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量子力学の数学的基礎【新装版】 ヨハン・ルードヴィッヒ・ノイマン(著/文) - みすず書房
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量子力学の数学的基礎【新装版】 (リョウシリキガクノスウガクテキキソ)

自然科学
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発行:みすず書房
A5判
重さ 660g
370ページ
定価 6,000円+税
ISBN
978-4-622-09025-0   COPY
ISBN 13
9784622090250   COPY
ISBN 10h
4-622-09025-2   COPY
ISBN 10
4622090252   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C3042  
3:専門 0:単行本 42:物理学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年5月7日
書店発売日
登録日
2021年4月2日
最終更新日
2021年5月11日
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紹介

1925、6年頃にde Broglie及びSchrodingerの波動力学とHeisenberg等の量子力学とが殆ど同時にでき上がり、それらの見かけ上の大きな違いにも拘わらず形式的に同等であることが明らかになった。そしてBornに始まる量子力学の統計的解釈が、1927、8年頃にはHeisenbergの不確定性原理やBohrの相補性の考えが根幹となって一応物理学者にとって満足すべき理論体系ができ上がった。しかし、それはまだ数学者を満足させる程まで理論的な厳密さをもって築き上げられた体系ではなかった。特にDiracのデルタ函数を使う方法は、物理的な直観によって本質的に正しいことが分かってみても、数学的にはそのまま受け入れにくかった。
このような不満足な状態を是正するために、Neumannはそれまで物理学者には縁の遠かったHilbert空間の理論を基礎におくことによって、理論的に一貫し、数学者にも受け入れられる形に量子力学を再構成することに成功した。今日では、量子力学系に対する直感的な像を描くためにも、Hilbert空間はなくてはならぬ背景にさえなってしまった。それはNewton力学の背景である三次元Euclid空間や、Einsteinの相対論の背景である四次元空間にも比すべきものである。しかし、Hilbert空間が通常の三次元ないし四次元空間と本質的に違うのは、それが量子力学系に対する観測と直接結びついている点である。実際Neumannは本書において、量子力学の数学的な基礎をあきらかにしたばかりではなく、観測の問題の精密な分析をも行い、更に進んで量子統計力学の再構成までも試みた。
それ等いろいろな理由によって、本書は歴史的に重要な意義を持っているばかりでなく、今日でも理論物理学を学ぶものが一度は熟読しなければならない書物である。
(湯川秀樹)

目次

序  湯川秀樹
序  彌永昌吉

序論

I. 序論的考察
1. 変換理論の成立
2. 量子力学の最初の定式化
3. 両理論の同等性:変換理論
4. 両理論の同等性:ヒルベルト空間

II. 抽象ヒルベルト空間の一般論
1. H. R. の定義
2. H. R. の幾何学
3. 条件A.-E. についての補論
4. 閉じた線型多様体
5. ヒルベルト空間の作用素
6. 固有値問題
7. 続き
8. 固有値問題への予備的考察
9. 固有値問題の解とその一意性
10. 交換可能な作用素
11. スプール

III. 量子力学の統計
1. 量子力学の統計的命題
2. 統計的解釈
3. 同時測定の可能性および測定可能性一般
4. 不確定性関係
5. 命題としての射影作用素
6. 輻射の理論

IV. 理論の演繹的構成
1. 統計的理論の原理的基礎づけ
2. 統計的公式の証明
3. 測定結果から導かれる集団

V. 一般的考察
1. 測定と可逆性
2. 熱力学的考察
3. 可逆性および平衡の問題
4. 巨視的観測

VI. 測定の過程
1. 問題の定式化
2. 合成系
3. 測定過程の分析

訳者あとがき
人名索引
事項索引

著者プロフィール

ヨハン・ルードヴィッヒ・ノイマン  (ヨハンルードヴィッヒノイマン)  (著/文

1903年ハンガリーのブダペストに生れる。ベルリン大学、ブダペスト大学、チューリッヒ大学で学び、1927年ベルリン大学の私講師となる。1930年プリンストン大学講師、1931年同教授。1933年プリンストン高級研究所の終身所員となり、1937年アメリカの市民権を取得。オペレーションズ・リサーチ、ゲームの理論、電子計算機の理論などすぐれた業績を残した。1954年アメリカ原子力委員となり、1957年ワシントンでガンのため死亡。

井上健  (イノウエタケシ)  (翻訳

1921年大坂に生まれる。1941年京都大学理学部物理学科卒業。京都大学名誉教授。理学博士。専攻 素粒子論。2004年歿。訳書 フォン・ノイマン『量子力学の数学的基礎』(共訳、みすず書房、1957)、ボーム『量子論』(共訳、みすず書房、1964)ほか。

広重徹  (ヒロシゲテツ)  (翻訳

1952年、京都大学理学部物理学科卒業。理学博士。1975年歿。著書『物理学史』(培風館、1968)『相対論の形成』『原子構造論史』(みすず書房、1980、1981)。訳書 『カルノー・熱機関の研究』(訳・解説、みすず書房、1973)フォン・ノイマン『量子力学の数学的基礎』(共訳、みすず書房、1957)ランダウ/リフシッツ『力学』(増訂第3版、共訳、東京図書、1974)ほか。

恒藤敏彦  (ツネトウトシヒコ)  (翻訳

1953年京都大学理学部物理学科卒業。理学博士。京都大学名誉教授。2010年歿。著書『量子物理学の展望』(編著、1977)『弾性体と流体』(1983)『超電導・超流動』(1993)『超伝導の探究』(1995、以上岩波書店)。訳書 ブローダ『ボルツマン』(共訳、みすず書房、1957)ランダウ/リフシッツ『場の古典論』(共訳、東京図書、1954)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。