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数学に魅せられて、科学を見失う ザビーネ・ホッセンフェルダー(著/文) - みすず書房
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数学に魅せられて、科学を見失う 物理学と「美しさ」の罠

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発行:みすず書房
四六判
重さ 465g
352ページ
定価 3,400円+税
ISBN
978-4-622-08981-0   COPY
ISBN 13
9784622089810   COPY
ISBN 10h
4-622-08981-5   COPY
ISBN 10
4622089815   COPY
出版者記号
622   COPY
 
Cコード
C1040
教養 単行本 自然科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年4月9日
書店発売日
登録日
2021年2月10日
最終更新日
2021年4月6日
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紹介

物理学の基盤的領域では30年以上も、既存の理論を超えようとして失敗し続けてきたと著者は言う。実験で検証されないまま理論が乱立する時代が、すでに長きに渡っている。それら理論の正当性の拠り所とされてきたのは、数学的な「美しさ」や「自然さ」だが、なぜ多くの物理学者がこうした基準を信奉するのか? 革新的な理論の美が、前世紀に成功をもたらした美の延長上にあると考える根拠はどこにあるのか? そして、超対称性、余剰次元の物理、暗黒物質の粒子、多宇宙……等々も、その信念がはらむ錯覚の産物だとしたら?
研究者たち自身の語りを通じて浮かび上がるのは、究極のフロンティアに進撃を続けるイメージとは異なり、空振り続きの実験結果に戸惑い、理論の足場の不確かさと苦闘する物理学の姿である。「誰もバラ色の人生なんて約束しませんでしたよ。これはリスクのある仕事なのです」(ニマ・アルカニ=ハメド)、「気がかりになりはじめましたよ、確かに。たやすいことだろうなんて思ったことは一度もありませんが」(フランク・ウィルチェック)
著者の提案する処方箋は、前提となっている部分を見つめ直すこと、あくまで観測事実に導かれること、それに、狭く閉じた産業の体になりつつあるこの分野の風通しをよくすることだ。しかし、争点はいまだその手前にある。物理学は「数学の美しさのなかで道を見失って」いるのだろうか?本書が探針を投じる。

目次

はじめに

第1章 物理学の隠れたルール
この章で私は、自分はもはや物理学が理解できていないことに気づく。
善良なる科学者が抱える難問
失敗
数学でできている
物理学への羨望
見えない友人たち

第2章 素晴らしき世界
この章で私は、かつての科学者たちについての本を読み、誰もが恰好のよいアイデアを好むが、その恰好のよいアイデアがときにはひどく失敗するのだと知る。
私たちが元いたところ
どうやってここに来たのか
私たちは何でできているか
美に欺かれるところ
なぜ理論家を信頼するのか?

第3章 ユニオンの状況
この章では、10年間の教育で私が学んだことを30ページほどにまとめ、また、素粒子物理学の最盛期について他の物理学者にざっくばらんに話してもらう。
物理学が描く世界
万物は流転する
物理学者の商売道具
標準模型
標準宇宙論模型
ここからは難しくなる

第4章 基盤に入った亀裂
私はニマ・アルカニ―ハメドに会う。
ポストに就ければ、おいしい仕事
起こっている面倒事
名無しの数たち
バラ色の人生など誰も約束しなかった
二光子余剰狂想曲の始まり

第5章 理想的な理論
この章で私は、科学の終焉の可能性を探ろうとするが、理論物理学者たちの想像力は果てしないことを見いだす。スティーヴン・ワインバーグに話をしてもらう。
私を驚かせて──でも、ほどほどに
馬の育種
無限の可能性
宇宙ポーカー
不協和音の解放


第6章 理解不可能な理解可能性──量子力学は、いったいなぜ理解できるのか
ここで私は、数学と魔術の違いについて考える。
なにもかも素晴らしくうまくいっているが、満足している人はひとりもいない
勝ち目のないゲーム
量子力学は魔術なんです

第7章 すべてを支配するひとつのもの
私は、もしも自然法則が美しくなかったら、人はそれに興味をもてるのかどうかを突き止めようとする。フランク・ウィルチェックとギャレット・リージの話を聞く。
収束する何本もの線
何かについての理論
数の多い者が勝つ
超対称性に代わる別の理論の可能性
大陸から離れて

第8章 宇宙、最後のフロンティア
この章で私は、ひとりの弦理論研究者を理解しようと試み、ほぼ成功しそうになる。
ただのしがない物理学者
御し難いファイヤーウォール
数学 vs 希望──ひとつのケーススタディ
弦理論と、それに不満な人々
創発する美

第9章 宇宙、そこにあるすべてのもの、そしてそれ以外のもの
ここで私は、私たちが発明したさまざまな粒子を誰も見ていないのはなぜかを説明するたくさんの方法に感服する。
ソーセージのような法則
ダークなものを掘る
期待しながらただ座って過ごす
弱い場と第五の力
諸科学の岩盤
ギャップの哲学

第10章 知は力なり
ここで私は、誰もが私の言うことに耳を傾けたなら、世界はもっとよくなるだろうとの思いで本書を結ぶ。
われはロボット
数学の上に積み重なった数学
私を信用しないでください、私は科学者ですから。
このテント、臭いですよ
Lost in Math
探究は続く

謝辞

補遺A 標準模型の粒子
補遺B  「自然さ」が抱える困難
補遺C この状況を救うためにあなたができること

原注
索引

著者プロフィール

ザビーネ・ホッセンフェルダー  (ザビーネホッセンフェルダー)  (著/文

フランクフルト高等研究所(FIAS、ドイツ)研究フェロー。重イオン研究所(GSI、ドイツ)でポストドク、アリゾナ大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(いずれもアメリカ)、ペリメーター理論物理学研究所(カナダ)にて研究フェロー、北欧理論物理学研究所(NORDITA、スウェーデン)助教授などを経て、2018年より現職。ブログ"BackReaction"http://backreaction.blogspot.com/が人気を集め、The New York Times、Scientific American、New Scientist、The Guardianをはじめとする雑誌にも寄稿している。Lost in Math: How Beauty Leads Physics Astray (2018)〔『数学に魅せられて、科学を見失う』吉田三知世訳、みすず書房〕が初の単著。

吉田三知世  (ヨシダミチヨ)  (翻訳

英日・日英翻訳者。京都大学理学部卒業後、技術系企業での勤務を経て翻訳家に。訳書に、フランク・ウィルチェック『物質のすべては光』(2009)、グレアム・ファーメロ『量子の海、ディラックの深淵』(2010)(以上、早川書房)、レオン・レーダーマン他『詩人のための量子力学』(2014)(白揚社)、ランドール・マンロー『ホワット・イフ? Q1』『ホワット・イフ? Q2』(2019)(いずれも早川書房)、ザビーネ・ホッセンフェルダー『数学に魅せられて、科学を見失う』(2021)(みすず書房)ほか多数。訳書のジョージ・ダイソン『チューリングの大聖堂』(2013、ハヤカワNF文庫版2017)が第49回日本翻訳出版文化賞受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。