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嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ(著/文) - みすず書房
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嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 (カグブンガクウゴクコトバカンジルドクショ) 自閉症者と小説を読む (ジヘイショウシャトショウセツヲヨム)

社会一般
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発行:みすず書房
四六判
重さ 450g
376ページ
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-622-09004-5   COPY
ISBN 13
9784622090045   COPY
ISBN 10h
4-622-09004-X   COPY
ISBN 10
462209004X   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年6月16日
書店発売日
登録日
2021年4月23日
最終更新日
2021年6月10日
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書評掲載情報

2021-07-24 毎日新聞  朝刊
評者: 伊藤亜紗(東京工業大学准教授・美学)
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紹介

「この卓越した本を読む者は、真に読むということの驚異を感じずにはいられない。……本書は読書についての本だが、私がこれまで出会ったどんな本とも違う。」(S・クーシスト「本書に寄せて」より)
◆文学教授を生業にする著者が、『白鯨』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『心は孤独な狩人』などの名作を6人の自閉症者とともに読んだ読書セッションの記録。自閉症者は「心の理論」を持たない、想像による遊びができないといった偏見は早々に覆されるが、それだけではない。自閉症者がカテゴリー化される以前の「感覚」を通して物語と関わることで、鮮烈な小説体験をしていることが明らかになる。
◆おのおの独特の症状や経歴をもつ彼らの、物語への感受性はときに痛切とも言えるほど鋭敏だ。たとえば『白鯨』を読む第一章では、言葉を話さない自閉症の青年ティトが、どの登場人物よりも鯨に自分を重ねながら小説世界を「泳ぎ」、その感覚を詩に綴りはじめる。『白鯨』のモチーフはやがて、ティトと著者の生活全体を呑み込んでいく。
◆著者は近年の脳科学的知見にもとづいて、「神経多様性(ニューロダイバーシティ)と読書」というテーマをかつてないほど掘り下げている。そこでは、自閉症者と定型発達者、双方の読み方の特性が互いを逆照射し合い、読むという行為の尽きせぬ可能性が浮かび上がる。だからこそ、本書の読後に強く体感されるのは、多様な脳と交感する文学の力の無辺さだ。

目次

本書に寄せて(スティーブン・クーシスト)
はじめに

プロローグ──言葉の大河に浮かぶ私たちの神経の筏
DJ・サヴァリーズと読書

第一章 海のように揺らめく世界から
ティト・ラジャーシ・ムコパディエイ×『白鯨』

第二章 脳の天空
ジェイミー・バーク×『儀式』

第三章 アンドロイドと自閉症
ドーラ・レイメイカー×『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

第四章 自分の足を見つけ出す
ユージェニー・ベルキン×『心は孤独な狩人』

第五章 当たり前を疑うために
テンプル・グランディン×『ミート』『ジ・エクスタティック・クライ』

エピローグ

謝辞
引用出典
原注
日本語版への注記
索引

著者プロフィール

ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ  (ラルフジェームズサヴァリーズ)  (著/文

研究者、エッセイスト、詩人。グリネル大学教授。講義テーマはアメリカ文学、創作、障害者福祉。ほかの著書に、自閉症の息子DJの半生を振り返ったメモワールReasonable People: A Memoir of Autism and Adoption(Other Press、2007. Independent Publishers Gold Medalを受賞)、詩集When This Is Over: Pandemic Poems(Ice Cube Press, 2020)、ほか。編著に Papa PhD: Essays on Fatherhood by Men in the Academy(Rutgers University Press, 2011)、ほか。2012-2013年、デューク大学脳科学研究所のニューロヒューマニティーズ研究グループに参加し、ニューロダイバーシティ(神経多様性)と自閉症に関する研究調査をおこなった。

岩坂彰  (イワサカアキラ)  (翻訳

京都大学文学部哲学科卒。教科書の編集者を経て翻訳家に。主な訳書に、デイヴィッド・リンデン『40人の神経科学者に脳のいちばん面白いところを聞いてみた』『触れることの科学』『快感回路』(以上、河出書房新社)、ジャドソン・ブルワー『あなたの脳は変えられる』(ダイヤモンド社)、ローレン・スレイター『心は実験できるか』(紀伊國屋書店)、ブライアン・P・クイン『「うつ」と「躁」の教科書』(大野裕監訳、紀伊國屋書店)、クリスティーン・A・パデスキー/デニス・グリーンバーガー『うつと不安の認知療法練習帳』(大野裕監訳、創元社)、カール・ポパー『歴史主義の貧困』(日経BP)、ほか多数。関西大学非常勤講師。

上記内容は本書刊行時のものです。