(ちば・としお)
翻訳家。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書にニール『素数の未解決問題がもうすぐ解けるかもしれない。』(岩波書店、2018)、ホワイト&スティーン『キッチンの悪魔』(みすず書房、2019)、バーネット&エヴァンス『スタンフォード式人生デザイン講座 仕事篇』(早川書房、2022)、ワークマンパブリッシング『アメリカの中学生が学んでいる14歳からのプログラミング』(2022)、ミラー『半導体戦争』(2023、以上ダイヤモンド社)ほか。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

河田惠昭  (カワタヨシアキ)  (解説

(かわた・よしあき)
京都大学名誉教授。工学博士(京都大学)。現在、関西大学社会安全学部特別任命教授、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター長。2007年国連SASAKAWA防災賞、2009年防災功労者内閣総理大臣表彰などを受賞。著書に『これからの防災・減災がわかる本』(2008)、『津波災害増補版』(2018。ともに岩波書店)など多数。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

上記内容は本書刊行時のものです。