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リニア中央新幹線をめぐって 山本義隆(著/文) - みすず書房
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リニア中央新幹線をめぐって (リニアチュウオウシンカンセンヲメグッテ) 原発事故とコロナ・パンデミックから見直す (ゲンパツジコトコロナパンデミックカラミナオス)

社会一般
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発行:みすず書房
四六判
重さ 260g
200ページ
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-622-08996-4   COPY
ISBN 13
9784622089964   COPY
ISBN 10h
4-622-08996-3   COPY
ISBN 10
4622089963   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年4月9日
書店発売日
登録日
2021年2月19日
最終更新日
2021年4月6日
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書評掲載情報

2021-06-12 毎日新聞  朝刊
評者: 中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長)
2021-05-15 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 松村洋(文化・社会評論)
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紹介

コロナ・パンデミックを機に見直すべきものの象徴として著者が取り上げるのは、リニア中央新幹線計画である。本書は、安倍政権下で事実上国策化した超伝導リニア計画がはらむ問題を、できるかぎり明確に指摘するという、小さな、具体的な狙いをもつ。それは同時に、なぜこの国では合理性のない超巨大プロジェクトが次々に暴走してしまうのかを浮彫にしている。
リニア計画は深刻なエネルギー問題を抱えている。そして進行中の大規模環境破壊でもある。にもかかわらず、虚妄に満ちた「6000万人メガロポリス」構想、原発稼働の利害との結合、大深度法の横暴など、計画は目的と手段の両面で横車を押すようにして推進されてきた。中枢レベルの政治権力の私物化や、ナショナリズムと科学技術の結びつきがそれを可能にしてきたことも、本書は明らかにする。
最終節は、この暴挙の根を掘り下げる。日本の戦後の産業経済は、旧体制から引き継いだ諸条件を足場に経済成長を成し遂げた。そこで強化された既得権益と前世紀的な成長への醒めない夢が、時代錯誤の巨大プロジェクトの温床となっている。3.11以後/コロナ禍以後の、持続可能性を追求すべき世界で、なお私たちはそれらを延命させるのか? 決然と、それを問う書である。

目次

序章 なぜいまリニア新幹線を問うのか
0.1 はじめに
0.2 リニア問題とは何か、その概略
0.3 リニアをめぐるこれまでの経緯
コラム1 スポーツ新聞と山岳雑誌から

第1章 リニアは原子力発電を必要とする
1.1 リニアに必要なエネルギー(電力)
コラム2 エネルギーと熱と絶対温度
1.2 リニアの構造と技術的な問題
コラム3 超伝導と液体ヘリウム
1.3 超伝導リニアをめぐる問題
1.4 リニアの運転と原子力発電

第2章 6000万人メガロポリスの虚妄
2.1 新幹線が一極集中をもたらした
2.2 リニアによる一極集中の加速
2.3 新幹線幻想からの決別
コラム4 観光公害と奈良の鹿

第3章 リニアをめぐるいくつかの問題
3.1 環境破壊そして残土の問題
コラム5 残土の量について
3.2 大深度地下にまつわる問題
3.3 リニア中央新幹線計画の闇
3.4 技術とナショナリズムの影

第4章 ポスト福島、ポスト・コロナ
4.1 コロナ後のリニアを見る目
4.2 集中と分散、そして脱成長
4.3 脱成長と定常型社会の展望
4.4 高度成長の実相を踏まえて

あとがき
注記

著者プロフィール

山本義隆  (ヤマモトヨシタカ)  (著/文

1941年、大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学大学院博士課程中退。現在 学校法人駿台予備学校勤務。
著書『知性の叛乱』『重力と力学的世界』『演習詳解 力学』(共著)『新・物理入門』『熱学思想の史的展開』『古典力学の形成』『解析力学』(共著)『磁力と重力の発見』(パピルス賞・毎日出版文化賞・大佛次郎賞)『一六世紀文化革命』『福島の原発事故をめぐって』『世界の見方の転換』『幾何光学の正準理論』『原子・原子核・原子力』『私の1960年代』『近代日本一五〇年』(科学ジャーナリスト賞)『小数と対数の発見』(日本数学会出版賞)。
編訳書『ニールス・ボーア論文集(1)(2)』『物理学者ランダウ』(共編訳)。
訳書 カッシーラー『アインシュタインの相対性理論』『実体概念と関数概念』『現代物理学における決定論と非決定論』『認識問題(4)ヘーゲルの死から現代まで』(共訳)ほか。
監修 デヴレーゼ/ファンデン ベルヘ『科学革命の先駆者 シモン・ステヴィン』中澤聡訳ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。