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絵画は眼でなく脳で見る 小佐野重利(著/文) - みすず書房
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絵画は眼でなく脳で見る (カイガハメデナクノウデミル) 神経科学による実験美術史 (シンケイカガクニヨルジッケンビジュツシ)

芸術
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発行:みすず書房
A5判
重さ 410g
176ページ
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-622-09080-9   COPY
ISBN 13
9784622090809   COPY
ISBN 10h
4-622-09080-5   COPY
ISBN 10
4622090805   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1071  
1:教養 0:単行本 71:絵画・彫刻
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年4月8日
書店発売日
登録日
2022年2月24日
最終更新日
2022年4月1日
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書評掲載情報

2022-06-25 朝日新聞  朝刊
2022-05-21 日本経済新聞  朝刊
評者: 福岡伸一(生物学者)
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紹介

レオナルド・ダ・ヴィンチをあげるまでもなく、科学と美術の親密性は高い。人間の視覚および記憶の生物学的しくみには普遍性がある。著者は古代から現代までの科学画像の歴史をたどり、やがてニューロサイエンス(神経科学)を基盤とする「実験美術史」の構築へと向かった。
眼が輝いたという聖人像。具象画を描く盲目の画家の脳の働き。ルネサンス期の人体解剖図を現代医学から見てわかること。レオナルドが左手でかいた素描と鏡文字の関連。視線の誘導を仕組んでいたカラヴァッジョの絵。高性能光学機器が可能にした顔料分析と制作当時の復元模写。
神経科学から見ると、美術作品への反応は対象の行動や感覚の疑似的再現=《体現化》という身体メカニズムの活動でもある。一枚の名画を前にして、内容や情感を認知し、その意図を理解しようとする過程の根底にある神経プロセスが明らかになりつつある。
美術史は作品が生み出された経緯や謎を探るのが醍醐味であるが、次第に人類学や歴史学、社会学などの隣接する人文学に取り込まれつつある。今こそ美術史の独立性を求めて、作品に求心的に肉薄するためにも、科学研究との協働が必要なのだ。
最先端の研究成果から、人間の知覚と美の関わりを探る。カラー豪華版。

目次

序章

一章 美術あるいは芸術家と科学の親密性
・どのような親密性があるのか
・科学画像の種類――歴史的変遷と根源的な課題
・レオナルド・ダ・ヴィンチ――芸術家と科学者の未分化の時代
・一七世紀以降、光学器具の時代

二章 美術史には科学画像リテラシーが必要か?
・二〇世紀における写真と美術の関係
・光学機器による科学的調査と美術作品の研究

三章 ニューロサイエンスの観点から美術作品を見る
・一九九〇年代からクローズアップされた美術と脳の関係
・オーリャックの聖ジェロー像の眼のかがやき
・盲目の画家エシュレフ・アルマアン(Eşref Armağan)はどのようにして具象的絵画を描けるのか?

四章 美術史はニューロサイエンスと協働できるか?
・ニューロサイエンス(神経科学)からの美術(美術史)へのアプローチ
・美術史家デイヴィッド・フリードバーグの神経科学者との協働

終章 実験美術史の試み
・科学的調査や分析化学を取り込んだ実験美術史の可能性
・ニューロサイエンスとともに歩む実験美術史の試み

コラム
カラヴァッジョの絵画は視線を誘導する(文・亀田達也・小川昭利)

人名索引
註・参考文献
初出一覧
あとがき

著者プロフィール

小佐野重利  (オサノシゲトシ)  (著/文

(おさの・しげとし)
1951年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、同大大学院人文社会系研究科教授、研究科長・文学部長を経て退職、現在、東京大学名誉教授、同大特任教授。マルコ・ポーロ賞(1994)受賞、イタリア連帯の星・騎士勲位章(2003)、およびイタリア星騎士・コメンダトーレ勲位章(2009)を受章。アンブロジアーナ・アカデミー(ミラノ)会員。近著に『《伊東マンショの肖像》の謎に迫る――1585年のヴェネツィア』(三元社、2017)、Originali e copie.Fortuna delle repliche fra Cinque e Seicento, a cura di S. Osano (Firenze: Centro Di 2017)。訳書に監訳・サルヴァトーレ・セッティス『絵画の発明──ジョルジョーネ「嵐」解読』(晶文社、2002)、展覧会カタログにルイージ・フィカッチ/小佐野重利監修(兼カタログ編集責任)『カラヴァッジョ展』(北海道新聞社、2019)など。

上記内容は本書刊行時のものです。