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出版者情報
絵画とタイトル
その近くて遠い関係
- 初版年月日
- 2022年12月9日
- 書店発売日
- 2022年12月13日
- 登録日
- 2022年10月24日
- 最終更新日
- 2022年12月1日
書評掲載情報
2023-03-19 |
読売新聞
朝刊 評者: 金子拓(東京大学准教授・歴史学者) |
2023-02-04 |
毎日新聞
朝刊 評者: 堀江敏幸(作家) |
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紹介
教会のフレスコ画、貴人の居室を飾る絵画など共通の文化の中で限られた人だけが見ていた時代に「何が描かれているか」の説明は必要なかった。持ち運び可能なイーゼル画が距離的・文化的に遠い土地へ運ばれるようになると、その隔たりを埋め、絵の来歴を記録する言葉が必要になってくる。そして教会や王侯貴族の占有物だった絵が美術館の誕生とともに大衆に開かれると、絵にはますます言葉が必要とされていった。
初めてタイトルを自らつけたダヴィッド。言葉の力を信じ、タイトルから物語を想起させつつその物語を凌駕するイメージを描いたターナー。クールベ〈画家のアトリエ〉の長い副題にこめられた意味。音楽用語のタイトルをつけたホイッスラーの戦略。イメージを裏切るタイトルによって独自の不思議な世界を作り出したマグリット。そして、絵の中に取り込んだタイトルを分裂させたり半分消すことで言葉の従来の意味を揺さぶるジャスパー・ジョーンズ……
ルネサンスから現代まで、つねにせめぎあってきた絵画とタイトルのスリリングな関係を追う。
目次
プロローグ(これはタイトルではない)
I 仲介者――命名し流通させる
1 タイトルがなかったころ
2 画商と公証人
3 初期のカタログ製作者
4 アカデミー
5 版画製作者
6 学芸員、評論家、友人――そしてさらに画商
II 見る人――見て理解し、意味を解き明かす
7 タイトルから読み解く
8 タイトルの力
9 たいていの人は字が読める
10 タイトルに異を唱える
III 画家――描くだけでなく、すべてを創り出す
11 ダヴィッド〈ホラティウス兄弟の誓い〉の力
12 ターナーの詩的「偽り」
13 声明書としてのクールベ作〈画家のアトリエ〉
14 ホイッスラーの〈シンフォニー〉シリーズと啓発的〈アレンジメント〉シリーズ
15 ルネ・マグリットと〈言葉の使用〉
16 ジャスパー・ジョーンズ〈ノー〉、そして描かれた言葉
謝辞
訳者あとがき
図版一覧
原註
索引
上記内容は本書刊行時のものです。