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建築の難問 内藤廣(著/文) - みすず書房
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建築の難問 (ケンチクノナンモン) 新しい凡庸さのために (アタラシイボンヨウサノタメニ)

芸術
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発行:みすず書房
四六判
重さ 410g
288ページ
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-622-08979-7   COPY
ISBN 13
9784622089797   COPY
ISBN 10h
4-622-08979-3   COPY
ISBN 10
4622089793   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1052  
1:教養 0:単行本 52:建築
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年7月16日
書店発売日
登録日
2021年6月10日
最終更新日
2021年7月9日
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紹介

「わたしが考える建築は、建築の原型へ遡行していくようなある種の〈普遍的な凡庸さ〉を求める傾向があります。かつてはその先にある姿形を〈素形〉と呼んだことがあります。一方で、建築はそこに存在しているだけでいやおうなく何かを表明してしまいます。すなわち〈表現すること〉と無縁ではいられません。ここに表現者として個人の問題が生まれてきます。
つまり〈凡庸さ〉とは匿名性のことで、〈個人〉とは作家性のことです。このせめぎあいに、心ある建築家なら誰でも苦しんできたといってもよいと思います。そしてわたしの場合、より〈凡庸さ〉に近いところに位置するのが問題なのかもしれません。だから〈個人〉の作家性を至上とする建築界とは距離ができてしまうのです。
問いかけられる難問に答えることで本書で挑もうとしているのは、その垣根を乗りこえることです。わたし自身の思考を俎上にあげて再検証し、その作業を通してふたつの異なるOSを橋渡しする新たな回路を模索することです。それは建築に対する世のなかの誤解を解くことにつながるかもしれないし、閉じられた建築の価値に風穴を開けることになるかもしれません」

建築・都市・土木の分野を自在に往還、3・11以後は三陸の各種復興委員会に名をつらねた著者によるラディカルな建築論、渾身の問答集。聞き手・真壁智治。

目次

はじめに

序 建築を和解の場にするということ

第1章 建築という言葉の難問
建築を定義する
存在としての建築、現象としての建築

第2章 建築を支えてきた難問
建築は世界とつながれるのか
建築で人は幸せになれるのか

第3章 建築に備わる難問
空間について
時間について
場所について

第4章 建築内存在としての難問
モダニズムという問題
「中心」と「周縁」
「私」と「公」
「中央」と「地方」
「都市」と「地域」
「継承」と「切断」
作品性あるいは作家性について
建築は芸術か

第5章 建築を生むための難問
架構について
材料・構法・構造
「素形」と「素景」について
プレハブリケーション
土木と建築
アンビルトという方法
建築は批評性をもちうるか
つくり手と使い手

第6章 社会と歩む建築が抱える難問
3・11と建築
建築を伝える
都市をつくる
建築家とは誰なのか
建築を評価する
新しい凡庸さについて
建築への問いかけ

第7章 建築を愛しうるかという難問
建築の外面と内面
建築と社会
建築を語る
建築を愛する


長いあとがき

著者プロフィール

内藤廣  (ナイトウヒロシ)  (著/文

1950年神奈川県横浜市生まれ。建築家。1974年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学院理工学研究科にて吉阪隆正に師事。修士課程修了後、フェルナンド・イゲーラス建築設計事務所、菊竹清訓建築設計事務所を経て1981年、内藤廣建築設計事務所設立。2001年、東京大学大学院工学系研究科社会基盤学助教授、2002-11年、同大学教授、2007-09年、グッドデザイン賞審査委員長、2010-11年、東京大学副学長。2011年、東京大学名誉教授。建築作品に海の博物館(日本建築学会賞、吉田五十八賞、芸術選奨文部大臣新人賞)、安曇野ちひろ美術館、牧野富太郎記念館(村野藤吾賞、毎日芸術賞)、倫理研究所 富士高原研修所、島根県芸術文化センター、虎屋京都店、静岡県草薙総合運動場体育館、富山県美術館、高田松原津波復興祈念公園 国営追悼・祈念施設(芸術選奨文部科学大臣賞)、東京メトロ銀座線渋谷駅など。著書『素形の建築』『構造デザイン講義』『環境デザイン講義』『内藤廣と若者たち』『内藤廣の頭と手』『形態デザイン講義』『内藤廣の建築1』『内藤廣の建築2』『内藤廣設計図面集』『空間のちから』ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。