版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
翻訳理論の探求【新装版】 アンソニー・ピム(著/文) - みすず書房
..
【利用不可】

翻訳理論の探求【新装版】 (ホンヤクリロンノタンキュウ)

語学・辞事典
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:みすず書房
A5判
重さ 570g
320ページ
定価 5,800円+税
ISBN
978-4-622-08971-1   COPY
ISBN 13
9784622089711   COPY
ISBN 10h
4-622-08971-8   COPY
ISBN 10
4622089718   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1080  
1:教養 0:単行本 80:語学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年10月8日
書店発売日
登録日
2020年9月28日
最終更新日
2020年10月9日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

本書は、西洋の翻訳理論を土台とし、言語学的アプローチに基づく古典的な翻訳理論から、文化翻訳を含む最近のモデルまで翻訳理論の展開を考察している。
焦点になるのは、等価、機能主義、記述的翻訳研究、翻訳の不確定性、ローカリゼーション、文化翻訳といった中核的パラダイムおよびその関連理論である。ポストモダン・カルチュラルスタディーズや社会学のモデルとして翻訳を扱うアプローチにも触れ、従来の翻訳の概念を超えた取り組みが紹介されている。 
各理論の系譜や繋がり、パラダイム間の相違点、また、各パラダイムに対する批判あるいは擁護が明確に提示され、各章末の課題によって、翻訳事象に対する読者自身の問題意識を喚起しようとしている。
J・マンデイ『翻訳学入門』が、翻訳学の全体像を知り、研究の糸口の指針となる優れた入門書であるのに対し、本書は「翻訳とは何か」という根源的な議論への起爆剤になる理論書である。
A・ピムは比較文学を学んだ後、社会学、哲学、言語学、翻訳学を修め、現在、翻訳通訳・異文化間研究分野で大学院生の研究・実践指導にあたっている。世界中で講演や講義を行いながら研究者育成に精力的に取り組み、そのカリスマ性で多くの新進翻訳研究者が師事を仰ぐ存在である。英語、フランス語で発表してきた著書、編書、論文は200を超え、翻訳理論・研究の分野で最も引用される学者の一人。最新の翻訳事象に注意を向け、翻訳の根源的テーマに対し鋭い問題提起をし続け、困難な課題に真っ向から挑戦している。これはそうした著者の、翻訳学への情熱と健全な批判精神がみなぎる一書である。

目次

図表のリスト
謝辞
まえがき

第1章 翻訳理論とは何か
1. 1 「理論づけ」から「理論」へ
1. 2 「理論」から「パラダイム」へ
1. 3 本書の構成
1. 4 なぜ翻訳理論を学ぶのか
1. 5 翻訳理論はどう学ぶべきか

第2章 自然的等価
2. 1 概念としての自然的等価
2. 2 「等価」対「構造主義」
2. 3 自然的等価を維持する翻訳手順
2. 4 テクストベースの等価
2. 5 「比較のための第三項」と「意味の理論」
2. 6 自然的等価の長所
2. 7 頻繁な議論
2. 8 歴史的な下位パラダイムとしての自然的等価

第3章 方向的等価
3. 1 二種類の類似性
3. 2 等価の定義における方向性
3. 3 検証としての逆翻訳
3. 4 方向的等価の二項対立性
3. 5 分類は二つだけか
3. 6 関連性理論
3. 7 幻想としての等価
3. 8 方向的等価の長所
3. 9 頻繁な議論

第4章 目的
4. 1 新パラダイムの鍵としてのスコポス
4. 2 ライス、フェアメーアとスコポス的アプローチの起源
4. 3 ホルツ=メンテーリと翻訳者の専門知識に関する理論
4. 4 目的に基づいた「事足りる」翻訳の理論
4. 5 誰が目的を決めるのか
4. 6 目的パラダイムの長所
4. 7 頻繁な議論
4. 8 プロジェクト分析への応用

第5章 記述
5. 1 等価パラダイムに何が起こったか
5. 2 記述パラダイム内の理論的概念
5. 3 規範
5. 4 「想定された」翻訳
5. 5 目標側の優先
5. 6 翻訳の普遍的特性
5. 7 法則
5. 8 頻繁な議論
5. 9 記述パラダイムの行方

第6章 不確定性
6. 1 なぜ「不確定性」か
6. 2 不確定性原理
6. 3 言語の決定性と翻訳の非決定性
6. 4 不確定性と共存するための理論
6. 5 脱構築
6. 6 では、どう翻訳すべきか
6. 7 頻繁な議論

第7章 ローカリゼーション
7. 1 パラダイムとしてのローカリゼーション
7. 2 ローカリゼーションとは何か
7. 3 国際化とは何か
7. 4 ローカリゼーションは新しい概念か
7. 5 テクノロジーの役割
7. 6 翻訳はローカリゼーションの一部か
7. 7 頻繁な議論
7. 8 ローカリゼーションの行方

第8章 文化翻訳
8. 1 新世紀のための新パラダイムか
8. 2 バーバと「非実質的な」翻訳
8. 3  翻訳不在の翻訳:広範な学問の希求
8. 4 翻訳としての民族誌学
8. 5 翻訳社会学
8. 6 スピヴァクと翻訳の政治的精神分析
8. 7 「一般化された翻訳」
8. 8 頻繁な議論

あとがき:自分の理論を生み出そう
訳者あとがき
付録:訳者と原著者のQ&A
参考文献
人名索引
事項索引

著者プロフィール

アンソニー・ピム  (アンソニーピム)  (著/文

オーストラリア、パース出身。オーストラリアで比較文学を学んだ後、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)より社会学で博士号取得。米国、ドイツでも哲学、社会学、言語学、翻訳学を研究。現在、スペインのロビラ・イ・ビルジリ大学教授、翻訳通訳・異文化間研究博士課程プログラムの責任者。モントレー国際大学大学院客員教授。翻訳学における根源的テーマで鋭い問題提起をし続けると共に、社会学的アプローチや翻訳とテクノロジーの関係など、新分野での研究をリードしてきた。翻訳学の最先端を走り、翻訳研究の国際的ネットワーク作りや若手育成にも精力的に取り組む。カリスマ性と面倒見のよさで、若い研究者にとってはスター的存在。これまで、英語、フランス語で著書、編集書、論文を200以上発表。翻訳研究分野で最も引用される研究者の一人。

武田珂代子  (タケダカヨコ)  (翻訳

熊本市生まれ。専門は翻訳通訳学。米国・ミドルベリー国際大学モントレー校(MIIS)翻訳通訳大学院日本語科主任を経て、2011年より立教大学異文化コミュニケーション学部教授。MIISで翻訳通訳修士号、ロビラ・イ・ビルジリ大学(スペイン)で翻訳通訳・異文化間研究博士号を取得。著書に『東京裁判における通訳』(2008)、訳書にA・ピム『翻訳理論の探求』(2010)、F・ガイバ『ニュルンベルク裁判の通訳』(2013)、イ・ヒャンジン『コリアン・シネマ』(2018、以上みすず書房)、その他著書に『太平洋戦争 日本語諜報戦』(ちくま新書、2018)、編著書に『翻訳通訳の新地平』(晃洋書房、2016)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。