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チーズとうじ虫【新装版】 カルロ・ギンズブルグ(著/文) - みすず書房
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チーズとうじ虫【新装版】 (チーズトウジムシ) 16世紀の一粉挽屋の世界像 (ジュウロクセイキノイチコナヒキヤノセカイゾウ)

歴史・地理
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発行:みすず書房
四六変型判
重さ 480g
368ページ
定価 4,000円+税
ISBN
978-4-622-09023-6   COPY
ISBN 13
9784622090236   COPY
ISBN 10h
4-622-09023-6   COPY
ISBN 10
4622090236   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1022  
1:教養 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年5月20日
書店発売日
登録日
2021年3月31日
最終更新日
2021年5月11日
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紹介

1583年9月、イタリア東北部、当時はヴェネツィア共和国本土属領のフリウリ地方において、ひとりの粉挽屋が教皇庁により告訴された。名をドメニコ・スカンデッラといい、人びとからはメノッキオと呼ばれていた。職業柄、白のチョッキ、白のマント、白麻の帽子をいつも身に着け、そして裁判の席にあらわれるのもこの白ずくめの服装だった。
「各人はその職業に従って働く。あるものは身体を動かし骨折って働き、あるものは馬鍬で耕す、そして私はといえば神を冒瀆するのが仕事だ」
「私が考え信じるところでは、すべてはカオスである、すなわち土、空気、水、火のすべてが渾然一体となったものである。この全体は次第に塊になっていった。ちょうど牛乳からチーズができるように。そしてチーズの塊からうじ虫が湧き出るように天使たちが出現したのだ」
かく語り、二度にわたる裁判を経て焚刑に処せられたメノッキオとは何者か。異端審問記録ほか埋もれた史料を駆使しつつ地方農民のミクロコスモスを復元、民衆文化の深層にスリリングに迫ったギンズブルグ史学の初期傑作。
解説「ずれを読み解く――ギンズブルグの方法について」(上村忠男)を付す。

目次

はじめに/はじめに 注

1 メノッキオ/2 村/3 最初の審問/4 「悪魔に憑かれている」?/5 コンコルディアからポルトグルアロへ/6 「高い地位にある方々に対して存分に語る」/7 古いものを残した社会/8 「かれらは貧しい人びとからむさぼりとる」/9 「ルター派」と再洗礼派/10 粉挽屋、絵師、道化/11 「これらの見解を、私は自分の脳味噌から引き出したのです」/12 書物/13 村の読者たち/14 印刷されたページと「空想的な見解」/15 行き止まり?/16 処女たちの神殿/17 聖母の葬儀/18 キリストの父/19 最後の審判の日/20 マンデヴィルの旅行記/21 ピグミーと人食い人種/22 「自然の神」/23 三つの指輪/24 書字の文化と口頭伝承の文化/25 カオス/26 対話/27 神話的なチーズ、現実のチーズ/28 知の独占/29 『聖書の略述記』/30 比喩の機能/31 「主人」「貨幣」「労働者」/32 ひとつの仮説/33 農民の宗教/34 魂/35 「わかりません」/36 ふたつの精神、七つの魂、四つの元素/37 ある観念の軌跡/38 矛盾/39 天国/40 ある新しい「生き方」/41 「司祭を殺すこと」/42 「新世界」/43 審問の終了/44 裁判官への手紙/45 修辞の綾/46 最初の判決/47 牢獄/48 故郷への帰還/49 告発/50 ユダヤ人との夜の対話/51 二度目の裁判/52 「空想」/53 「虚栄と夢想」/54 「偉大なる神よ、全能の崇高なる神よ」/55 「もし十五年前に死んでいたなら」/56 二度目の判決/57 拷問/58 スコリオ/59 ペレグリノ・バロニ/60 ふたりの粉挽屋/61 支配者の文化と従属階級の文化/62 ローマからの書簡/注

訳者あとがき
解説 上村忠男

著者プロフィール

カルロ・ギンズブルグ  (カルロギンズブルグ)  (著/文

歴史家。1939年、イタリアのトリーノに生まれる。ピサ高等師範学校専修課程修了。ボローニャ大学・近世史講座教授、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校教授を経て、ピサ高等師範学校教授。著書『夜の合戦――16-17世紀の魔術と農耕信仰』(上村忠男訳、みすず書房)『チーズとうじ虫――16世紀の一粉挽屋の世界像』(杉山光信訳、みすず書房)『神話・寓意・徴候』(竹山博英訳、せりか書房)『闇の歴史――サバトの解読』(竹山博英訳、せりか書房)『裁判官と歴史家』(上村忠男・堤康徳訳、平凡社)『ピエロ・デッラ・フランチェスカの謎』(森尾総夫訳、みすず書房)『ピノッキオの眼――距離についての九つの省察』(竹山博英訳、せりか書房)『歴史・レトリック・論証』(上村忠男訳、みすず書房)『歴史を逆なでに読む』(上村忠男訳、みすず書房)『糸と痕跡』(上村忠男訳、みすず書房)『ミクロストリアと世界史――歴史家の仕事について』(上村忠男編訳、みすず書房)『政治的イコノグラフィーについて』(上村忠男訳、みすず書房)『それでも。マキァヴェッリ、パスカル』(上村忠男訳、みすず書房)ほか。

杉山光信  (スギヤマミツノブ)  (翻訳

1945年、東京に生まれる。東京大学文学部社会学科卒業。東京大学新聞研究所助手、東京大学新聞研究所教授を経て明治大学文学部教授。著書『思想とその装置』(全2巻、新曜社1983)『モラリストの政治参加』(中公新書1987)『学問とジャーナリズムの間』(みすず書房1989)『アラン・トゥーレーヌ』(東信堂2000)『戦後日本の〈市民社会〉』(みすず書房2001)。訳書 モラン『オルレアンのうわさ』(1973)アリエス『〈子供〉の誕生』(共訳、みすず書房1980)ギンズブルグ『チーズとうじ虫』(みすず書房1984、《始まりの本》2012)ル・ロワ・ラデュリ『ジャスミンの魔女』(新評論1987)アリエス『歴史の時間』(みすず書房1993)アンスパック『悪循環と好循環』(新評論2012)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。