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出版者情報
疾病捜査官
感染症封じ込めエキスパートの事件簿
- 初版年月日
- 2021年7月9日
- 書店発売日
- 2021年7月13日
- 登録日
- 2021年5月26日
- 最終更新日
- 2021年7月5日
紹介
■著者カーンは元・米国CDC(疾病対策センター)の実地疫学専門家(EIS)、またの名を「疾病捜査官」。その任務は世界中で発生したアウトブレイクの究明と制圧だ。これは、サル痘からエボラ出血熱、炭疽菌テロからSARSまで、さまざまな病原体や感染症の封じ込めの現場を振り返る事件簿である。
■種々のアウトブレイクはそれぞれどのように勃発し、感染はいかにして拡がったのか。必要な対策はどうやって見出されたのか。そしてもしアウトブレイクが、テロ攻撃だった場合には? 生物学、医療、行政、地域文化までが絡み合ったパズルを、疾病捜査官は時間との闘いのなかで解きほぐしていく。
■COVID-19発生以前にも数多くの危機があったが、各種のエキスパートたちの奮闘によって局所で封じ込められてきた。パンデミックはつねに紙一重のところにあったのであり、本書の予言的記述の数々にも愕然とさせられる。カーン博士の扱った事例はサスペンスフルな探偵物語のようでありながら、公衆衛生について重要な教訓を示してくれる。感染症への耐久力は、何よりもコミュニティーに備わるのだ。次のアウトブレイクをパンデミックにしないために、現場のエキスパートの経験とその教訓に耳を傾けたい。
目次
序文
2020年版のための序文
第一章 初めての調査
疾病捜査官になる
季節はずれのインフルエンザ
マイナーチェンジを繰り返すウイルス
ワクチンのミスマッチ
新型インフルエンザの連続発生
第二章 名前のないウイルス
ハンタウイルスを疑う
探索像の形成
先入観は禁物――アルゼンチン、チリ
予期せぬ結果の法則――ブラジル
第三章 悪魔の顔を垣間見る
中東の国々で
エボラのアウトブレイク 1995年
疾病捜査官の派遣
熱帯の地獄に対処する
地域文化と感染症
アウトブレイクの終結
第四章 どちらの家にも災厄は来る
天然痘とサル痘
地元の村で調査をするには
そこで暮らすこと
政治的混乱の中で
リスクはあらゆる場所に
第五章 生物学とテロ
炭疽菌テロの始まり
バイオテロの経験
防衛プログラム
炭疽菌を封じ込める
ブレントウッドでのアウトブレイク
膨らむ疑心と混乱
異文化コミュニケーション
テロリストの正体
第六章 病原体の移動
「こちら側」に来たウイルス
ウエストナイル熱 1999年
レストンエボラウイルス 1996年
家禽の鳥インフルエンザ 2002年
鳥インフルエンザのサーベイランス
H5N1
リフトバレー熱
第七章 始まりはメトロポールホテル
アウトブレイクからエピデミックへ
情報をつなぎ合わせる
パンデミックの段階へ
シンガポールのアウトブレイク
SARSパンデミックの封じ込め
第八章 大洪水の後
致命的な遅れ
災害
都市機能の破綻
公衆衛生上の教訓
調べて、知らせる
第九章 シエラレオネ
国防省主導?
現場に出てみると
感染の性質を知る
住民を理解すること
伝統的治療師とチームを組む
不合理な思考はどこにでもある
第一〇章 #jesuislemonde(#私は世界)
次のパンデミックを防ぐために
気候変動
憂慮すべき問題
対応能力はコミュニティーに備わる
訳者あとがき
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。