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出版者情報
エルサレム〈以前〉のアイヒマン
大量殺戮者の平穏な生活
- 初版年月日
- 2021年5月17日
- 書店発売日
- 2021年5月19日
- 登録日
- 2021年3月8日
- 最終更新日
- 2021年5月18日
書評掲載情報
2021-12-18 |
毎日新聞
朝刊 評者: 飯島洋一(多摩美術大学教授・建築評論) |
2021-07-03 |
毎日新聞
朝刊 評者: 飯島洋一(多摩美術大学教授・建築評論) |
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紹介
「もはや本書への言及なしに、アイヒマン現象は語れない」NYタイムズ書評。従来のアイヒマン像を覆しナチズム研究の一画期をなす。
強制収容所へのユダヤ人移送責任者として絶滅計画の主翼を担ったアドルフ・アイヒマン。このナチ親衛隊中佐については議論が尽くされた感もあるが、じつは肝心な史料の大部分が放置されていた。アイヒマン自身の文章と音声録音である。
戦後アイヒマンが逃亡したアルゼンチンには旧ナチ共同体が築かれていた。アイヒマンはそこで、元武装SS隊員W・サッセン主催の座談会に参加する。サッセンはそれを録音し、テープ巻数にして70以上になる音声のトランスクリプトを作成していた。アルゼンチンのアイヒマンは大量の独白を記し、エルサレムの囚人となった後も8000枚にわたって自己正当化を書き連ねた。
こうした史料が網羅的に研究されてこなかったのは驚くべきことであるが、それは各所に散在し、分量は膨大で内容は耐え難い。さらに、アルゼンチンでのあけすけな記録を本人が偽と証言したため、史料としての価値を確立する仕事が後の研究者に重くのしかかった。本書は一人の哲学者が成し遂げた気の遠くなるような偉業であり、先駆者ハンナ・アーレントとの対話である。
「エルサレムでのアイヒマンの自己演出が、この犯罪者と、そして彼の殺人者としての成功といかに関係しているかを知りたいと願うなら、エルサレム以前のアイヒマンにさかのぼり、また、後の時代に作られたアイヒマン像に基づく解釈の裏に踏み込むことがどうしても必要である」(序章より)。
目次
凡例
主要な登場人物
序章
「私の名前は象徴となった」
1 有名人への道
2 ある名前の持ち主の戦後の経歴
3 名を隠して生きる不本意な生活
幕間劇
近東に残した偽りの痕跡
アルゼンチンのアイヒマン
1 「約束の地」での生活
2 祖国での戦線
3 友情のなせるわざ
いわゆるサッセン・インタヴュー
1 作家アイヒマン
2 討論におけるアイヒマン
偽りの安全
役の変更
エルサレムのアイヒマン
終章
日本の読者へ
アイヒマン年譜
史料一覧
注
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。