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中国の「よい戦争」 ラナ・ミッター(著/文) - みすず書房
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中国の「よい戦争」 (チュウゴクノヨイセンソウ) 甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム (ヨミガエルコウニチセンソウノキオクトアラタナナショナリズム)

社会科学
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発行:みすず書房
四六判
重さ 400g
352ページ
定価 4,400円+税
ISBN
978-4-622-09087-8   COPY
ISBN 13
9784622090878   COPY
ISBN 10h
4-622-09087-2   COPY
ISBN 10
4622090872   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1031  
1:教養 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年7月19日
書店発売日
登録日
2022年6月9日
最終更新日
2022年7月11日
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書評掲載情報

2022-12-25 産經新聞  朝刊
2022-09-24 日本経済新聞  朝刊
評者: 川島真(東京大学教授)
2022-09-24 朝日新聞  朝刊
評者: 阿古智子(東京大学教授・現代中国研究)
2022-09-04 読売新聞  朝刊
評者: 井上正也(慶應義塾大学教授・政治学者)
2022-08-20 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

かつては限られた語りしか許されていなかった抗日戦争(日中戦争)の記憶が、国力を増す中国でいま、「よい戦争」として甦っている。タブーだった蒋介石と国民党に対する再評価が進み、第二次世界大戦後の国際秩序の形成に自国が果たした役割にも、新たなまなざしが向けられている。何が起きているのか?
本書は、オックスフォード大学で現代中国史を研究する第一人者が、1980年代以降の政界と学界の動向から、博物館の展示拡充、文学潮流、人気映画、ソーシャル・メディア上の議論までを取り上げ、中国のナショナリズムと内的論理を多角的に分析するものである。
射程は現在の日中関係にも及ぶ。『南京! 南京!』『エイト・ハンドレッド(八佰)』など中国のヒット映画と、『永遠の0』『この世界の片隅に』ほか日本の人気作との違いを論じ、歴史教科書問題や尖閣諸島(釣魚群島)をめぐる対立の背景に潜む異なる記憶の回路にも迫っていく。
日中関係の今後を考えるうえでも新たな手がかりとなる本書は、『フォーリン・アフェアーズ』『スペクテイター』『アジアン・レビュー・オブ・ブックス』などで年間ベストブックにも選ばれた。日本版序文と監訳者による解説を収録。

目次

日本版への序文
はじめに──中国の戦争、記憶、ナショナリズム
第二次世界大戦と国際秩序における中国の位置づけ/記憶の回路/日中関係

第1章 熱い戦争と冷たい戦争──中国の闘い 1937-1978年
中国にとっての第二次世界大戦の起源と過程/国民党の戦争/自由より秩序を/新しい国際秩序/冷戦時代/戦後史の国際的な分裂? /中華人民共和国時代の戦争の記憶

第2章 歴史をめぐる戦争──中国の政治を形づくる歴史研究
太平洋の両側の戦争史/胡喬木の二面性/戦時史と現代政治──1990年代-2010年代/物議をかもした日付/2010年代の学術界の状況

第3章 記憶、郷愁、破壊──中国の公的な領域は第二次世界大戦をどのように受け容れたのか
抗日戦争紀念館/抗日戦争紀念館は世界戦争をどのように描くのか/1990年代の文学戦争/ベビーブーム世代と儒教の比喩的表現/問題含みの記憶──禁じられたのか、あるいは忘れられたのか?

第4章 古い記憶と新しいメディア──インターネット、テレビ、映画のなかの戦時史
崔永元のテレビ探求/映画と被害者であることの力/「国粉」現象

第5章 重慶から延安まで──地域の記憶と戦時中のアイデンティティ
忘れられた街へのレクイエム/忘却と記憶/西南部とその向こう側──国民党地域の非公式の記憶/戦争の記憶、インサイダー政治、薄熙来事件/反対側──延安の記憶/飢えと記憶

第6章 カイロ症候群(シンドローム)──第二次世界大戦と現代中国の国際関係
冷戦とポスト冷戦時代/カイロ会談の第二の人生/軍事パレード──地政学的スペクタクルとしての戦争史/南シナ海の紛争/正義、道徳、外交/ナチ・ドイツと日本の比較/新しいマーシャル・プラン?

終章 中国の長い戦後

謝辞
解説 なぜ抗日戦争は「よい戦争」となったのか?  関智英
原注
人名索引

著者プロフィール

ラナ・ミッター  (ラナミッター)  (著/文

(Rana Mitter)
オックスフォード大学教授(現代中国史・政治)。同学中国センターのディレクターも務める。ケンブリッジ大学で博士号取得(中国史)。著書Forgotten Ally(Houghton Mifflin Harcourt, 2013、英国版Chinaʼs War with Japan 1937-1945)は『エコノミスト』『フィナンシャル・タイムズ』などの年間ベストブックに選ばれ、複数の賞を受賞。その他の著書に、The Manchurian Myth(University of California Press, 2000)、『五四運動の残響』(吉澤誠一郎訳、岩波書店、2012年)などがある。BBC、 CNN、 NPR、「ヒストリー・チャンネル」、『ニューヨーク・タイムズ』などへの寄稿・出演多数。英国学士院特別会員、大英帝国勲位の4等勲爵士。

関智英  (セキトモヒデ)  (監修

(せき・ともひで)
津田塾大学学芸学部准教授(中国近現代史、日中関係史)。2011年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。14年、同大学より博士(文学)授与。著書『対日協力者の政治構想――日中戦争とその前後』(名古屋大学出版会、2019年)で大平正芳記念賞、三島海雲学術賞(人文科学部門)を受賞。監修に『日中戦争期「対日協力政権」』(全10巻、ゆまに書房、2020-21年)、共編訳に『文革――南京大学14人の証言』(董国強編、築地書館、2009年)のほか、論文多数。

濱野大道  (ハマノヒロミチ)  (翻訳

(はまの・ひろみち)
翻訳家。ロンドン大学・東洋アフリカ学院(SOAS)卒業、同大学院修了。訳書にロイド・パリー『狂気の時代』(みすず書房、2021 年)、ケイン『AI監獄ウイグル』(2022年)、レビツキー & ジブラット『民主主義の死に方』(2018年)、ヒル & ガディ『プーチンの世界』(共訳、2016年。以上新潮社)、フリードマン『2020-2030 アメリカ大分断』(早川書房、2020年)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。