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両義の表現 李禹煥(著/文) - みすず書房
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両義の表現 (リョウギノヒョウゲン)

芸術
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発行:みすず書房
A5判
重さ 550g
356ページ
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-622-09014-4   COPY
ISBN 13
9784622090144   COPY
ISBN 10h
4-622-09014-7   COPY
ISBN 10
4622090147   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1071  
1:教養 0:単行本 71:絵画・彫刻
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年5月17日
書店発売日
登録日
2021年4月6日
最終更新日
2021年5月18日
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書評掲載情報

2021-07-31 毎日新聞  朝刊
評者: 渡邊十絲子(詩人)
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紹介

「私は制作行為はしているが、アートを作っているのではない。私は筆や絵具やキャンバスに働きかけて、アートを引き起こす作業をしている。まるで近代的な植民地のように、キャンバスをアーティストの理念の実現で埋め尽くすこととは違う。私は自己を磨き限定しつつ、世界と刺激的に関わり、アートが発生するよう願う」――
練磨された自己の身体を介して、描かざるものと描くもの、作らざるものと作るものが出会う時、作ること自体の出来事性、現場性の中で、まわりの空間が刺激され、見る者をも関わらせながら、ぶつかり合い、響き合う。
「もの派」運動の支柱として芸術を解体構築し、新たな地平を拓いた1970年代から、東洋的、オリエンタリズムというレッテルを峻拒して、独自の作品を生み出してきた半世紀におよぶ道のりの中で、絵筆とともにつねにペンを握り、書きつづけてきた李禹煥の文章を編む。

目次

I
春先の雑木林の空
破片の窓
雑念礼賛
私の小さな机
赤ん坊の笑顔、死者の笑顔
待つことについて
表現としての沈黙
純粋時空
無意識について
抑圧されているもの
物理学への愚問
新型コロナウイルスのメッセージ
籠りの彼方
偉人の道
祖父の思い出

II
私の制作の立場
開かれる次元 Open Dimension 法千何立立千一画――石濤
一九七〇年代に出発して
自己限定と身体の練磨による制作
余白現象の絵画
白いキャンバス
開かれる絵画
彫刻の開かれ 出会いのメタフォア
無限の門 ヴェルサイユ・プロジェクト
家、部屋、空間 Chez Le Corburierとの対話
内なる構造を越えて

III
デッサンを巡って
見ることの驚異
見ることの成立
不用意の発見
芸術家のトポス
没頭の者たち
芸術家の二重性
絵画制作の二つの立場
人工知能と美術家
指揮者のこと
対象と物という言葉
AI雑感
東洋的という言葉
AIとレンブラント、そして肖像画
文明と文化
AI型の批評家
エセ批評
イデオロギー幻想

IV
もの派
外部性の受容の表現
単色画について
未知との対話 若い芸術家に
現代美術 この黙示的なるもの
現代美術の写真を見ながら 表現と作者の正体性
地域性を越えて
ラスコーの洞窟
ストーンヘンジ
エジプト便りから
京都の庭園
朝鮮の白磁について


〈モナ・リザ〉頌
レンブラントの自画像
雪舟異聞 〈秋冬山水図〉の冬の図と〈慧可断臂図〉をめぐって
謙斎の絵画
カシミール・マレーヴィッチ 万華鏡のようなカタルシス
見ることについて メルロ=ポンティを讃えて
デュシャンとボイスの間で
カラヤンの指揮
リチャード・セラ
アートの驚異 カプーアについて
関根伸夫を偲んで 〈位相―大地〉または関根伸夫の出現
安齊重男 七〇年代または外部性の視座

あとがき

著者プロフィール

李禹煥  (リウファン)  (著/文

美術家。1936年、韓国慶尚南道に生まれる。幼年期を通して文人として知られた黄東樵から詩・書・画を教わる。1956年、ソウル大学校美術大学を中退し、来日。1961年、日本大学文学部卒業。1967年、東京・サトウ画廊個展以来、前衛的な芸術表現で国際的に活躍。1968年頃から起こった「もの派」運動の柱として知られ、パリ・ビエンナーレ、カッセル・ドクメンタ、ヴェネツィア・ビエンナーレ他多くの国際展に出品。クンストムゼウム・ボン、グッゲンハイム美術館、ヴェルサイユ彫刻プロジェクト、神奈川県立近代美術館他、内外の多くの美術館で個展・グループ展多数。多摩美術大学名誉教授、パリ国立エコール・デ・ボザール招聘教授。2010年、香川県直島に福武財団による李禹煥美術館開館。2019年、ニューヨーク郊外のディア・ビーコン美術館にLee Ufan corner開設。

上記内容は本書刊行時のものです。